錦明竹

釣り人。酔っぱらい。ときどきゲーマー。ゲーム屋人生へのレクイエムというフィクションとい…

錦明竹

釣り人。酔っぱらい。ときどきゲーマー。ゲーム屋人生へのレクイエムというフィクションということになっている小説を連載中。友人の子どもと元ゲームクリエーターとのむかしばなし。

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  • ゲーム屋人生へのレクイエム

    フィクション?はい。フィクションです。ゲーム屋人生のおはなし。

  • 大切なもの

  • いろんな思い

    テーマにこだわらずあれこれ書いてみる

記事一覧

ゲーム屋人生へのレクイエム 最終話

会社をクビになってゲームクリエーターを辞めて最終話になったころのおはなし 「ほぼ半年もはなしに付き合ったんですよ。その答えが入社試験を受けるってあり得ないじゃな…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 115

役員会で泥棒と呼ばれてキレて途中退席したころのおはなし 「クソな役員会を途中で退席してから2日経った朝に本社の役員からメールが届いたんだ」 「メールには何てあっ…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 114

突然役員会で吊し上げをくらったころのおはなし 「しかし、確かに専務から約束いただいています。そうですよね専務。どうかお答えください」 「私はそんなことを言った記…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 113

新たなブランドでの事業展開に喜んでいたころのおはなし 「第二弾は以前PSPで販売したタイトルのオンライン版のリリースだったんだ。キャラを増やしたりして若干の追加変…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 112

デタラメな事業計画を作らされて辟易していたころのおはなし 「オンラインでダウンロードするゲームには返品も値引きもないって話をしたよね」 「ええ、在庫がないし、小…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 111

オンラインゲームに特化したビジネスに舵を切ったころのおはなし 「順調に進んだオンラインゲームビジネスの準備だったんだけど、マジで面倒なことが起こったんだよ」 「…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 110

小さいプロジェクトで小さな利益を積み上げていたころのおはなし 「次々とプロジェクトを作っていますけど社員は何人いたんです?」 「会社の立ち上げを一緒にやったKと…

錦明竹
3年前
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2回目のコロナワクチンを接種した。2回目の副反応は強く出るってみんな言ってる。接種翌日に仕事を休む人続出。副反応でなくても明日の仕事は休んでもオッケー!?

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 109

初めて自分がプロデュースしたゲームが黒字になってゲームクリエーターになってよかったと思ったころのおはなし 「ここのところ早いペースで投稿が続いていますね。何かあ…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 108

オンラインゲームの失敗から多くを学んだころのおはなし 「初のオンラインゲームのリリースは社内では反対が多かったんだけど、いざやってみたらいい評価がたくさん寄せら…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 107

ブランディングについて考えていたころのおはなし 「それでオンラインゲームはどんな企画だったんですか?」 「マルチプレイを考えてスポーツものにした。チームで遊べる…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 106

オンラインゲームに参入することを決めたころのおはなし 「オンラインゲーム市場に参入することを決めたんだけど、パッケージゲーム、いわゆるカートリッジやディスクとか…

錦明竹
3年前
7

ゲーム屋人生へのレクイエム 105

本社からの製品供給がストップされたころのおはなし 「本社だけに製品供給を依存できない理由がもうひとつあってね」 「どんな理由だったんですか?」 「本社開発は海外…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 104

大手小売りからの追加注文を断ったころのおはなし 「その後PS3ゲームの売れ行きはどうなったんですか?」 「予想通りの赤字だったよ。初回出荷の1/3が売れ残った。おかげ…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 103

販売委託契約を解除する為に本契約を締結したころのおはなし 「前回は契約解除のはなしをしたけど、契約期間中にPS3ゲームを彼らに販売してもらっててね。俺が会社に入る…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 102

契約書が存在しない契約をなんとかしないといけないころのおはなし 「本当に契約書は存在しなかったんですか?」 「専務はそう言ってた。しかし本当のところはわからなか…

錦明竹
3年前
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ゲーム屋人生へのレクイエム 最終話

ゲーム屋人生へのレクイエム 最終話

会社をクビになってゲームクリエーターを辞めて最終話になったころのおはなし

「ほぼ半年もはなしに付き合ったんですよ。その答えが入社試験を受けるってあり得ないじゃないですか!?」

「ほお。じゃあ逆に聞くけど、それ以外にどうすればゲームクリエーターになれるんだい?フリーのゲームクリエーターもいるけど、どうすれば一人でも食っていけるクリエーターになれるの?」

「そ、それは・・・えっと・・・」

「ゲ

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ゲーム屋人生へのレクイエム 115

ゲーム屋人生へのレクイエム 115

役員会で泥棒と呼ばれてキレて途中退席したころのおはなし

「クソな役員会を途中で退席してから2日経った朝に本社の役員からメールが届いたんだ」

「メールには何てあったんですか?」

「責任者としては不適格だから社長を解任する。子会社も閉鎖する。とあった」

「え!?クビになったんですか?」

「そうだ。社員全員クビになった」

「役員会を途中で退席しただけで、そんなにあっさり会社を閉めちゃうんです

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ゲーム屋人生へのレクイエム 114

ゲーム屋人生へのレクイエム 114

突然役員会で吊し上げをくらったころのおはなし

「しかし、確かに専務から約束いただいています。そうですよね専務。どうかお答えください」

「私はそんなことを言った記憶はない。キミの思い違いだろう。それにしてもだ。キミは本社から金を借りているんだ。その立場を理解していない。返済する計画も無い、赤字の事業を説明する資料もない。いったい何様のつもりなんだ。2億も借金しておきながら責任というものが全くない

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ゲーム屋人生へのレクイエム 113

ゲーム屋人生へのレクイエム 113

新たなブランドでの事業展開に喜んでいたころのおはなし

「第二弾は以前PSPで販売したタイトルのオンライン版のリリースだったんだ。キャラを増やしたりして若干の追加変更をして販売したんだ。

こうすることで新しくゲームを開発しなくていいからラインアップを増やすにはちょうどいい。すでにあるIP、IPって言うのは知的財産のことだ。このIPを使わない手はない。日本の開発元に話を持ち掛けたら二つ返事で了承し

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ゲーム屋人生へのレクイエム 112

ゲーム屋人生へのレクイエム 112

デタラメな事業計画を作らされて辟易していたころのおはなし

「オンラインでダウンロードするゲームには返品も値引きもないって話をしたよね」

「ええ、在庫がないし、小売りを通さなくても販売できるからですよね」

「そう。もうひとつすごくいいことがある。さてそれは何でしょう」

「店に買いに行かなくてもいい!」

「まあ、間違っては無いが。正解は発売した後にソフトを変更できるということだ」

「アップ

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ゲーム屋人生へのレクイエム 111

ゲーム屋人生へのレクイエム 111

オンラインゲームに特化したビジネスに舵を切ったころのおはなし

「順調に進んだオンラインゲームビジネスの準備だったんだけど、マジで面倒なことが起こったんだよ」

「どんな面倒です?」

「それは本社の経理から、事業計画を出せと言われたんだよ」

「あれ?事業計画って無かったんでしたっけ?」

「子会社は非連結だったから事業計画はなかったんだ。覚えているだろう。本社が使った開発費を子会社におっかぶせ

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ゲーム屋人生へのレクイエム 110

ゲーム屋人生へのレクイエム 110

小さいプロジェクトで小さな利益を積み上げていたころのおはなし

「次々とプロジェクトを作っていますけど社員は何人いたんです?」

「会社の立ち上げを一緒にやったKとマーケティング、企画兼プログラマー、プロダクトマネージャーそして俺の5人だよ」

「いつの間にか増えたんですね」

「俺とKでこなせる仕事の量ではなくなったからね。人が増えれば仕事を増やすことができる。増員も大事な投資だよ。メンバーが増

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2回目のコロナワクチンを接種した。2回目の副反応は強く出るってみんな言ってる。接種翌日に仕事を休む人続出。副反応でなくても明日の仕事は休んでもオッケー!?

ゲーム屋人生へのレクイエム 109

ゲーム屋人生へのレクイエム 109

初めて自分がプロデュースしたゲームが黒字になってゲームクリエーターになってよかったと思ったころのおはなし

「ここのところ早いペースで投稿が続いていますね。何かあったんですか?」

「最近チンタラ投稿していたので気合を入れて書くことにしたんだよ。今までは一日一投稿みたいなケチ臭いことをしてたけど書きあがったら即投稿することにしたぞ。最終話も近いことだし」

「バラしちゃっていいんですか」

「大丈

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ゲーム屋人生へのレクイエム 108

ゲーム屋人生へのレクイエム 108

オンラインゲームの失敗から多くを学んだころのおはなし

「初のオンラインゲームのリリースは社内では反対が多かったんだけど、いざやってみたらいい評価がたくさん寄せられてやってよかったと思ったんだよ」

「どうして反対したんですかね」

「どこでもそうだけど新しいことに懐疑的になるのはよくあることだ。未知のリスクを過大に怖がることも理解できる。

この会社は最先端の技術を使って毎年デカいタイトルの開発

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ゲーム屋人生へのレクイエム 107

ゲーム屋人生へのレクイエム 107

ブランディングについて考えていたころのおはなし

「それでオンラインゲームはどんな企画だったんですか?」

「マルチプレイを考えてスポーツものにした。チームで遊べる球技だ。キャラはゲームのサイズも考えてシンプルな一昔前のゲームっぽいデザインにしたんだ。ルールも分かっているし、とっつきもいいだろうと考えたんだよ。

ハードはアメリカでは主流だったXBOXを選んだ。マイクロソフトとは以前A社でゲームを

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ゲーム屋人生へのレクイエム 106

ゲーム屋人生へのレクイエム 106

オンラインゲームに参入することを決めたころのおはなし

「オンラインゲーム市場に参入することを決めたんだけど、パッケージゲーム、いわゆるカートリッジやディスクとかの既に存在するマーケット向けのゲームも開発しなくてはならなくてね。本当は舵をオンラインゲームに完全に切りたかったんだけどできなかったんだ」

「なんでできないんですか?やればいいじゃないですか」

「未知のマーケットに100%舵を切るとい

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ゲーム屋人生へのレクイエム 105

ゲーム屋人生へのレクイエム 105

本社からの製品供給がストップされたころのおはなし

「本社だけに製品供給を依存できない理由がもうひとつあってね」

「どんな理由だったんですか?」

「本社開発は海外向け大型タイトルの開発を受託してたから開発スケジュールの空きがほとんどなくって、どう頑張ってもらっても年間に1タイトルしか子会社向けの開発はできなかったんだ」

「年間1タイトルじゃ全然少ないですね」

「そう。1タイトルでは商売でき

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ゲーム屋人生へのレクイエム 104

ゲーム屋人生へのレクイエム 104

大手小売りからの追加注文を断ったころのおはなし

「その後PS3ゲームの売れ行きはどうなったんですか?」

「予想通りの赤字だったよ。初回出荷の1/3が売れ残った。おかげで定価で販売した分の利益は全て吹っ飛んだ。本社から背負わされた開発費を除いたとしても赤字だった」

「どうして売れなかったんですか?」

「それはマーケティングをしていなかったからだよ。広告は出してたけどね。前にも説明したけどマー

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ゲーム屋人生へのレクイエム 103

ゲーム屋人生へのレクイエム 103

販売委託契約を解除する為に本契約を締結したころのおはなし

「前回は契約解除のはなしをしたけど、契約期間中にPS3ゲームを彼らに販売してもらっててね。俺が会社に入る前に開発は完了してたから開発には何も絡んでなかったけど、新しい子会社はディスク生産の発注や宣伝広告費の支払いとかの業務だけをやってたんだ」

「売れたんですか?そのゲーム?」

「数はぼちぼち売れたけど赤字だった。正確に言えば最初から赤

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ゲーム屋人生へのレクイエム 102

ゲーム屋人生へのレクイエム 102

契約書が存在しない契約をなんとかしないといけないころのおはなし

「本当に契約書は存在しなかったんですか?」

「専務はそう言ってた。しかし本当のところはわからなかったんだ。それで契約先の会社に問い合わせたんだ。そうしたら契約書はあるって言うんだよ」

「言ってることが真逆ですね。どっちが本当なんですか?」

「どっちが本当がわからなかった。それで直接出向いてその契約書を見せてもらうことにしたんだ

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