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【MLB】ステロイド時代 関連記事まとめ

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#ドーピング

【PED】Orelvis Martinez、禁止薬物陽性【Short】

【PED】Orelvis Martinez、禁止薬物陽性【Short】

現地6月23日、つい数日前にコールアップされ、MLB初ヒットを記録したばかりのOrelvis Martinez(オレルビス・マルティネス) がクロミフェン(Clomiphene)という禁止物質に陽性反応を示していたことが発覚。即時80試合の出場停止処分が言い渡されました。
新しい風を吹かせたいブルージェイズにとっては待望の野手№1プロスペクトの昇格だけあって、ファンベースでのショックも大きいように

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【MLB】球史最大の汚点「ステロイド時代」とは【改訂版】

【MLB】球史最大の汚点「ステロイド時代」とは【改訂版】

早いもので、初めてnote投稿をしてから6年近く経過しています。その初投稿のテーマとなったのは今回と同じくステロイド時代に関するもの。ありがたいことに今でも多くの方に読んで頂いている一方で、思えば根拠となる文献の真偽も不確かな点が多いです。受け手に誤った情報を伝えるような箇所も含んでいることもあり、果たしてこれで良いのかと常々感じていました。
ついては改訂版と銘打ち、できる限り出典を明記した上で、

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【PED】衝撃、球界トッププロスペクトの出場停止

【PED】衝撃、球界トッププロスペクトの出場停止

日本時間3月9日の午前6時頃、球界の損失とも取れるニュースが舞い込んできました。シンシナティ・レッズのトッププロスペクトであるNoelvi Marté内野手がPED(身体強化薬)を使用したとのことで、80試合の出場停止処分が下されたとのことです。

2022年8月にFernando Tatis Jr.が禁止薬物陽性となって以降、久しくPED規定違反者のニュースは耳にしていなかっただけに非常にショッ

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【MLB】Robinson Canóへ捧げる仮説

【MLB】Robinson Canóへ捧げる仮説

2009年のワールドシリーズを制したことで,通算27度目の優勝を果たしたニューヨーク・ヤンキース。以来,1度もWS進出が叶っていないのは悲しいですが来年こそは・・。
当時のヤンキースといえば非常に分厚い選手層に目が行きますが,なんといっても最大の魅力はレジェンドひしめく内野陣でしょうか。遊撃手には3,000安打を達成し殿堂入りを果たした稀代のスーパースターDerek Jeterが座れば,三塁手には

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【MLB】BondsとClemensは時代選考でも殿堂入りならず【Short】

12月4日,ベテランズ委員会は今年度の殿堂入り選手を発表。かつてBBWAAでの殿堂入りを果たせなかったFred McGriffが有権者16名中16名の満票を獲得し,栄誉あるクーパーズタウン行の切符を手にしました。
一方で,2022年1月末のBBWAA選考で10度目の落選となったBarry Bonds,Roger Clemens,Curt Schillingが登場したものの,いずれも75%のラインで

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【MLB】1991年時点で筋肉増強剤は禁止されていた?【ステロイド時代】

【MLB】1991年時点で筋肉増強剤は禁止されていた?【ステロイド時代】

この一文は1991年6月7日,当時のMLBコミッショナーであったFay Vincentが各球団に対して通知した7ページの文書の一文です。ここで記載の違法薬物【illegal drug】はコカインなどの麻薬物質を指しており,規制薬物【controlled substance】はアナボリックステロイドなどの筋肉増強剤を指しています。

そもそもcontrolled substanceの根拠とは何ぞや?

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【MLB】歴史に隠れたスキャンダル?「ピッツバーグ薬物裁判」

【MLB】歴史に隠れたスキャンダル?「ピッツバーグ薬物裁判」

" Say it ain't so, Joe! "---「嘘だと言ってよ,ジョー!」
というフレーズで有名な『ブラックソックス事件』。1919年のワールドシリーズにおいて,賭博師やマフィアと共謀の上,わざとチームが負けるようにプレーしたシカゴ・ホワイトソックスの主力8人による八百長が発覚。当時のホワイトソックスオーナーが極端にケチであったことが一因であったために,処分を受けた8人はのちに「アンラッ

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【MLB】61本塁打が”True Record”とされる理由【ステロイド時代】

【MLB】61本塁打が”True Record”とされる理由【ステロイド時代】

1961年,ニューヨーク・ヤンキースに所属していたRoger Marisは,同球団のレジェンドBabe Ruthの保有していたMLB年間最多60HR記録と並ぶ勢いで本塁打を量産。シーズン最終戦となる10月1日に「№61」を放ち,見事シーズン最多本塁打記録を樹立しました。

時は流れ2022年シーズン,同じくヤンキースのAaron Judgeが脅威的なペースでアーチを描いており,仮に「№62」を記録

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【PED】Tatis Jr.の禁止薬物陽性についての所感

【PED】Tatis Jr.の禁止薬物陽性についての所感

日本時間にして8月13日の早朝,衝撃的なニュースが飛び込んできました。

サンディエゴ・パドレスに所属するFernando Tatís Jr.(23)が禁止薬物であるクロステボルに陽性反応を示したとのことで80試合の出場停止処分。悪い意味で眠気の覚めるようなニュース。

今更感がありますが,MLB30球団ファン合同noteにおける禁止薬物関連担当の立場として,MLB史に刻まれるような本件を,簡潔に

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【MLB】2022年アメリカ野球殿堂入りについての所感【ステロイド時代】

【MLB】2022年アメリカ野球殿堂入りについての所感【ステロイド時代】

※すべて無料で閲覧可能です。

 日本時間の1月26日午前8時,2022年のアメリカ野球殿堂入り選手が決定しました。殿堂入りのためには全米野球記者協会(BBWAA)の記者投票で75.0%以上の得票を得る必要があり,今回の投票でその資格を得たのはボストン・レッドソックスの英雄であるデイビッド・オルティズ(David Ortiz)ただ1人という結果になりました。

 反対に,有資格年限である10回目の

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第二部「What is doping?」 Vol.3「血液ドーピング」

第二部「What is doping?」 Vol.3「血液ドーピング」

 最近は何を投稿するにも謝罪から始まっている気がするが,今回も同様に謝罪から始めさせてもらう。今年の3月1日に開始した禁止薬物の三部作のひとつ「What is doping?」であったが,実に2ヶ月も更新をしていなかったのだ。そもそも皆々様には忘れ去られていたレベルなのではなかろうか。なかなかインプット&アウトプットに係る時間が無かったとはいえ,ここまで間延びしてしまったことをお詫びしたい。

 

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第二部「What is doping?」 Vol.2「アデノシン三リン酸(ATP)を作り出せ」

第二部「What is doping?」 Vol.2「アデノシン三リン酸(ATP)を作り出せ」

 前回のVol.1「トランスジェンダーのスポーツ参画とスポーツマンシップ」では直接的にいわゆる「薬物ドーピング」との関連はなかったが,今回のVol.2「アデノシン三リン酸(ATP)を作り出せ」では今後の「薬物ドーピング」の根幹にかかる基礎知識としてお話しさせていただきたい。

①アデノシン三リン酸(ATP)とは? 理系の皆々様であれば生物でしっかりと理解されている分野であると思うが私含めまともに生

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第二部「What is doping?」 Vol.1「トランスジェンダーのスポーツ参画とスポーツマンシップ」

第二部「What is doping?」 Vol.1「トランスジェンダーのスポーツ参画とスポーツマンシップ」

(ツイッターにて投稿した内容と同じです。念のためこちらにも投稿させていただきます。)

はじめに 昨年11月にNoteへ投稿したMLB「ステロイド時代について考える」にて野球界におけるドーピングの蔓延,規制の流れ,ドーピング使用のあり方についてざっくりとまとめさせていただいた。今回はその第2部としてよりスポーツ界全体におけるドーピングのあり方を知っていただくためにこのような形で投稿させてもらう。

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