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30日間の革命 #毎日小説36日目

 日頃から、厳しい校則に不満を持っていた学生も多く、そして、坂本たちが立ち上げたということも話題となり、学生の間では白の会の噂が一気に広まっていた。数日が経つ頃には、

 「生徒会長とかが、学校でクーデターを起こすらしいよ」

 「先生たちに反抗するんだってさ」

 「学校乗っ取るつもりなんだって」

 などと言った、正確ではない噂まで出てきていた。

 「これはちょっとまずいんじゃないかな」

 加賀は心配になり、昼休みに坂本へ相談した。

 「ここまでの展開は想定内よ。私たちは慌てずに、出来ることをやりましょう」

 坂本は、いつも通りの穏やかな表情で答えた。

 「ここまで噂が広まってくれれば、次の集会はもっと大人数で出来そうね。目標は100人ってところかしら」

 坂本は、どんな噂であっても、白の会の存在を学生たちに知ってもらい、大規模な集会を行う目論みであった。

 すると、森下が坂本と加賀を訪ねて教室へやってきた。

 「俺のところにも、白の会に入会したいってやつが結構来てるんだけど、まだ入会させないほうが良いんだっけ?」

 「ええ。もう一度集会を開いて、その時に入会の案内をするわ。今は色んな噂が出回っていて、勘違いしている人もいるかもしれないから、ちゃんと説明してから入会してもらいたいの」

 第一回目の集会の後から、坂本や加賀、森下のところに入会希望者が続々と訪れるようになっていた。これも坂本の想定内であった。

 しかし、坂本の知らないところで、馬場と手崎の生活が少しずつ変化していたのだった。

 馬場は、白の会に一年生ながら抜擢されたことが噂となり、ますますその影響力が増していた。噂では、加賀からスカウトされたことなども広まっており、一年生の間ではカリスマ的存在となっていた。

 一方の手崎は、一部の同級生や先輩からの妬みを受けていた。「なんであんなに地味で目立たない奴が坂本や加賀と一緒にいるんだ」といったことを陰で言われるようになっていた。そして、放課後に加賀と二人で将棋をさしていたことも目撃され、特に女性から妬まれることが多くなった。

 いつもなら、どんな小さな変化であっても敏感に察知する坂本だったが、集会が行われてから、続々と白の会へ入会したいという学生が集まってきていたため、この二人の変化に気づくことが出来なかった。そして、二人の変化が、のちに白の会を揺るがす大きなきっかけとなることを、この時の坂本はまだ知らなかった。


▼30日間の革命 1日目~35日目
まだお読みでない方は、ぜひ1日目からお読みください!

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