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はははの話

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祖母と母と暮らしていたときの話
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はははの話/うっふんあはん

はははの話/うっふんあはん

わたし(えりぱんなつこ)が、胃痛から仕事を辞めて、田舎に住む祖母と母と暮らしていたときの話を書いています。

 祖母と母とわたしは、こたつテーブルを囲んでごはんを食べていた。祖母が起き上がれなくなるまで、毎日続いたことだ。
ごはんの時間になると、それぞれ専用の茶碗とお箸をテーブルに並べ、それぞれの定位置座いすに座る。祖母はいつも(夏以外は)、10色の毛糸で編まれた三角形のブランケットを肩がけしてい

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はははの話/誰もわるくないからこそ

はははの話/誰もわるくないからこそ

 わたし(えりぱんなつこ)が、胃痛から仕事を辞めて、田舎に住む祖母と母と暮らしていたときの話を書いています。

※長文になってしまいました。
お時間と心の余裕があるときにでも、読んでもらえると嬉しいです。

↓はじめ

 わたしが一人暮らしをして働いているとき、母からのラインで気がかりなものがあった。

心がざわつく言葉が何度か送られてきては、どうしたらいいものかと考えあぐねた。

祖母は認知症を

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はははの話/ずっとよろしくね

はははの話/ずっとよろしくね

 わたし(えりぱんなつこ)が、胃痛から仕事を辞めて、田舎に住む祖母と母と暮らしていたときの話を書いています。

●今回は父からプレゼントされたくまのぬいぐるみを「ぎんじ」と名付けてからのお話

↓前編のようなもの

 わたしは「くま」の名前をぎんじと決めたあと、「くまの名前はぎんじにしたよ!」と声高らかに宣言した。母には「えぇ?」なんて不服そうに言われたけれど、もう決めたからと強く言い切った。

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はははの話/改めてよろしくね

はははの話/改めてよろしくね

 わたし(えりぱんなつこ)が、胃痛から仕事を辞めて、田舎に住む祖母と母と暮らしていたときの話を書いています。

●今回はわたしが大事にしている
ぎんじ(くまのぬいぐるみ)のお話。

↑こちらを一読してからのほうが分かりやすいかもしれません。

 わたしとぎんじはいつも一緒だ。
日中は同じ部屋で過ごし、撫でたり抱っこしたり昼寝をしたり、毎晩は同じ布団で寝ている。わたしがスーパーなどに出かけるときは、

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はははの話/メンバー紹介

はははの話/メンバー紹介

 これから書き続けていくうえで必要になるであろう、我が家のメンバーを紹介しておきたいと思う。

家族構成はこちら

・母
・親父
・姉
・わたし(えりぱんなつこ)

※父のことを「親父」と呼ぶ娘はあまりいないし、びっくりされるかもしれないが、我が家では定着した呼び方となっている

※なつこは本名ではない

 
 他に重要なメンバーとして「いえぐま」の存在がある。

いえぐまとは
 我が家では、母・

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はははの話/命の一杯

はははの話/命の一杯

 わたし(えりぱんなつこ)が、胃痛から仕事を辞めて、田舎に住む祖母と母と暮らしていたときの話を書いています。

 人の体の60〜70パーセントは水分だって言われている。実際に、春夏秋冬365日飲まないとやっていられない。(お酒のことではない)
年齢によって体の水分量は変化していくようで、お年寄りの場合は50パーセントくらいだそうだ。

 暑い日も寒い日も、祖母の喉が渇いていないときだって、祖母には

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はははの話/だめにんげん

はははの話/だめにんげん

 わたし(えりぱんなつこ)が、胃痛から仕事を辞めて、田舎に住む祖母と母と暮らしていたときの話を書いています。

「便所に行きたい」

ベッドで横になっている祖母がそう言ったとき、わたしはスマホでゲームをしていた。あー、いいところだけどしょうがないか。そう思いつつも、スマホから目を離せないでいた。

そんなにハマるなんて、なんのゲームをしていたんだろう。

 母が料理をしたり、お客さんが来ていたりと

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はははの話/あのころ

はははの話/あのころ

2021年1月17日 0:17
 祖母が息を引き取った。
顔をじいっと見守った2、3分後のことだった。

 2018年、わたしは会社を辞めた。
新卒で入社して、やっと4年目になった年の5月のことだった。

6ヶ月続いている胃の痛みと、会社と、上司と、もう全てが嫌になり、耐えられなくなってしまった。もちろん転職先なんて決まっていなかったし、そもそも新しい職場で働くための力なんてなかった。

「金なし

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