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いつかのあの木を想う

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処女詩集
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#陽炎

産声

産声

懐かしいあなたの笑顔

100年前にこの世に落っこちた

そのとき天と海涙流した

もう二度とないよな

この生命

もう一度逢いたいと

流れてくる

希望が

夢が

こころが

沢山の勇気に支えられたのだ

あの山はいまも堂々と聳えている

蟲 

蟲 

峠幾つも
越えては進む
懐かし詩集
携え進む

沸き立つ孤独
高鳴れ鼓動
蟲の音響く
闇夜の森よ

帰り路に
お茶でも一寸
約束果たせず
おうちへ帰る

沸き立つ孤独
高鳴れ鼓動
蟲の音知らす
光夜の森よ

朝まで話し
焚火を蒸しや
おいもを焼いては
もぐもぐ食べる

沸き立つ孤独
高鳴れ鼓動
蟲の音知らす
偉大な森よ

秋草風 しゅうそうふ

秋草風 しゅうそうふ

あきいろのかぜふいたら

あなたとあぜみちあるいている 

こおろぎもきようはどこかおとなしい 

またさんまをやいているおばあちゃん

しあわせをすこしかんじながら

いちじくのはやしは 

ほんのすこしだけいろづいて 

あきのやさしいひかりたちがほら

きみのわらうかおを 

おおきなみずうみにうつしている  

もしもないていたなのなら

わたしのことすこしおもいだして 

あいをう

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似顔絵

似顔絵

小さなさかなが見慣れた池泳ぐ
秋の木の葉があなたの頬撫でる
あなたの手が温かくてやさしかつたのは
このほしの神秘だと気づいた

ぼくの描いた似顔絵見てくれたのかな
あなたの手紙を待つてゐる
あなたと過ごしたこの町で

あなたが嘘をついた日から
なんのために息をしているのかわからないから
哀しみなんてチンケに響くわたし
1日だけあなたとまた暮らしたいつて思うのは
わたしがしあわせだつたからでしょうか

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