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毎日読書メモ

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2023年10月の記事一覧

鳥取環境大学の森の人間動物行動学「先生!」シリーズ(毎日読書メモ(507))

鳥取環境大学の森の人間動物行動学「先生!」シリーズ(毎日読書メモ(507))

小林朋道さんは、公立鳥取環境大学の教授。専門は動物行動学、人間比較行動学。
コロナ禍になって、在宅勤務主体の生活になって、それまで十数年、新聞を端から端まで読む習慣が絶えていたのが復活した、という話はこれまでも何回か書いてきたが(こことか)、それは、新聞に掲載されている書籍の広告にもよく目を通すようになったということでもあった。
新聞の一面の一番下(朝日新聞でいえば「天声人語」の下)は、毎日、出版

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7ヶ月かけて『三体』を読んだ2023年だった(毎日読書メモ(507))

7ヶ月かけて『三体』を読んだ2023年だった(毎日読書メモ(507))

劉慈欽『三体』の第一部が早川書房から刊行されたのが2019年7月だった。当時からSFファンの間で大きな話題になっていて、気になっていたが、続編があるらしいので、中途半端に読むと続きが気になっても邦訳はなし、という状態になるだろうし、そもそも早川書房から単行本で出たSFはおいそれと文庫には落ちないので、シリーズ全部読むとどれだけの出費になるんだよ、と思ってなかなか手が出ずにいたのだが、ふっと気づいた

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『校閲至極』毎日新聞校閲センター(毎日読書メモ(506))

『校閲至極』毎日新聞校閲センター(毎日読書メモ(506))

毎日新聞社から届くお知らせメールの中に、毎日新聞校閲センター『校閲至極』(毎日新聞出版)の案内が出ていて、面白そうだったので読んでみた。「サンデー毎日」に連載されている、毎日新聞校閲センター所属の校閲担当の社員さんたちのエッセイ。毎日新聞社では東京と大阪に校閲センターを置いているそうです。「サンデー毎日」の連載は2018年5月に始まり、現在も継続中。毎日新聞のサイトに最近の分が掲載されているけれど

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宝物をそっと飾るように:宮本輝『よき時を思う』(毎日読書メモ(505))

宝物をそっと飾るように:宮本輝『よき時を思う』(毎日読書メモ(505))

宮本輝の小説は、キーワードのオンパレードだ。
大体2年に1回くらいのペースで刊行される長編小説、それらを読み続けてきて、つまりは、物語の魔法の壺の中に、幾つかのキーワードを入れると、宮本輝的物語のテンプレートにはまるように、物語が紡ぎ出されるのだな、というように見えてきた。
幾つかの地名とか、骨董品とか、ゴッホの絵とか、自転車とか、糠床とか、腰痛とか、痔とか、中華そばとか、桜とか。
三題噺のように

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バブルって何だったのか...いや、そこじゃないんだな...桐野夏生『真珠とダイヤモンド』(毎日読書メモ(504))

バブルって何だったのか...いや、そこじゃないんだな...桐野夏生『真珠とダイヤモンド』(毎日読書メモ(504))

桐野夏生『真珠とダイヤモンド』(上下、毎日新聞出版)を一気読み。上巻は金色、下巻は銀色の装丁。Kaminというイラストレーターが描いたモノトーンの女性像をあしらった表紙、装丁は佐藤亜沙美だが、一目で佐藤亜沙美、とわかる、強いフォントの字が大きく配されたこれまでの装丁とちょっと雰囲気が違うな、と思って眺める。
2021年4月~2022年7月に「サンデー毎日」に連載されていた小説を加筆修正。
(核心に

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吉本ばなな『ミトンとふびん』(毎日読書メモ(503))

吉本ばなな『ミトンとふびん』(毎日読書メモ(503))

吉本ばなな『ミトンとふびん』(新潮社)を読んだ。久しぶりの吉本ばなな。
同世代の人が、粗削りな文章なのに、なんでこんなに人の心を打つ小説を書けるのだろう、と、驚いていた若い頃、デビューしたての吉本ばななの本を新刊が出るたびに買い、何回も読んだ。『キッチン』、『うたかた/サンクチュアリ』、『哀しい予感』、『TUGUMI』、『白河夜船』、どれも単行本を初版で買い、引っ越しの時も持ち歩き、今でも我が家の

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