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【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

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心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。
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#小説

【掌編×短歌】ほどける

【掌編×短歌】ほどける

窓辺には金木犀の香りまたきみがほどけるきっかけを生む

人の記憶は、匂いと強く繋がっているという。ウェブ記事で読みかじっただけの知識だから、深い理由や正確な仕組みはわからない。けれど、いま私のとなりにいる彼を見れば、そのことが実感として理解できるのだ。

半休の取れたとある秋の水曜日、私は昼ごはんもそこそこに済ませ、急いで帰宅した。自宅に到着したとき彼は、寝室でまだ横になっていた。遮光カーテンも開

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唯一になれなくたってそばにいるゆく夏の背に影を穿って #短歌

以前、【ゆく夏に穿つ】という小説を書きました。よろしければ、この季節にぜひお読みください。解離性同一性障害の男性と孤独な女性の出逢いの物語です。
https://note.com/cocot_sszk/m/mc3f78d9beab2

影送りきみがみていた幻は他者が狂気と呼びたがる愛 #短歌

【お知らせ】
ひさびさに小説を書きました。夏の夜の読書にどうぞ。

【掌編】面影【note神話部2022年夏の企画】
https://note.com/cocot_sszk/n/n8de88cc9e858

【掌編】ふたり/中指

【掌編】ふたり/中指

雪解けは終わりの合図、春
そしてきみは言うんだ
「はじめまして」って笑顔が似てきたね、と藍子に言われて以来、ときどき鏡に向かって笑ってみる自分がいる。よく夫婦は似るものだと言われるけれど、私たちも例外ではないようだ。

「では、あなたはご自身のアイデンティティの一部として病気を認識しておられると?」

灼熱の真夏、クーラーの効いているはずのコーヒーショップの一角が、やけに居心地悪く感じられた。私は

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歌集「流るるる」完成しました!

歌集「流るるる」完成しました!

こんばんは、笹塚です。今日は新刊のお知らせの記事です。

11月22日(日)の文学フリマ東京でお披露目する歌集「流るるる」が先日、無事に刷り上がりました!

こちらのレビューをしてもらいたくて、さっそくnote街の盟友・上田聡子(ほしちか)ちゃんに特別にご購入いただきました! ほしちかちゃんの愛のあふれる解説付き紹介記事はこちら。(ほしちかちゃん、ありがとー!)

こちら、リリースは11月の文学フ

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