見出し画像

【組織風土を語る③】 挑戦する風土

前々回の記事(【組織風土を語る①】)で、私の経験上ではありますが、「心理的安全性が高い環境を目指し、且つ高い成果や業績をあげる」ための要素の最後のひとつとして、「リスクを取ること・挑戦することを奨励する」をあげました。 

 ということで、【組織風土を語る】第三弾の今号では、「挑戦する風土」について掘り下げてみましょう。



1.   なぜ「挑戦する風土」が必要?

ビジネスと組織の成功を実現させるためには、組織風土として「心理的安全性」の醸成が重要なことは、おそらく多くの方がご認識をされていることと思います。

前々回の記事(【組織風土を語る①】)でまとめている通り、心理的安全性の要素のうちのひとつが、「その組織に所属するメンバーが自由にアイデアを出し合い、リスクを取りながら挑戦できる環境を創ること」であるため、まさに「挑戦する風土」がベースにあることは重要です。
 
では、その「なぜ」について探求してみましょう。 

 
<① 組織とビジネスの革新 | 個人の自律的成長>
「挑戦する風土」が醸成された組織では、各々のメンバー、並びにチーム単位で、問題や課題を提起したり、新しいアイデアや革新的な方法・解決策などを提案したりすることで、その後、議論する場やプレゼンテーションする場が設けられていることが多いです。また、それらが採用されることになれば、実際に実践する機会として提供されたり、新規プロジェクトとして立ち上がることで、そのプロジェクトリーダーやメンバーとしてアサインされるといったように「新たな社内機会」が与えられることがあったりします。
 
これにより、組織メリットとしては、従来のやり方にとらわれず、新たな方法やプロセスを開発・展開することが可能となり、ケースによっては、市場における競合優位性になることさえもあり得ます。
 
社員目線でのメリットは、自身の役割・仕事に意味づけができることで、所属する会社のパーパスとの紐付けもより一層明確になり、世の中や顧客への貢献・存在意義とのつながりを感じることができます。
さらには、新たな社内機会を創出する可能性があることで、自身のキャリアにオーナーシップを持ち、自律的なキャリア形成を築いていく思考と行動のチャンスにもなるのです。

今とこれからの時代/世代においては、「社会貢献・世の中における存在意義」「自律的に創造できるキャリア(=キャリアオーナーシップ)」「働きがい・働く意味づけ」の3点は、特に経営層が見逃すことで、内外に選ばれない企業になる可能性(=この場合は「リスク」)が高まると言っても過言ではないと私は強く思うのです。
 
まさに、「挑戦する風土」は、組織とビジネスの成長を促進し、組織と個人の競争力を高めるための土壌を創り出すと言えるのです。
 
 
<② リスクに果敢に – New & Differentを>
「挑戦する風土」が醸成された組織では、組織や経営層・マネージャー層自体がリスクを取る模範を示していることが多いです。そのため、メンバー目線でも、リスクを恐れずに新たなアイデアを提案したり、新規プロジェクトに手を挙げたりして、積極性をも越えた「果敢さ」を持った姿勢で取り組むことが許されている空気感が組織内に漂っていることが多いです。
 
リスクは「Ambiguity(不確実性)」を伴いますが、それを恐れずに「Agility(俊敏性)」持って挑戦することで、組織は常に進化し、組織のみならずビジネス自体も成長と変革を遂げることができる可能性が格段にあがります。
 
私が過去に所属していた挑戦風土を持つ外資系企業では、伝統的な日系企業には欠けているであろう、この「Ambiguity(不確実性)」と「Agility(俊敏性)」が共存しており、分かりやすく組織風土を表す代名詞にもなっていました。よって、日々とてつもないスピード感を持って突き進み、完全や完璧ではない状態において、判断・決定・実行を推進し、突破して前進しながら柔軟に修正したり、場合によっては思い切って止めたりすることが、どの階層においてもできやすいのです。
 
一方、伝統的な日系企業では、プロセスだけが多い社内稟議や不必要な会議などで時間を取られ、何も推進できないままに、無駄に時間を過ごし、疲弊感だけが積もるってケースが多いとよく耳にします。
 
「挑戦する風土」とは、組織自体、そしてそこに所属するメンバーの多くが積極的なリスクテイカーとなり、新たな可能性を探求する勇気を持って、世の中に「New(新たなこと)」をもたらしたり、「Different(今までとは違ったこと)」を創出したりできるのです。
 
私は外資系企業で約7年間、日本法人のHR責任者をしていた際、ビジネス・新規事業創出においても、新規人財採用においても、この「New」と「Different」は、シンプル且つ重要なキーワードとして捉えていました。
 
新規事業ってことは、「既存事業とは異なること」、「競合他社が取り組んでいないこと」、または「市場に無い新しいこと」を生み出すことが必要であり、新規人財採用においては、「今までとは違ったタイプの人物像であったり、違ったアイディアややり方などをもたらしてくれる人財」、または「社内には存在しない、もしくは欠けている新しい経験や知見」などが価値あることだからです。
 
それらが、その組織の「コアコンピテンス(競合優位性)」になるドライバーだと私は強く思います。

@Unsplash


2.   「挑戦する風土」には何が必要?

上記の通り、「挑戦する風土」は、New & Differentな人財や発想などが獲得できたり育まれたりすることで、組織の「コアコンピテンス(競合優位性)」が明確になる可能性が高まると同時に、組織とビジネスの成長を促進し、個人と組織双方の競争力を高めるための土壌を創り出すことにもつながると言えるでしょう。
 
では、「挑戦する風土」を醸成するファクター(要因)とは何でしょうか?
私が考える代表的な3つをあげてみます。
 
 
<① 失敗を許容・称賛する風土>
まさに、前号の記事そのままですね!

 
<② リスクマネジメントへの意識と備え>
失敗を許容するのであれば、それを支える土壌が組織として必要になるでしょう。つまり、「リスクマネジメント」への意識と備え・導入が必要です。
リスクを最小限に抑える体制やプロセスが整備されていることが分かることで、会社側が強いメッセージを発することに説得力を持たせることができます。さらには、内外問わず、会社への信用と信頼が生まれるはずです。
各メンバーにとっては、新しいアイデアや方法を試みることに対する躊躇や遠慮の心理的バリアやバイアスが取り除かれる可能性も高まることでしょう。
 
  
<③ 情報共有と双方向フィードバック>
透明性持って情報が共有され、会社の決定事項に対しては、その事実だけではなく、その「背景と意義」含めてストーリーが語られることで、各メンバーは、自身の役割や仕事に意味づけがしっかりできるようになります。
情報共有やコミュニケーションが組織内で活性化されることで、意見交換も活発になり、新たなアイデアや方法が生まれることがあり(=New)、異なる視点やアイデアさえも取り入れることができ(=Different)、より良い解決策を見出すことができたりします。
同時に、トップダウンとボトムアップ双方向での健全な「対話」を通してのフィードバックが、ビジネス・事業におけるイノベーションのきっかけになったり、個人の自律的キャリアを思考・探求する機会にもつながったりと、可能性と期待が大きく持てます。
 
 
以上、「挑戦する風土」を醸成するファクター(要因)として、私の経験上で、3つを挙げてみましたが、もちろん他にも考えられるものがあるでしょう。
 

「挑戦する風土」を醸成する意味でも、私の記事はあくまで考えるうえでのきっかけやヒントとして捉えていただき、是非、個人での思考の探求と共に、チームでの双方向対話を繰り広げてみてください!
 
その思考と行動が、色々な組織でできている状態こそが、「心理的安全性」醸成のあるべき姿と信じて!
 
 

ここまでお読みいただきありがとうございます!
次号【組織風土を語る④ - 最終回】も是非ご覧ください。


<プレスリリース - PR Timesストーリー>
*「心理的安全性」と、失敗への許容・称賛、挑戦風土についても語っております。是非ご覧ください。

この記事が参加している募集

外資系17年(HRトップ 7年)とプライム市場上場企業 Global CHRO(最高人事責任者)経験の私が「誰もが独自性を強みとして持ち、新しい無限の可能性を秘めている」を自身のコーチング哲学に、2023年3月 起業をしました。サポートくださる方々と一緒に日本を元気にしたいです!