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【君からの手紙】新マスク文庫|「拝啓」七田苗子

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新マスク文庫の「拝啓」七田苗子×ジユンペイ こちらの小説へのお返事となる、「君」からの400字のお手紙。 採用作品は「拝啓」の裏に印刷します。
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#手紙

前略ごめんください

前略ごめんください

(みけにゃんさんありがとう♪こちらの企画に参加させていただきます♪)



ー 私は今、笑顔です。

あなたが木の下に来てくれた時、わたし、隣にちょこんと座っているの。そうして、うたた寝をしたり、あなたの顔を眺めたり。目に見えたり触れたりはできないけれど、一緒に葉っぱの歌声を聴いています。

だから、いつだって笑顔でいられるのよ。

風が半分だけ夏の香りになった日に、あなたの手紙は風が届けてくれ

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『返信 ついつい忘れてしまいます』

『返信 ついつい忘れてしまいます』

こっちでも

メイクを落としながら

素顔に戻る自分を見てると

鏡越しにあなたが

覗いてるんじゃないかって

思っちゃうよ

うん

雲はね

あなたが思っているほど

寝心地はよくない

いちどこっちに来てみたら

よくわかるかも

って

だめだめ

もどれないもん

あなたは草木の茂る

大地に足をつけて

しっかりと

奏でてください

この時代

クラウドサーバに

アップしてくれた

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ーあなたへー 【企画参加】

ーあなたへー 【企画参加】

ごめん

ごめんね

こんなふうに、あなたと離れ離れになるなんて

あの頃は想像もしてなかった・・・

海辺の土産店で、ふざけてかぶった帽子が

あまりにも似合い過ぎてて見つめ合った時

一生一緒にいると決めたのに

あの朝あなたが淹れてくれた珈琲は特別に美味しかった

それからは青いラベルが私たちの定番になったっけ

しあわせな時間だったよ

ねぇ 気づいてた?

丘の上の大きな木の下で、お気に

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拝復【400字のお手紙】

拝復【400字のお手紙】

やっと泣き顔を見なくなったと思ったら、今度はむすっと無表情。そんな貴方を見せられて、私が笑顔でいられると思う?

今だから打ち明けるけど、本当は私、紅茶派なの。珈琲好きの貴方に合わせて、初めに美味しいって言ってしまった手前、結局ずっと言い出せなかった。

それからあの帽子。実はね、そこまで好みじゃない。なのに夏のこだわりみたいに被っていたのは、ただ貴方が嬉しそうだったから。

2人で聴いてたあのメ

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拝復

拝復

あなたのやさしさ
あなたの声

あなたの匂い
抱きしめてくれた時の温もり

あなたへの恋情はずっと続いてます
お空の上からいつもあなたを見ています

安心してね
わたしはいつも笑ってるから

だってとてもたのしい所にいるんだから
あなたより先にきてしまっただけ

あなたがここにいないのはさみしいけれど
あなたに触れることができないけれど

わたしの好きな曲ちゃんと聴こえてるから
木の葉を揺らしてい

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拝復

拝復

あなたの想いがあふれる旋律を聴いた日、すこし涙がこぼれたわ。
あの日、天泣が降ったでしょ。あれは、わたしの涙。
あなたは、わたしが雲の上にいると思っているようだけど。
わたしは、いつでもあなたの隣にいるのよ。
ほら、今、風があなたの頬を撫でたでしょ。

わたしのお気に入りの麦わら帽子を放りなげてみて。
わたしはあの帽子をかぶって、走りだすわ。
帽子が舞い降りたところに、わたしはいる。

イヤホンを

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拝復

拝復

― あなたは今、笑っていますか?

お手紙ありがとう。その手紙で今、笑うことができました。

雲の上も大変なの。晴れの日もあれば、雨の日もある。

でも、悪いことばかりじゃない。
虹も架かるし、
あなたの手紙もふわふわと、
この場所まで届いてくれる。

満天の星空も、特等席で見れるの。

……それでも、ふたりで見たあの丘の夜空にはかなわない。

あなたの手、大好きな曲、分け合ったイヤホン、夏の風。

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拝復

拝復

私はこっちでもなんとかやってるわ。
あなたが届けてくれる大好きな曲を聴きながら。
だから心配しないで。

もうすぐ夏か。あなたの苦手な季節ね。
でも、少し痩せたからお気に入りだったあのズボンが履けるようになったんじゃない?
私といた頃に太って履けなくなったあのズボン。
でもね、ご飯はちゃんと食べなさい。
私はあなたに元気なおじいちゃんになってほしいんだから。
あなたは自分のことには無頓着だから心配

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