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11013の手紙に寄せて

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11013でなければならない理由も、ないのだけれど。
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#音楽

ぞっこんの苦悩と甘美

ぞっこんの苦悩と甘美

私は最近、家でエレクトリックベースの演奏を収録しています。

指で直接、太くて固い金属の弦を押さえたりはじいたりするので、ずっと演奏していると指がしんどくなります。指の先や指の腹に、おおきな水ぶくれができてしまうのです。

私は普段、ベースだけを集中的に演奏することはあまりなく、たまにそのベースをまとまった時間演奏すると、大きな水ぶくれを指にこさえてしまいます。

そうなってしまうと、

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福神漬けか、たこわさか。〜ライブ配信してみてわかったこと〜

福神漬けか、たこわさか。〜ライブ配信してみてわかったこと〜

最近私は、さまざまなプラットフォームをつかってのライブストリーミングを試していました。家での弾き語り演奏の様子を、各SNSのライブ機能や、動画サイトやライブストリーミングを主目的としたサイトでネット中継してみたのです。

これが不思議なもんでですね。家にいて、ひとりの部屋なのに「配信開始ボタン」を押すだけで、めっちゃ緊張しまくるんですね。もう不思議でなりません。いつもの家の、いつもの部屋にいつ

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究極の草野球

究極の草野球

私は、自作曲の演奏や歌唱を10代からやってきた30代男です。で、そうした曲の演奏や歌唱の録音もずっとやってきました。どういう録音かといいますと、ひとりで複数の(すべての)パート(楽器や歌)を演奏するものです。多重録音ですね。先に自分が演じたパートを聴きながら、あとからあとからどんどん自分の演奏や歌を追加していくのです。スティーヴィー・ワンダーさんもポール・マッカートニーさんも、奥田民生さんも斉藤和

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解釈とか脳内映像とか

解釈とか脳内映像とか

ああ、なんか、グっときたし、染みました。信じている。信じたい。それと並行して敷かれる「正しさ」がある。どちらも無視できない、おれがいる。

歌をとらえていると、頭の中(かどうかわかりませんが)にビジョンが立ち上がります。特に歌詞ですかね。もちろん、サウンドから立ち上がるビジョンもあるでしょう。人によって比重はさまざまでしょうね。

そのビジョンというのは、私が勝手に立ち上げたものです。たと

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歌と生花と給食用野菜

歌と生花と給食用野菜

イベントごと、お祝いごとで、毎年たくさんの需要がある、生花。それが余ってしまっているとも聞きます。需要がなくなり、お金にかえることもできない。しおらせ、枯らせてしまうくらいなら…自由に持っていっていただくというのもあるのかなと思います。平時なら、命と同等の「商品」。それを、無償で差し出すこと。それは、思念・思想を差し出すようなことかもしれません。もはや「お金」には替わらないのだから、せめて「思い」

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自粛と存続

自粛と存続

音楽を好きな人って多いのじゃないでしょうか。大規模なフェスやコンサートをやれば、多くの人たちが集まったでしょう。それだけ、その場を目的にした人たちが全国にいるのだなと。

私は、自分自身が、曲づくりや歌唱や演奏の活動をするせいか、謙譲の意味でか、「音楽は、不要不急」ということを過剰に思ってしまうふしがあるかもしれません。医療や食料や介護やインフラに関わるようなこと、その他、私の想像が及んでいな

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意味と発音

意味と発音

童謡の『赤い帽子白い帽子』を聴いてみました。恥ずかしながら、この曲を私は知りませんでした。チャーミングで素敵です。いちばん印象的だったのは、リズム。跳ねたグルーヴが特徴的です。演奏者の個性によるのかなと思ってふたつの演奏を聴き比べてみましたが、このグルーヴは共通の特徴のようです。えっちらおっちら、といいますが、よたよたとあちこち駆けて行くような拙さ、幼さを感じます。かわいらしい。でも、「赤い帽子白

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綱泉

綱泉

私は、お風呂に本やスマートフォンを持ち込んで、読み物や書き物や調べものをよくやります。すごくはかどることもあるのですが、リラックス効果が高すぎて秒で寝落ちすることも多いです。これまでに水没させた本の数は知れません。現在使っているスマートフォンも、これまでに少なくとも3度は水没させています。0.5秒(本人実感)で拾いあげてすぐさま水切り、拭きあげ、細部の水気取りと丁寧にやっていますと、意外と故障なく

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ビールもコーヒーも、はじめから美味しかった?

ビールもコーヒーも、はじめから美味しかった?

とても極端なパフォーマンスをするあるバンドがいて、あるとき、私は彼らの表現に対して嫌悪を抱きました。いえ、ひとまず嫌悪と言い表してはみたものの、厳密にはぜんぜん違うかもしれません。嫌悪というよりは、「なんだこれは?!」という驚きと戸惑いでしょうか。その表現と、どう向き合っていいのかわからない。解釈や理解の助けになる知見が、自分にない。そういうことなのかもしれないし、もっと平たく、単に、「肌ざわりが

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息と休符

息と休符

休符、それも特に長いものを思うと、私の記憶からずるりと出てくるのはジョン・ケイジの『4分33秒』という作品のことです。休符を演奏するということについて考えさせられる作品です。音符がひとつも書かれていないことで有名な作品ではないでしょうか。(それって曲なのか? と思われるかもしれませんが、そのへんのことについては他をあたってください。この曲について、私が解説に足るような考察や音楽史上の知見を持ち合わ

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歌う私の面の皮

歌う私の面の皮

『Fukushima 50』という映画が公開されました。福島第一原発で起きたこと、それに立ち向かう50人?を描いた映画のようです。原作は門田隆将によるノンフィクション。震災から9年を経て映されるそれに、私も関心が湧きました。2011年3月って、およそ9年前なのですね。当時、ただ淡々と世の中の流れを傍観して過ごした自分がいたような気がします。

あの頃、いったい自分は何を考えて、どんな行動を起こ

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へたでいい⇔うまくてわるい

へたでいい⇔うまくてわるい

自分のパフォーマンスしたことについて、技術のことをほめられると、無性に悔しい気持ちになることがあります。それってやっぱり、技術のことは本来あとからついてくるものだという認識を私が深層に抱いているからなのかもしれません。「そこをほめてほしいわけじゃないんだよなぁ」に始まり、「きっと、好みじゃなかったから、そこしかほめられなかったんだろうな」なんてところまで深読みしがちです。その人がそこまで思って言っ

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ほとぼり

ほとぼり

すんごい広まり方をもってプレイされる曲がときおり現れますね。2019年なんかは、『パプリカ』という曲がそうだったのではないかと思っています。この曲がかからなかった小学校の運動会はどこにもない、なんて声も私の耳に届いているくらいです。

『パプリカ』と異質な存在かもしれませんが、ある時期、『花は咲く』という曲も、プレイされていない時間のほうが稀なのじゃないかと思えるくらいに頻繁に演奏されたり歌わ

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10分間でペペロンチーノ

10分間でペペロンチーノ

こどもの遊びに、「課せられるもの」はない。「30分遊べ」と言われて30分遊ばなくてもいいし、「おもちゃの線路のパーツを30個使い切って、1平方メートルを満たせ」と言われても30個のパーツを使い切る必要も1平方メートルをそれで満たす必要もない。そもそも、そんな「30分」とか「30個」とか「1平方メートル」とか課されることがない。それはそもそも、遊びではない。

いや、本人が遊びだと思えば、遊びか

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