Mikiko Managi

福岡市在住のライター/元祖韓流ライター。地方自治体広報紙、女性向け生活情報紙、観光情報…

Mikiko Managi

福岡市在住のライター/元祖韓流ライター。地方自治体広報紙、女性向け生活情報紙、観光情報誌、在日韓国人向け新聞など、14年にわたり紙媒体に従事。現在は、WEBや書籍の分野でも。韓国とは、韓流ブームが起こる以前からの付き合い。福岡・尹東柱の詩を読む会代表。観光案内ボランティア。

マガジン

  • 福岡・尹東柱の詩を読む会

    尹東柱(1917~1945)は、韓国を代表する詩人です。日本の植民地支配という、朝鮮民族にとって最も過酷な時代に、悩み葛藤しながらも真摯に生きた姿は、時代や国を超えて多くの共感を呼び、さまざまな外国語に翻訳されています。当会は、1944年12月の発足以来、月例会を重ね、尹東柱の詩を読み解いてきました。仲間との語り合いの中で得られた尹東柱の世界を紹介します。  ※訳詩は「空と風と星と詩~尹東柱全詩集」(影書房、伊吹郷訳)から引用

最近の記事

恐るべし 尹東柱の磁場① ~詩を読む会に韓国から親子が参加~

なんと、韓国から親子3人が尹東柱の詩を読む会に参加。 聞けば、映画「東柱」を見たことや、小学生の子どもが東柱の童詩「樹」を習ったことなどがきっかけで、時折、親子で彼の詩に触れているそうだ。   樹(1937推定) 樹がおどれば  かぜがふき、 樹がしずまれば  かぜもやむ。 会の存在は、5年ほど前に韓国のネット新聞を読んで知っていたそうで、今回の福岡滞在中に例会が行われることを知り、訪ねてきたのだった。前日には、尹東柱が亡くなった福岡刑務所跡地にも行ったそうだ。 (5

    • 市民サークルにも合理的配慮が求められている

      「尹東柱の詩を読む会」という文学サークルを主宰している。 30年近く会を重ねてきたせいか、いろいろな人が参加するようになった。 視覚に障がいのある人、車椅子の人、聞こえづらい人…あえて区別はしたくないが、いわゆるマイノリティの人たち。 だから詩を読む会も、少しずつ変わろうとしている。 みんなが集えるように。 机の前に名札を置くことにした。 一人一人の名前が分かるので、初めて参加した人にもいい。 聞こえづらい人も視覚で分かる。 手を上げて大きな声でゆっくりと発言すれば、

      • 「雪降る地図」のテーマは、未来を信じる力

        5月の例会は、「雪降る地図」だった。   雪降る地図  1941.3.12 順伊が去るという朝 せつない心でぼたん雪が舞い、悲しみのように 窓の外はるか広がる地図の上をおおう。部屋の中を見廻しても誰もいない。壁と天井が真っ白い。部屋の中まで雪が降るのか、ほんとうにおまえは失われた歴史のように飄然(ふらり)と去ってゆくのか、別れるまえに言っておくことがあったと便りに書いても おまえの行先を知らず どの街、どの村、どの屋根の下、おまえはおれの心にだけ残っているのか、おまえの

        • 「序詩」は、尹東柱にとってリスタートの詩

          福岡・尹東柱の詩を読む会では、毎月第3土曜日に尹東柱詩集「空と風と星と詩」から1編を取り上げる。その際、発表者が作ったレジュメを基に、皆で語り合う。 1月は「序詩」だった。 序詩  1941.11.20 死ぬ日まで空を仰ぎ 一点の恥辱(はじ)なきことを、 葉あいにそよぐ風にも わたしは心痛んだ。 星をうたう心で 生きとし生けるものをいとおしまねば そしてわたしに与えられた道を 歩みゆかねば。 今宵も星が風にふきさらされる。  (伊吹郷訳) 詩を読む会の前に「序詩」を

        恐るべし 尹東柱の磁場① ~詩を読む会に韓国から親子が参加~

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        • 福岡・尹東柱の詩を読む会
          9本

        記事

          尹東柱の詩は、ただただ奥が深い

          「読んでも読んでも尽きない。月に1度の集まりが楽しい」 
「尹東柱に出会ったおかげで、県外に引っ越しても、その先々で彼を愛する人たちと交流できた」
 「尹東柱をきっかけにいろんな話ができる。旅先の韓国で『彼の詩を読んでいる』と話すだけで、現地の人との会話が広がる」 
「尹東柱の詩は、何かあった時に立ち返る場所。夜、枕元に置いて詩集を開いて心を落ち着けたりする」 これは、先日の詩を読む会での皆の振り返り。
 
 1994年12月に発足したわが会も、この12月で29年目に入っ

          尹東柱の詩は、ただただ奥が深い

          韓国の有名詩人、尹東柱を偲ぶ

          先月、韓国の現代文学を紹介する「K-BOOKフェスティバル」の一環として、福岡市内で「韓国の詩人と考える文学の世界」が開催された。このイベントに登壇するため、韓国の詩人、オ・ウンさんとキム・ソヨンさんの2人が来福。尹東柱終焉の地を訪ねるという連絡を受け、急遽百道西公園に案内した。 この2人、実は韓国でとても有名。日本でも翻訳詩集が出版されている。後日、韓国の友人に2人を案内したことを話したら、とてもうらやましがっていた。 2人とも福岡には何度か来ているそうだが、百道まで

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          尹東柱の散文は面白い

          尹東柱は、韓国で有名な詩人だが、彼が5編の散文を書いていたことは、韓国人でも意外に知らない。 詩には作者の思いが凝縮されていて、行間を読み解く作業が求められる。それゆえ難解であるが、尹東柱の散文には、彼の置かれた状況や悩み、心の揺れなどが日記のようにつづられていて、読んでいくと面白い。 尹東柱の悩みや心の葛藤が描かれた「ツルゲーネフの丘」「月を射る」「隕石の落ちたところ」 ツルゲーネフの「乞食」から着想を得た「ツルゲーネフの丘」では、幼い乞食に施しを与えようと、やっと

          尹東柱の散文は面白い

          尹東柱の詩は、人と人をつなぐ

          尹東柱の詩を読んでいると、ときどき韓国からゲストがやってくる。 大学生、高校生、詩人の団体、私設図書館関係者…これまで、いろんな人たちと交流してきた。 コロナでしばらく交流が途絶えていたが、今年の秋から少しずつ連絡が入るようになった。 「尹東柱が亡くなった刑務所跡地を案内してほしい」 「詩を読む会に参加したい」 「一緒に朗読会をしたい」 文化解説士一行がやってきた 9月初め、韓国全羅南道光陽市の文化解説士一行18人が来福した。 尹東柱詩人ゆかりの立教大学、同志社大学を回

          尹東柱の詩は、人と人をつなぐ

          博多湾のあいたか橋に魔法がかかる時間

          夏の夕暮れ、人工の博多湾で空の色がドラマチックに変わる。その幻想的な光景とは― 福岡市の中心部から東へ車で30分ほど。あいたか橋は、人工島の上に造られた緑豊かなまち・アイランドシティ地区と、その対岸の香住ケ丘地区に架けられた全長430メートルの海上遊歩道だ。 夏の夕暮れ時、橋の上からアイランドシティ側を望むと、幻想的な光景に出合うことがある。赤、オレンジ、黄色、薄紫…。時間の経過と共に、空の色が幾重もの層をなす。そのグラデーションが実に美しい。さらに空の色と高層マンション

          博多湾のあいたか橋に魔法がかかる時間

          薩摩焼沈寿官家との再会

          1998年に開催された薩摩焼四百年祭は、私のライター人生において忘れられない取材となっている。 今は亡き14代沈寿官さんから聞いた、朝鮮陶工たちが歩んできた歴史、彼らの心情、そして薩摩焼四百年祭にかける14代の思い。その思いは15代にも引き継がれている。 大きなテーマだけど、いずれリライトして今後の日韓関係につなげていきたいと思う。そのための備忘録として残しておく。 ******************************************************

          薩摩焼沈寿官家との再会

          能古島で日常から少しだけ離れたチルな時間を 

          「チルする?」  最近、若者たちの間でこんな言葉がよく聞かれる。チルとは、英語で「のんびりする」「まったりする」「くつろぐ」などを意味する言葉だ。福岡市営渡船姪浜旅客所(渡船場)からフェリーに乗って約10分。博多湾に浮かぶ能古島は、チルという言葉がぴったりの島だ。その中の一つ「のこのしまアイランドパーク」の世界観を取り上げながら、島の多様な楽しみ方を提案していきたい。 ●半世紀前からチルな世界観を築いてきた「のこのしまアイランドパーク」花と緑で人々の心を癒やす  のこの

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          離島DX! フリーランスチームの力で、小さな離島を変革できるか? ~紙媒体ライターの挑戦~

          ライター/元祖韓流ライターのぴょるです。働き方LABの研究員制度の第2期メンバーとして、実験計画書を書いたのが6月末。あっという間に3カ月が経とうとしています。12月のゴールまでの中間点に当たり、中間報告をします。 実験の目的と背景 現在、能古島をチルな島にしようと、活性化のためのプロモーション、イベント、マーケティングの3つのチームに分かれてプロジェクトが進行中です。 ちなみにチルとは、「まったりした」「のんびりとくつろいだ」を意味する言葉で、最近若者たちの間でよく使

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          目の前に倒れている人がいたら…を体験した日

          昨日は9月9日。救急の日だった。 先日、電車から降りると、駅のホームで倒れている女性がいた。 「大丈夫ですか」と、その女性に向かって一人の女性が何度も話しかけているが、いっこうに反応はない。 そのまわりで、複数の若者たちが心配そうに見守っていた。 「救急車は呼んだの?」と若者に尋ねると、「まだです。駅員さんを呼びに行ってます」という。 駅員さんより、先に救急車を呼ばなくては。 私は、すかさず119番通報をして救急隊の到着を待った。 途中、女性の意識が戻り、私たちは安堵し

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          離島DX! フリーランスチームの力で、小さな離島を変革できるか? ~紙媒体ライターの挑戦~

          働き方LABとはライター/元祖韓流ライターのぴょるです。働き方LABの研究員制度の第2期メンバーに選ばれました。 働き方LABとは、クラウドソーシングサイト「ランサーズ」が運営するフリーランスのコミュニティ。 研究員制度では、各自が働き方に関する研究テーマを決めて、実践・研究します。その際には企業などとの実証実験も可能です。 今回のプロジェクトの中に福岡市との実証実験があることを知り、応募しました。 地元・能古島の活性化にフリーランス仲間と取り組む 私が取り組むのは、地元・

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          ライター/元祖韓流ライター まなぎみきこのプロフィール

          【ご挨拶】 はじめまして。プロフィールをご覧いただき、ありがとうございます。 福岡市在住のライター/元祖韓流ライターの馬男木美喜子(まなぎみきこ)です。 紙媒体を中心にWEBや書籍のライティングを行っています。 ライター歴は紙媒体を14年。 人生100年時代の取材をしたのがきっかけとなり、生涯現役ライターを目指そうと決意し、最近は、上阪徹のブックライター塾で学びました。 WEB特有のライティングスタイルも習得し、紙、WEB、書籍、それぞれの特性に合わせたライティンをでき

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          「おかえりモネ」を見て再確認した、尹東柱の詩を読むということ

          NHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」の菅波先生が人気だ。 ヒロイン・モネに対する彼の言動の一つ一つに視聴者の視線が集まっている。 「あなたの痛みは僕には分かりません。でも、分かりたいと思っています」 恋愛以外にも通じる言葉だ。 私も、同じ言葉を韓国の高校生に言ったことがある。 21年前、地元のテレビ局が韓国の詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)のドキュメンタリーを制作することになり、私はソウルのある高校を訪ねた。 尹東柱の「懺悔録」について学ぶ国語の授業を見学するためだ

          「おかえりモネ」を見て再確認した、尹東柱の詩を読むということ