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人生エッセイ「エスの少年時代」

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少し変わった少年「エス君」が幼少期から大学生時代まで体験した「出来事」「感情」「思考」を生々しく綴ったエッセイです。時系列順に読んだ方が臨場感があると思います。 <概要> 幼少期…
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#思い出

幼稚園と病院の思い出

<文字数:約6500字 読了目安時間:約13分>

幼稚園入園
 お母さんと一緒に幼稚園の入園式に向かう。僕はよくわからないけど元気が溢れていて、走り回っていた。知らない道路が面白くて、ひたすらにエネルギーに満ち溢れ、理由なく走り回る。母は困っているようだった。僕があまりにも元気ですぐに遠くまで走り去ってしまうせいだ。だけど元気なんだから仕方がない。幼稚園には、見た事の無いほど広い運動場と、ブラン

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小学1年生の頃の話

<文字数:約13000字 読了目安時間:約26分>

身だしなみ
 お母さんに「腕を広げて」と言われた。言われた通りにしたら、新しい服を着せられた。じゃあこれはどう?と言われ、次々に別の服を着せられた。普段優しい母は、身だしなみにはうるさく僕を何度も着せ替えた。母は以前は服屋で働いていたらしく、服が少しでもほつれているとミシンで修復した。小学校の入学式のために、身だしなみをきちんとしないといけない

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小学2年生の頃の話

<文字数:約7500字 読了目安時間:約15分>

2年生になった
 国語の教科書にはいろんな話が載っている。これを保護者の人、つまり母に朗読する「本読み」の宿題がいつも課せられる。教科書には、「おてがみ」というタイトルのカエル君の話が書かれていて、これを読まなければならない事が嫌で仕方なかった。一年生の頃からカエルが嫌いだと皆に知られているのに、どんな気持ちでカエル君の話を朗読すればいいのか。嫌

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小学4年生の頃の話

<文字数:約8200字 読了目安時間:約16分>

なんで知っとん
 母の観ている番組を後ろから見ている。時々、例えばドラマの人物について指摘すると、母は驚いたように言う。
「え~!?なんで知っとん?」
こう言われると、馬鹿にされているような気持ちになってしまう。幼稚園児に対して言っているようなリアクションだ。
知ってちゃいけないのか?という気持ちになる。今後は母の前では、母の得意分野について何も

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中学1年生の頃の話

<文字数:約9400字 読了目安時間:約18分>

中学校入学
 ついに中学校に入学。大きい運動場、大きい建物、そして大きい人達。年上の人間ばかりで怖い。母と一緒に制服や教科書、画材、楽器などを購入するのだが、とりあえず印象的なのはリコーダーが大きい事だ。中学校はまるでマリオ3の巨大の国みたいに、小学校がそのまま大きくなったような印象を受けた。

新しい友達を作るぜ
 中学になると、違う学校から入

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中学2年生の頃の話

<文字数:約11200字 読了目安時間:約24分>

エスは中2になった
 友達を作らない決意を固めたまま、2年生に進級した。クラスにはあまり知らない人ばかりだった。距離を置き、仲良くなり過ぎないように気を付けた。
「エスくん!」
と話しかけられても、
「あ……」
プイとそっぽを向き、あまり興味を持たれないようにした。
 やがて、そうしていると、見事に友達が一人もいない状態となり、完全に孤立した。

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中学3年生の頃の話

<文字数:約11300字 読了目安時間:約22分>
中一・中二の続きになります。

中学三年生
 中三。いよいよ受験のムードが高まり、そろそろ勉強をしなければと思う。中二でコミュニケーション能力を失ってしまった自分は、その遅れを取り戻したい。今年度は、なんとしてもうまくやりたい。リハビリであり、挑戦である。楽しかった中一、辛かった中二。そしてこれからの中三、果たしてどうなる。

クラス編成
 小学

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高校2年生の頃の話

<文字数:約14000字 読了目安時間:約28分>

キャラチェンジ
 2年生になり、クラスのメンバーが一新する。新しい生徒の名前はほぼ誰も知らない。良い機会だからキャラチェンジを試みようと思う。陰気な性格でも、せめて最初に元気を装った方が少しでも居心地の良い一年間になるかもしれない。クラス替えの最初には、定番の自己紹介がある。こういう場面で無理してでも明るく振舞う方が良いかもしれない。いままでは

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高校3年生の頃の話

<文字数:約4800字 読了目安時間:約9分>

友達と友達の邂逅
 今回のクラスは、高一の頃のゲマ君と、高二の頃のナンバ君が一緒にいる。別の友達が同時に存在する…あのゲマ君とあのナンバ君が…あの頃の恐怖を思い出してしまう。中一の頃に、別々の友達を引き合わせる気まずさを。しかし、実際には普通にゲマ君とナンバ君は普通に話している様子だ。僕は、変にいたたまれないような気持ちになってしまう。だけど現実に

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