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市民サークルにも合理的配慮が求められている
「尹東柱の詩を読む会」という文学サークルを主宰している。
30年近く会を重ねてきたせいか、いろいろな人が参加するようになった。
視覚に障がいのある人、車椅子の人、聞こえづらい人…あえて区別はしたくないが、いわゆるマイノリティの人たち。
だから詩を読む会も、少しずつ変わろうとしている。
みんなが集えるように。
机の前に名札を置くことにした。
一人一人の名前が分かるので、初めて参加した人にもい
「雪降る地図」のテーマは、未来を信じる力
5月の例会は、「雪降る地図」だった。
雪降る地図 1941.3.12
順伊が去るという朝 せつない心でぼたん雪が舞い、悲しみのように 窓の外はるか広がる地図の上をおおう。部屋の中を見廻しても誰もいない。壁と天井が真っ白い。部屋の中まで雪が降るのか、ほんとうにおまえは失われた歴史のように飄然(ふらり)と去ってゆくのか、別れるまえに言っておくことがあったと便りに書いても おまえの行先を知ら
「序詩」は、尹東柱にとってリスタートの詩
福岡・尹東柱の詩を読む会では、毎月第3土曜日に尹東柱詩集「空と風と星と詩」から1編を取り上げる。その際、発表者が作ったレジュメを基に、皆で語り合う。
1月は「序詩」だった。
序詩 1941.11.20
死ぬ日まで空を仰ぎ
一点の恥辱(はじ)なきことを、
葉あいにそよぐ風にも
わたしは心痛んだ。
星をうたう心で
生きとし生けるものをいとおしまねば
そしてわたしに与えられた道を
歩みゆかねば。
尹東柱の詩は、ただただ奥が深い
「読んでも読んでも尽きない。月に1度の集まりが楽しい」
「尹東柱に出会ったおかげで、県外に引っ越しても、その先々で彼を愛する人たちと交流できた」
「尹東柱をきっかけにいろんな話ができる。旅先の韓国で『彼の詩を読んでいる』と話すだけで、現地の人との会話が広がる」
「尹東柱の詩は、何かあった時に立ち返る場所。夜、枕元に置いて詩集を開いて心を落ち着けたりする」
これは、先日の詩を読む会での皆の振
尹東柱の散文は面白い
尹東柱は、韓国で有名な詩人だが、彼が5編の散文を書いていたことは、韓国人でも意外に知らない。
詩には作者の思いが凝縮されていて、行間を読み解く作業が求められる。それゆえ難解であるが、尹東柱の散文には、彼の置かれた状況や悩み、心の揺れなどが日記のようにつづられていて、読んでいくと面白い。
尹東柱の悩みや心の葛藤が描かれた「ツルゲーネフの丘」「月を射る」「隕石の落ちたところ」
ツルゲーネフの「
尹東柱の詩は、人と人をつなぐ
尹東柱の詩を読んでいると、ときどき韓国からゲストがやってくる。
大学生、高校生、詩人の団体、私設図書館関係者…これまで、いろんな人たちと交流してきた。
コロナでしばらく交流が途絶えていたが、今年の秋から少しずつ連絡が入るようになった。
「尹東柱が亡くなった刑務所跡地を案内してほしい」
「詩を読む会に参加したい」
「一緒に朗読会をしたい」
文化解説士一行がやってきた
9月初め、韓国全羅南道光陽
博多湾のあいたか橋に魔法がかかる時間
夏の夕暮れ、人工の博多湾で空の色がドラマチックに変わる。その幻想的な光景とは―
福岡市の中心部から東へ車で30分ほど。あいたか橋は、人工島の上に造られた緑豊かなまち・アイランドシティ地区と、その対岸の香住ケ丘地区に架けられた全長430メートルの海上遊歩道だ。
夏の夕暮れ時、橋の上からアイランドシティ側を望むと、幻想的な光景に出合うことがある。赤、オレンジ、黄色、薄紫…。時間の経過と共に、空の色
薩摩焼沈寿官家との再会
1998年に開催された薩摩焼四百年祭は、私のライター人生において忘れられない取材となっている。
今は亡き14代沈寿官さんから聞いた、朝鮮陶工たちが歩んできた歴史、彼らの心情、そして薩摩焼四百年祭にかける14代の思い。その思いは15代にも引き継がれている。
大きなテーマだけど、いずれリライトして今後の日韓関係につなげていきたいと思う。そのための備忘録として残しておく。
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能古島で日常から少しだけ離れたチルな時間を
「チルする?」
最近、若者たちの間でこんな言葉がよく聞かれる。チルとは、英語で「のんびりする」「まったりする」「くつろぐ」などを意味する言葉だ。福岡市営渡船姪浜旅客所(渡船場)からフェリーに乗って約10分。博多湾に浮かぶ能古島は、チルという言葉がぴったりの島だ。その中の一つ「のこのしまアイランドパーク」の世界観を取り上げながら、島の多様な楽しみ方を提案していきたい。
●半世紀前からチルな世界観
離島DX! フリーランスチームの力で、小さな離島を変革できるか? ~紙媒体ライターの挑戦~
ライター/元祖韓流ライターのぴょるです。働き方LABの研究員制度の第2期メンバーとして、実験計画書を書いたのが6月末。あっという間に3カ月が経とうとしています。12月のゴールまでの中間点に当たり、中間報告をします。
実験の目的と背景
現在、能古島をチルな島にしようと、活性化のためのプロモーション、イベント、マーケティングの3つのチームに分かれてプロジェクトが進行中です。
ちなみにチルとは、「
目の前に倒れている人がいたら…を体験した日
昨日は9月9日。救急の日だった。
先日、電車から降りると、駅のホームで倒れている女性がいた。
「大丈夫ですか」と、その女性に向かって一人の女性が何度も話しかけているが、いっこうに反応はない。
そのまわりで、複数の若者たちが心配そうに見守っていた。
「救急車は呼んだの?」と若者に尋ねると、「まだです。駅員さんを呼びに行ってます」という。
駅員さんより、先に救急車を呼ばなくては。
私は、すかさず1
離島DX! フリーランスチームの力で、小さな離島を変革できるか? ~紙媒体ライターの挑戦~
働き方LABとはライター/元祖韓流ライターのぴょるです。働き方LABの研究員制度の第2期メンバーに選ばれました。
働き方LABとは、クラウドソーシングサイト「ランサーズ」が運営するフリーランスのコミュニティ。
研究員制度では、各自が働き方に関する研究テーマを決めて、実践・研究します。その際には企業などとの実証実験も可能です。
今回のプロジェクトの中に福岡市との実証実験があることを知り、応募しました
「おかえりモネ」を見て再確認した、尹東柱の詩を読むということ
NHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」の菅波先生が人気だ。
ヒロイン・モネに対する彼の言動の一つ一つに視聴者の視線が集まっている。
「あなたの痛みは僕には分かりません。でも、分かりたいと思っています」
恋愛以外にも通じる言葉だ。
私も、同じ言葉を韓国の高校生に言ったことがある。
21年前、地元のテレビ局が韓国の詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)のドキュメンタリーを制作することになり、私はソウ