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「ほんとにしんどかった」 タイでの食あたり🇹🇭内科医が実体験を元に解説【東南アジア食中毒事情】

サワディーカップ!
みなさんお元気ですか?
Dr.クレヨンです🖍️

今回はタイ(バンコク)滞在中に、
食あたりしてめーっちゃしんどかった話です(泣)
東南アジアの食中毒事情も解説します!

チェンマイ 露天商①

体験記

6月初旬のある日。
気分転換にと、
夕方からローカルモールに向かい、
スタバで作業していた。

21時頃に切り上げ、
MRT(地下鉄)で帰ろうと駅まで
そさくさと歩いていた時だった。

「ぎゅるぎゅる…ぐぅーっ…」

お腹が不快な蠕動音を奏で始めた。
嫌な予感がする。

チェンマイ 露天商②

「やばい…ついにきたか…」

旅人界隈で恐れられているタイの食あたり。

タイは高温多湿の環境
+食品衛生管理への意欲の低さから、
食あたり(食中毒)の発生頻度が非常に高いです。

地下鉄に乗車するも、
次第に増強する下腹部痛。

あまりの辛さに一度降車してホームに座り込む。
著明な冷汗と動悸に襲われながら、
波が通り過ぎるのをじっと耐える。

最寄り駅までは後3駅(10分程度)
少し落ち着いたタイミングで再乗車し、
何とか最寄り駅まで到着。

チェンマイ 露天商③

最寄り駅構内のモールも既に営業終了しており、
トイレは使えない様子。

宿までは徒歩10分
到底我慢できる距離ではない。

藁にもすがる思いで近くの警備員に駆け寄る。

「Emergency… Where is a toilet?…」

顔面蒼白の私をみて緊急事態を察したのか、
封鎖されていたモールのバリケードを外し、
向こうにトイレがあるよと案内してくれた。

「ありがとう、君の名はーー」

などと聞く余裕はあるはずもなく、
気合いでトイレまで辿り着く。

チェンマイ 露天商④

トイレに座るや否や、
大量の水様性下痢便(ほぼ水)
体感2Lくらい出たかもしれない。

少し楽になったのも束の間。
「2アウト満塁 3番DH大谷が打席に!」
ってくらいの盛り上がりで
嘔気(吐き気)が登場。

気合いで家まで帰ると大量の嘔吐。
(🌈TVでよく見る虹の演出🌈)

夜に食べたものは全く
消化されておらずそのままリバース。
(苦手な方すみません。なるべくリアルに表現しています。)

チャオプラヤ川から望むワット・アルン
綺麗な画像で記事内容を浄化していきます

「何があたったんだろうか…」

心当たりはいくらでもある。
バンコクに来てはや2週間が経過。

最初は衛生面に気を付けていたが、
慣れとは怖いもので、
屋台のカットフルーツ、スムージー
生野菜から巻き寿司のようなものまで、
何でも食べていた(笑)。

日本人に人気「GAPOW TAPE」
辛さが5段階で選べますが、
日によって、作り手によって?辛さが違いました(困る)

何とか水分だけでも…と思い、
ストックしてあった水を飲み干す。

「おえーっ…🌈」
飲んでも飲んでもそのまま
全てリバースしてしまう。

下痢も止まらず、
全身が脱水状態に陥っていく。

強い口渇感と異常な倦怠感、
更に両足のこむら返りまで生じる事態に。割と重症だったかも(苦笑)

「点滴してほしい」

当時は飲水が全くできなかったので、

「ルート確保(点滴)して、外液2本と維持液1本さくっと入れてほしい…。」

なんてことを布団の中でうずくまりながら
考えていました。
正直、医者の自分でも病院に行くか悩みました。

遠い異国の地に1人、
メンタル的にもかなり追い込まれていました。
(当時助手のパレットはまだ日本に😇)

観光者向け夜市 JODD FAIRS
名物:唐辛子とハーブがたっぷりのポークリブのスープ
〜Chang Beerを添えて〜
ちなみに結構辛いです

深夜3時頃、ようやく嘔気と下痢が落ち着く。
重度の脱水に加え、
下痢による電解質K(カリウム)の不足も重なり、
足が痙攣していると推測するクレヨン。

ペットボトル水もなくなったため、
近くのセブンイレブンまで死力で向かう🔥
(関係ないですが、タイはセブンのコンビニシェア率が異常に高いです)

フルーツとゼリー、水を大量買いし無事帰宅。
フルーツ(特にバナナ)にはKが多く含まれています。下痢時には積極的に摂取していきましょう。

嘔吐はすぐ止まりましたが、下痢は1.2日持続。
3.4日寝込みましたが、以後回復。
何とか乗り越えられました。

通称「ピンクのカオマンガイ店」
50TBH(約200円)とコスパ最強。

タイ(東南アジア)の食中毒事情

Food poisoning(=食中毒)and your health insurance in Thailand

というLakshmi Chirumamillaさん著の
興味深い記事を見つけたので、
内容を要約して紹介します。

消化器系がタイの食事に慣れるには通常数ヶ月かかり、旅行者が体に馴染みのないものを食べると食中毒にかかる可能性が高まる。

※1  Lakshmi Chirumamilla. Food poisoning and your health insurance in Thailand

タイでの食中毒となりうる食材は、加熱処理が不十分な肉や魚介類、乳製品、果物、野菜、水など多岐に渡る。
最も一般的な症状は下痢と腹痛。中には、血便や重度の下痢を引き起こすことがああり、赤痢に似た症状を呈する人もいる。
ほとんどの人は数日で軽快するが、すぐに医師の診察を受けないと非常に重篤で、命に関わるものもある

※1 引用

タイの食中毒原因菌として多いのは以下。
①サルモネラ菌:感染源は、汚染された肉 (鶏肉、豚肉など)、卵、牛乳。動物の糞便で肥料を与えた果物や野菜にもサルモネラ菌が含まれている可能性がある。低温熱処理で殺菌可能。
②ブドウ球菌:人間や他の動物の皮膚常在菌だが、室温で急速に増殖し、毒素を生成。感染源は、調理の必要がない手作りの食品(サラダ、サンドイッチ、冷製ハムなど)。タイの小売食品におけるブドウ球菌の蔓延について調査した2012年の研究では、肉、野菜、魚介類、発酵食品のサンプルの39%がブドウ球菌に汚染されていた(Chirapornら。Prevalence of foodborne pathogens in retailed foods in Thailand)。
③大腸菌:大腸菌のほとんどは無害だが、O157:H7は重篤な症状を呈する。血便が出た場合は注意。
④リステリア菌この細菌は低温でも生存して増殖できる。感染源は、未処理の水・牛乳・乳製品(チーズなど)、生のもやしなど。加熱処理によって殺菌可能。
⑤ノロウイルス:細菌以外にウイルスにも注意が必要。

※1 引用

上記内容はタイに限らず、
東南アジア全ての国で当てはまると筆者は述べています。

プーケットで下痢蔓延。ノロウイルスが大半もその他は原因不明。

また記事でも述べていますが、
ウイルス感染にも注意が必要です。
実際プーケットでノロウイルスが
流行したという記事もあります(2023年)。

タイ航空の機内食
ボリューミーで普通に美味しい

一般的に食中毒は、
「感染源となりうる食事を摂取してから
どのくらい時間が経過して症状が出たか」

で大まかな原因菌の予想ができます。

しかし私の場合は、
食あたりの原因について心当たりがありすぎて
絞りきれませんでした。
症状経過からブドウ菌??という感じです。

地元民で賑わっていた屋台
「ミックスで(茹で鶏と揚げ鶏)」と注文。

またAsian Pacific Journal of Tropical Diseaseより

Food poisoning outbreak in Thailand

という記事も面白かったので紹介します。
以下DLリンクです。

https://www.researchgate.net/publication/282620287_Food_poisoning_outbreak_in_Thailand_A_review_on_situations

この論文ではタイでの食中毒の原因として、
細菌・ウイルスによる生物学的食中毒は勿論、
化学的食中毒にも注意を促しています⚠️

タイで検出された化学的食中毒の最多の原因は有毒植物である。
中でもキノコ類が最多で、他には有毒植物の種子も原因となりうる。
また殺虫剤「特にメトミル」にも注意が必要。
魚介類中毒はではムール貝が注目されている。

Beuy Joobら. Food poisoning outbreak in Thailand

かと言って色々気にしていたら
タイで何も食べられなくなります(笑)

ある程度食中毒に対して
知識を持っておくことで、
対処できることもあります(ブーメラン)。

盛り沢山でお腹一杯の内容でしたが、
少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。

Dr.クレヨン🖍️より。





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