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滞在型地域課題解決プロジェクト最終報告会

この記事では、2024年2月4日に行った滞在型地域課題解決プロジェクト『横から交差点』(以下:横から交差点)の最終報告会についてお話させて頂きます。



目的

2023年の8月から始まった "横から交差点" でしたが2月4日にて今年度は終了を迎えました。関わってくださった方に対して、どのようなものが最終的に出来上がったのかお伝えすること、来年度実施に向けた協力のお願いをすること、地域住民への取り組みの周知を目的として最終報告会を行いました。

最終報告会ではこの事業の全体の流れ、プランナーの方々の企画案発表、それを踏まえた事業の成果報告や交流会を行いました。

内容としては以下の通りです。

1. チェックイン
2. 事業説明
3. 事業の活動内容
4. プランナーの発表
5. 事業の成果報告
6. 交流タイム


最終報告会に至るまでの流れ

「横から交差点」の活動は節目節目で全てnoteを使いながらアーカイブ化していきました。どんな思いからこの企画が始まり、その過程、そして成果物、最終報告まで全てマガジンにまとめていますのでもし宜しければ順番に読んでいただけると嬉しいです。


背景

令和4年度に行われた企業の課題を軸としたインターンである地域課題解決型インターンの受入企業として参画したことから始まりました。

令和4年度の課題感

地域課題解決型インターンでは、地域課題解決と言いつつも企業の課題をMISSIONとして取り組むという、どちらかといえば企業課題解決型のインターンの印象があった(地域課題解決に寄与できているのか

学生インターンという特性上、企業が「教えてあげる」学生インターンが「学ぶ・教えてもらう」という体制的なイメージを感じた(誰のため・なんのために行っているのか)

地元学生に対して企業体験を行うことに対しては、前提として良いことをしているのでだれが見ても良い印象にうつる。結果、成果報告会など振返りをみてもあまり改善点やもっと良くするにはという視点においては考えられていなかったかなと思う。(学生だけどすごかったとか、今の若者はとか、学生インターンが取り組んだので良かったという視点が多い。本質である課題に対する成果が本当にあったのかが曖昧になっていた)

企業側がもっと地域課題を通した取組み、地域課題を意識した取組みだと認識できるようにしたい。企業側がどんな目的でどんな地域課題に取り組んだのかその成果が地域にどのような影響を生み出したのか、企業や地域視点でも考えたい(手段というよりはもっと本質的な仕組みを作るべき)

引用:滞在型地域課題解決プロジェクト『横から交差点』がスタートしました!

方針として

  • 企業基点ではなく、地域課題を基点として行えるようにする

  • 地域課題をベースに地域企業の特色を活かせる地域課題と地域企業の特色をMIXしたMISSIONを作る

  • インターンという枠での募集ではなく、課題を自分事として捉えられるプランナーとして参加者を募集

  • 地域課題 × 地域企業 × プランナーによる取組みを企画

目標やゴール設定

  • 事業自体の理想
    地域課題 × 地元事業者 の組み合わせで関わりしろを構築することで、県内外の若者が地域の課題や地域の企業に触れるきっかけをつくり地域への好奇心を促進させる

  • 中長期的な理想

    • 地域課題解決に通じるMISSIONが継続的に生まれる

    • MISSIONに取組む若者が継続的に集まる

    • 地域課題解決を通した地域での成功体験を生む


プランナーによる企画の発表

今年度の実施では、初めてだったのもあり提案までの想定で実施をしました。今回の参加者では学生のみで構成され、時間の確保と計画通り提案まで行けるのかが不安でしたが、無事最終報告会に間に合うようにプロジェクトを進めることが出来ました。

昨年度の課題感としてあった「先生と生徒の関係」にならないように最大限気をつけることで、プランナーの皆さんが主体的に活動していくことが出来ました。

また、主体的に動いたことで地域の方々を巻き込みながら企画をブラッシュアップしていきました。出来上がった企画書の精度が高く最終報告会のアンケート結果では「学生なのに」「学生にしては」といった年齢と相対評価での感想は一つもなく、あくまでも世に出る企画書と対等に評価をいただきました。

以下の企画書が実際に出来上がった企画書になります。

チームA:地元高校クラフトショップ

チームAは、地元高校1年生2名、地元高校3年生1名、地元出身の県外専門学校1年生1名の、合計4名で構成されています。地元である十和田市で生活するうえで感じている課題や、今学生の自分たちが求められるものをピックアップし、それをもとに企画を練り上げました。

▽ チームA の企画書の記事はこちら ▽

チームB:十和田を巡るバスツアー

チームBは、県内大学生1名、県外大学生2名の、合計3名で構成されています。横から交差点という取り組みを行う上で自分たちの知識や将来の選択肢が広がっていることに気付きそれを企画に落とし込みました。

▽ チームB の企画書はこちら ▽

チームC:魅力を知れるスタンプラリー

写真には写っていませんが、地元高校の1年生2名で構成されているチームCです。十和田市に対して悪いところを感じておらず、普段から魅力を感じている2人だったので、良いところを伸ばすような企画を考えました。

▽ チームC の企画書はこちら ▽

最終報告会では3チームの発表が終わった後に、事業の成果報告に移りました。事業によってどのような効果が生み出せたのかをポイントごとに説明していきます。


事業の成果報告

この取り組みのコーディネーターを務めた佐藤佑志から、事業の成果報告を行いました。
成果報告として「プランナー」と「街」の大きく2つに分け、一つずつ紐解きながら説明をしていきます。

プランナーに与えた影響

1.  街への意識醸成

「街を散策してみてまだ知らないお店など沢山あることがわかった。」
「十和田市のことについて新しい視点で再認識することができ、もっと十和田市のことが好きになりました。」
「十和田で1番十和田のいい所などを知っているJKになれた。」
「人と話す楽しさを知ることができたので、どんどんたくさんの人と色々な話をしたいと思います!
友達を連れて行って十和田を好きになって貰えるように絶対します。
一生物の経験と出会いができた。

実際に頂いた声からも分かる通り十和田市という街へのイメージ向上やお店への認知拡大が出来ました。
実際に無料で卓球が出来るカフェでチームAに会えたり、コワーキングスペースのあるカフェでチームCにお会いしました。

このプロジェクトをきっかけとして参加したプランナーの方とその友達が十和田の個人店に足を運ぶきっかけになれた事は十和田市に対しても良い波及効果を生み出すことが出来ているのではないかと感じています。

2.  地域資源の認識

「十和田ではいろんなところがあってまだまだ使えるところが沢山あることを知った。」
「小さいところや少し古いところでも工夫次第でとても人が来やすい良いところになることがわかった」
十和田市のことについて新しい視点で再認識

横から交差点を通じて、プランナーの方々が地域に残っている資源を資源として認識するきっかけを生み出すことが出来ました。
先導して下さっている空き家を活用された事業者の方々と交流をすることでこの地域での可能性を見出し、考えの幅も広げられたことが伺えます。

3.  選択肢・知識の視野

「インプットを繰り返し、初日よりも視野が広がり、より深く考える事ができるようになった。
「人のつながり、人の考えに触れて、自分の成長と自己分析につながった。
今後の人生の選択肢が大きく増えたとともに、一生物の経験と出会いができたと思います。」

たくさんの出会いと対話、取り組みの進行にあたりたくさんのインプットをしたことで、将来への選択肢や、様々な角度からものを見るたり深く考える方法を身に付けたことで、自己成長を実感することができていました。

街に与えた影響

街とのつながり

一部になりますが、プランナーと交流させていただいた方々になります。学生が学生のうちにこのような地域で活動される事業者の方と交流する機会は未だに学校で行われる講話などしかなく、双方向のコミュニケーションの機会は特に少ないです。その機会を横から交差点にて創出できたことは他にない僕たちでしか難しいことだと思います。

先程挙げたプランナーへの影響と街とのつながりが結果的に街に有益な影響を与えると思っています。
ここで得たものを活かして将来、街で"こと"を起こす中心人物になるかもしれません。
また、街への意識醸成につながったことで、街への誇りを持ち、その想いを人に伝える技術も身についたと思います。この地域で周りの人にそれをつたえたり、県外に行ってもその思いを県外の人たちに伝えることができます。その結果、街を知っている人、街に興味を持つ人が増え、多様な人が関わり会うことで活性化につながるのではないでしょうか。


アンケート結果

最終報告会に参加した方に発表を聞いてみてのアンケートをとりました。

横から交差点を知って感じたこと

今のやり方で継続して行きながら若い方々と地域をつなぎながら発展していくプロジェクトとして継続して欲しいと思いました。

学生と地域の関わりの継続

学生の頃から地域に興味を持って問題解決に取り組むのはとても建設的だと感じた

若い人のアイデアが必要

地域と自分、どちらも知れるいい機会でした。人とのコミュニケーションを取りながら、案を作っていくのがとても面白そう。なのでこの取り組みは継続して欲しい

実際にプレゼンまでしてくれて、その中でどんな課題があって(聞く側の教育)どういう思いで作ったのかまで教えてくれたのが良かったです。ここまで分かりやすく地域課題解決プロジェクトとして動いているのが今までなかったと思います。ここまで毎回やってくれるなら是非継続してほしいです。第一回目でこのクオリティはすごく感動しました。

どのような関わり方をしたいですか。

支援をしたい:66.6%
応援をしたい:16.7%

この報告会にて感じたことなどありましたらご自由にお書きください。

私は人の生き方からはだいぶアウトサイドな人間ですが、それでも生き生きと地域で生きたいと願う人へ働きかけるこのプロジェクトを応援しています。

キラキラしている若い人が十和田の良さを活かしたプロジェクトを真剣に考えりきっかけづくりと伴走をしているビーコーズさんすごいなと率直に思いました。

店番を高齢者に頼むのもアイディアとしてあると話されていて、地域の高齢化と高齢者の居場所問題と若者の居場所問題を同時に解決できる場所づくりとして、とても良いアイディアだと思いました。保管場所、運搬なども懸念事項は色々ありますが、これが実現したら高校選びをする所から子どもも親も期待が膨らみます。

個人店は点在しているから学生さんターゲットで移動とかどうするのかな?と思いましたが、きちんと親を巻き混み客単価UPまで考えられていて、期間もターゲットも実現可能なイメージができました。参加する店舗にとってもメリットもあり町ぐるみで楽しめるイメージができてとても楽しみです。 皆さんの活躍、楽しみにしています! 貴重な場に参加させて頂きありがとうございました。

どのチームも素晴らしい発表でした。そして一緒に伴走されたビーコーズさんお疲れ様でした。横から交差点の流れも細分化した後に説明してくださって、佐藤さん目線の考えもとても面白かったです。コーディネーターが佐藤さんだからこそここまで出来たのではないかと考えます。


令和5年度 事業総括

ビーコーズ代表:村岡 将利

統括コメントでは代表の村岡から、横から交差点プロジェクトの成果と今後の展望についての洞察が共有されました。以下は村岡の総括コメントの要約になります。

持続可能な仕組みを考える上で

横から交差点の必要性については今回の成果発表を見ればわかる通りだと思います。ただ、このような活動をどのように持続可能な仕組みにすれば良いのでしょうか。

役割として

持続可能な仕組みを作るうえでのプラットフォームという役割の必要性について考えてみてください。持続可能を考えたときに持ち寄り企画や実証を行うことが目的になると、それは補助金などきれたら終わってしまう一種のドーピング的な作業になりがちです。

企画や課題を強制的に作っていく仕組みではなく、プラットフォームの役割は定期的な学びと出会いの機会を生み出し、そして経験値・軌跡をアーカイブしてやっておわりではなく失敗も成功もその成果をこれからの未来につないでいくことだと今年度を通して気付くことが出来ました。

学びと出会いの機会を提供するプラットフォームがあれば、結果として、課題ややりたいことへ向けた企画から実証までは副産物的にできていくはずです。

学びと出会いの機会とアウトプットを蓄積していく学校のようなプラットフォームを生み出し、その継続的な学びの最大化と行動に移す機会としての役割が持続可能な仕組みを構築するうえで必須になると考えます。

最後に

この事業で僕らが大切にしていることをお話します。
僕たちは「学ぶこと知ること、そして機会を作ること」を大切にしています。

【 地域課題 × 地元事業者 】の組み合わせで関わりしろを構築することで、地域の課題や企業に触れるきっかけをつくり地域への好奇心を促進させたいと思っています。今回関わって頂いた方やこの報告を聞く方が、少しでもこの想いを感じていただけていればうれしいです。

また、伴走してくださった事業者の皆さん、サポートしてくれた地域の皆さんありがとうござました。

最後に、短い期間でここまで仕上げて発表してくれた学生のみなさんの将来がすごく楽しみだなというのと、みなさん以上に僕らにとっても学びがたくさんありました。ありがとうございました。


▼ 【横から交差点】シリーズ記事


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ライター
㈱ビーコーズ|三部 暖(みべ はんと)
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編集
(株)ビーコーズ|村岡 将利(むらおか しょうり)
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(株)ビーコーズ|佐藤 佑志(さとう ゆうし)
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