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おりたらあかんの読書ログ

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年間100冊を15年間続けてきました。でも、本当に知らないことばかり!というかアウトプットがまだ少ないなあと感じています。過去に読んだ本は「読書ログ」としてまとめてきたので、それ…
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#自然

早川ユミ「くらしがしごと」扶桑社  土着のフォークロア

早川ユミ「くらしがしごと」扶桑社  土着のフォークロア

「くらしがしごと」は陶芸家であり、柳宗悦とともに民藝運動の中心メンバーであった河井寛次郎の詩集「いのちの窓」の中の一節。著者をささえたこの一節が本のテーマになっている。

NO Art NO Life
成長至上主義から脱成長社会へ
そのパラダイムシフトにこそ人類の未来がある。
国や政府にたよらない「くらしのアナキズム」

単なる自給生活者ではなくその世界観をしっかり発信していることに価値があると俺

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伊東俊太郎「一語の辞典 自然」三省堂

伊東俊太郎「一語の辞典 自然」三省堂


現在、我々が使っている自然という言葉。これがどのような経緯で日本にはいって来たのか。あらゆる角度から検証している。

まずこの概念の語源から考えると、ギリシャ語の「ピュシス」にぶちあたる。意味は「はえる、生長する、生成する、生成した後の状態」といった意味になるらしい。

この「ピュシス」は古代ギリシャでひろく使われた。ヒポクラテスは自然治癒力に使用し、アリストテレスの「自分自身の中に運動の原理を

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柴田佳秀「カラスの常識」寺子屋新書

柴田佳秀「カラスの常識」寺子屋新書

カラスは嫌われ者。正直俺も好きではない。しかし気になる存在であることに変わりはない。いったいカラスって何?その疑問に答えてくれるのが本著だ。少なくとも俺の頭の中で「カラス=有害ではない」というパラダイムが生じたことは大きかった。

ゴミが少なかった昔は童謡を聞いてもわかるが、カラスは人間にとって近しい関係にあった。しかし、経済成長を遂げた後、カラスはゴミを食い荒らし、時々人間も襲う敵になった。

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ミヒャエル・エンデ「モモ」岩波少年文庫

ミヒャエル・エンデ「モモ」岩波少年文庫

児童文学とかファンタジー小説とはほとんど縁がない俺だが、知り合いの方から何度も薦められて読んでみた。正直、驚いた。社会的なメッセージがかなり強烈に込められている。「NHK100分de名著」に取り上げられただけある。「児童文学、なめらたらあかんぜよ!」ガツンときた感じ・・^^‼

舞台はある都市の円形劇場廃墟。ここにモモという少女が住んでいる。恰好や身なりはみすぼらしい。普通に考えたら単なる路上生活

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鈴木大拙「一真実の世界」近藤書店

鈴木大拙「一真実の世界」近藤書店

昭和16年発行のセピア色の本。当時の科学万能主義に疑問を呈し、「自然の反逆児」としての人間の性を直視する姿に共感する。

大拙はこの人間社会の限界を超克するものとして「霊性」を掲げており、それに目覚める道として「禅」の心を説いている。

3次元の世界に凝り固まって自分の世界を狭くしている人間に「脱次元の発想」を提案している。

弱肉強食を良しとする西洋的思考法の限界を厳しく指摘し、彼は東洋思想との

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長田弘「なつかしい時間」岩波文庫

長田弘「なつかしい時間」岩波文庫

風景
私たちは何を見ているのか?クローズアップされた限定的な景色、情報を見て、全体を退けていやしないか?見えないモノを見えるようにした代償として見えるモノが見えなくなってしなってはいないか?パソコンの画面を見ながら、眼前の風景に鈍感になってしまっているのではないか?記憶や言葉、コミュニケーション粗末にしていないか?耳が痛いがあまりにも正鵠を射た言葉だと思った。仕事をしているとき、大事なのは働く人の

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平井敏晴著 岡本敏子監修「岡本太郎が愛した韓国」アドニス書房

平井敏晴著 岡本敏子監修「岡本太郎が愛した韓国」アドニス書房

1964年11月、俺が生まれた年に岡本太郎は韓国に初めて訪れている。
当時の韓国といえば一般家庭に電気の供給が行き届かないほど困窮し北朝鮮よりも貧しかったころだ。当時のイメージとしては、今の北朝鮮をみつめるような視線だった。しかし、岡本太郎の人間的な肉眼は韓国文化の真髄を見事に見抜いていた。
「ここは人間の本来的生き方のふるさとなのだ」
「貧困、そして苦しい闘いは必ずしも暗さではない。そんな生活の

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