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【新卒就活】業界研究のための財務諸表分析4つ

みなさん、こんにちは!
総合商社2年目、就活アドバイザーのYasuです。

寒くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
私は昨日仕事納めでした。
昨年とは異なり忘年会や納会もなかったため、年末という感じが全くないです。

この9連休もあまり予定を入れていないので、たくさん記事が書けたらなと思っております。
なかなか外出もしづらい状況ですよね。。。

さて、今回は就活対策記事です。

皆さんは業界研究を行う際にどのようなポイントを調べていますでしょうか。
もちろん人事部の方を始めとする社員の人柄や企業文化、制度も大事ですが、個人的には各社の財務諸表もチェックしてもらいたいと思います。

人柄は会う社員によって千差万別ですので、「思っていた感じと違う!」こともありますが、
定量的に比較できる財務諸表にギャップはありません。

また、もしあなたが
「年収の良い会社に就職したい!」
と考えていたとしても、その会社のビジネスに持続可能性、成長余地がなければ、5年後・10年後に目標としていた年収がもらえないかもしれません。

今日は、就活生のみなさんに財務諸表を活用した業界研究についてお伝えできればと思います。

ちなみに私は大学院まで経営学を学んできましたので、でたらめな財務分析は紹介していない自信があります!

筆者ってどんな人?
2019年卒で、総合商社にて勤務しております。
出身大学はMARCHレベル。
就活時は幅広く業界を見ており、40社に本エントリー。インターンを合わせると面接も70回以上受け、結果的に外資金融、外資コンサル、大手食品メーカー、広告代理店を含む6社から内定をいただきました。
noteでは、就活のコツや総合商社業界に関する記事を中心に書いています。
profile:https://note.com/bookbility/n/nfd1539ae83ba

業界研究における財務諸表分析

就活で業界研究を行うにあたって、財務諸表の分析は必須です。
とはいえ、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の
すべての項目を調べていたら日が暮れてしまいますよね。
ぜひチェックしていただきたい項目を以下4つに絞りました。

1. 純利益
2. ROE
3. キャッシュフロー
4. 中期経営計画

全ての数値は各企業のIR向けページにて確認できます。
ちなみに上場企業では四半期ごとに、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の提出が求められています。

1. 純利益

まず基本中の基本ですが、損益計算書にある当期純利益は絶対にチェックしてください。

損益計算書とは「会社がどれくらいの利益をあげたのか」を見る決算資料で、収益・費用・利益が書かれています。

損益計算書は以下の構造になっています。

売上高ー売上原価
=売上総利益
 ー販売費及び一般管理費
=営業利益
 ー営業外費用
=経常利益
    +特別利益 ー 特別損失
=税引前登記純利益
 ー法人税等
★当期純利益

当期純利益は売上が出るまでに至ったすべての費用、特別利益損失、法人税を加味した一番最後に出てくる数字になります。

業界内にてどの企業が一番利益を出しているのか、確認しましょう。

ここでのポイントですが、過去3~5年は確認するようにしてください。
毎年順位が変動する業界も多いです。

総合商社の例を見てみます。
業界5位の丸紅は資源価格の低下や過去の案件の減損を理由に2019年度の期末決算にて、1,975億円の赤字を計上し、大きなニュースになりました。

しかし、同年度19年度純利益で4位、1714億円の黒字だった住友商事が2020年度に1,500億円の赤字を計上する見通しを発表しました。
一方で丸紅は1500億円のプラス見通しです。
詳しくは過去の記事をご覧になってください。

2019年度の業績で比べると住友商事の勝ちになりますが、
2020年度だと丸紅の勝ちになってしまいますよね


総合商社業界では事業会社の減損を計上するタイミングによって、特に純利益が大きく変動する業界ではありますが、あなたが分析する業界でも同じことが起きてたとしたら、いかがでしょうか。

1年だけ純利益を比べて判断することの危険性を分かっていただけたかと思います。

ぜひ純利益は3~5年間で比べてみて下さい!

★事業セグメントごとの純利益にも注目!また、複数の事業を行う企業を研究する際は、事業セグメントごとの純利益を見ると良いかと思います。

当たり前の話ですが、利益を上げていないビジネスに多くの新入社員を配属するとは考えづらいです。
例えば、総合商社業界でいうと、新型コロナウイルスの影響を受けてモビリティ・自動車事業でマイナスを計上しています。
特に三菱商事は、出資を行う三菱自動車の減損分だけで500億円の赤字を出す見込みです。


このような状況下では、自動車分野に多くの新入社員を配属しないのではないかという予想がつきますよね。

事業セグメントごとの利益に着目すると、その企業が今後力を入れていく領域が見えてくるかと思います。

2.ROE

皆さんはROEという指標をご存知でしょうか。

自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。企業の収益性判断の指標として、また株式投資の指標として重要視されています。
計算式:ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
https://freeway-keiri.com/blog/view/202

ROEは「企業の稼ぐ力」を見る指標と言われており、上で説明しました純利益を自己資本で割ることによって計算できます。
要は株主からの出資に対してどれくらいの利益を上げているかを見ているのです。

もし、企業が新規投資先を見つけることができず、内部留保をしているのであれば、ROEは下がってしまいます。
業界によってROEの基準は変わりますが、一般的に10%以上であれば優良企業と言われています。

純利益で企業の利益を見るだけでなく、
「どれくらい自己資本を効率的に活用して稼いでいるのか」
でも比べてみるといいでしょう。

私自身、企業を分析する際はROEを必ず確認するようにしています。

ROEも各社HPの株主、IR情報にて確認できますよ!

3.キャッシュフロー

忘れられがちなのが、
キャッシュフロー決算書にあるフリーキャッシュフローです。
これも極めて大事な指標なので覚えておきましょう。

「キャッシュ・フロー」とは、簡単にいうと「お金の流れ」のことです。
そして「キャッシュ・フロー計算書」とは、会社がどのようにお金を得てどのように使ったのかを、まとめた表で上場企業にのみ作成が義務づけられています。
営業キャッシュフロー
本業における資金の動き
投資キャッシュフロー
設備投資など将来に向けたキャッシュフロー
財務キャッシュフロー
資金調達活動に関するキャッシュフロー
https://advisors-freee.jp/article/category/cat-big-02/cat-small-04/7901/

キャッシュフロー計算書では、損益計算書でカバーできないお金(キャッシュ)の流れを追うことができます。

例えば、売掛金で商品を売った場合、損益計算書にて売上が計上されますが、実際に売り上げが振り込まれるまでキャッシュフローには反映されません。
つまり、純利益を沢山計上していたとしても、持っている現金はゼロという場合もあります。

要は”企業のお財布”の中身を覗くようなイメージです。
ここでいうキャッシュは現金だけでなく、換金性が高くかつ換金できる金額の見当がつく資産も含まれますので注意しましょう。

キャッシュフローは以上の3つに分かれており、営業CF-投資CFを
フリーキャッシュフロー(FCF)と呼びます。

個人的には特にこのフリーキャッシュフローに注目してほしいな思います。

FCFは”企業が自由に使うことができるキャッシュ”を表します。
自由に使えるお金が多ければ新規ビジネスの創出にも繋がりますし、余裕を持って長期的な戦略を考えることができますよね。

またまた、総合商社の例えで恐縮ですが、
2020年度上半期決算時に三井物産が面白い動きをしていました。

純利益の期末見通しの変更はなかったのですが、キャッシュフローを上方修正したのです。
「コロナウイルスの流行などのもしもの時に備えて、減損をいつでも計上できるよう純利益は維持をしつつ、当期で得られる現金が増える見込みが立っている」
と読み取ることができます。

巷では隠れ上方修正とも呼ばれています。
日経新聞の記事を貼っておきます。

”企業の成績表”である損益計算書だけでなく、お財布事情を知れる”キャッシュフロー計算書”も確認してみると良いのではないでしょうか。

4.中期経営計画

中期経営計画は財務諸表ではありませんが、
チェックしたほうが良い数字が散らばっている大事な資料です。

中期経営計画とは、企業が中期的に目指すあり方と現在置かれている状況とのギャップを埋めるための計画のことで、長期的な経営ビジョンを実現するために、3~5年の間にやっておくべきことを示したものです。
売上目標や利益目標、ROEなど定量的な数値で示しており、よく似た言葉として、長期経営計画と短期経営計画があります。
https://www.kaonavi.jp/dictionary/chukikeieikeikaku/

中期経営計画には3~5年の間にやるべきこと、ROEや純利益などの目標数値が記されています。

現在、同じ純利益を出している2社があったとしても、短期目線で稼いでいる会社と中長期的な発展を目指して投資を行っている会社では雲泥の差です。

あなたが行きたい会社が中長期的にどのように発展していくことを目指しているのか知っておくと良いですね。

長期的なビジョンがあなたの価値観と合致するのであれば、志望動機にも結び付きますよね!

(おまけ)短期的な株価の変動は参考にならない

個人的な意見ですが、業界研究において株価はそこまで参考にならないかと思います。

長期的な株価の上昇は企業価値の上昇を表していますが、短期的(1年以内)の値動きは一時的な要因によるものが多いです。

総合商社業界は9月のバフェット氏の買い付けにより、一気に株値が上がりました。


「天才投資家のバフェットさんが注目しているんだから、今後も総合商社は伸びるんだろう」
という推測のもと買いが進んだのかと思いますが、一時的な変動に過ぎません。

その間に各社のビジネスモデル(稼ぎ方)やビジョンはほとんど変わっていませんよね。


株価の短期的な変動はあくまで「投資家からの人気投票」くらいに思っておくことをおすすめします。

まとめ

今回は、就活生に向けて業界研究をする際に見ておくべき、財務分析についてご紹介しました。
以下にまとめてみます。

◆ 純利益:企業のパフォーマンスを見る
(※)3~5年、複数の事業を展開する企業の場合はセグメントごとの純利益を見ること
◆ ROE:自己資本をどれだけ効率的に活用しているかを確認
◆ フリーキャッシュフロー:企業のお財布事情を知る
◆ 中期経営計画:3~5年後のビジョンや目標を知る

★職業柄、総合商社の例えが多くなってしまいましたが、基本的には財務状況の分析方法はどの業界も一緒だと思います。

企業に築かれた文化など定性的な研究も、もちろん大事ですが、数字はいつでも嘘をつきませんので、財務分析も行うべきです。
企業の将来性や業界でのポジショニングが見えてくるかと思います。

今回は少し複雑な話が多く恐縮でしたが、ここまでにします。

今後も就活生に向けた記事を書いていきますので、フォローいただけると大変励みになります!

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