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韓国の有名詩人、尹東柱を偲ぶ

先月、韓国の現代文学を紹介する「K-BOOKフェスティバル」の一環として、福岡市内で「韓国の詩人と考える文学の世界」が開催された。このイベントに登壇するため、韓国の詩人、オ・ウンさんとキム・ソヨンさんの2人が来福。尹東柱終焉の地を訪ねるという連絡を受け、急遽百道西公園に案内した。

このイベントのために来福

この2人、実は韓国でとても有名。日本でも翻訳詩集が出版されている。後日、韓国の友人に2人を案内したことを話したら、とてもうらやましがっていた。

こちらがオ・ウンさんの詩集とキム・ソヨンさんのエッセイ集

 2人とも福岡には何度か来ているそうだが、百道まで来たのは初めて。地下鉄藤崎駅から、毎年2月に尹東柱の追悼式を行っている百道西公園までを歩きながら、街中の風景を写真に収めていた。
 
途中、キムさんが尹東柱の童謡詩「ほたるのともし火」を思い出したと言って口ずさんだり、「こおろぎとわたしと」をオさんとキムさんが韓国語で、私が日本語で朗読したりした。

ほたるのともし火  1937

ゆこう ゆこう ゆこう
草むらへゆこう
月のかけらを拾いに
草むらへゆこう。

 みそかの晩 ほたるのともし火は
 砕けた月のかけら、

ゆこう ゆこう ゆこう
草むらへゆこう
月のかけらを拾いに
草むらへゆこう。


こおろぎとわたしと  1938(推定)

こおろぎとわたしと
芝生で話をした。

リリリ ルルル
リリリ ルルル

誰にも教えてやらないで
ないしょの約束をした。

リリリ ルルル
リリリ ルルル

こおろぎとわたしと
月の明るい晩に話をした。
 
そして、尹東柱が収監されていた旧福岡刑務所跡地の向いの百道西公園では、2人が尹東柱について書いたエッセイを披露してくれた。
キムさんは、中央日報のオピニオン欄「キムソヨンの詩人が愛した単語」に寄稿した「尹東柱 恥」を。オさんは、尹東柱の詩と人生を描いた「映画 ドンジュ」の脚本集に寄せた「いつも浮かんでくる尹東柱という新しい芽」というタイトルのエッセイを。
 
短い滞在時間の中にも、尹東柱のことを思い出し、訪ねてくれて感謝だった。こうやって韓国からの来訪があるたびに、没後78年経っても尹東柱の詩は生き続けているのだと実感する。そして、これからもずっと彼の詩は生き続ける。

オさんにもらったサイン
キムさんのサイン

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