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ギャグやコントっぽいもの。ユーモア系の作品集

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ギャグやコント系の作品を収録。大胆不敵な自己中心派キシミン! 彼中心に今日も宇宙はきしんでる!?クスっとしてなぜだか元気になる日常ショートショートなど。
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#短編

『すする宇宙』

『すする宇宙』

――すする季節。
そう言ってしまって差支えないし、目くじら立てて反対する者もいないだろう。

や、目くじらといっても黒光りする大量の目クジラが直立歩行でずんずん歩いてくるわけではけしてない。そのことだけははっきりさせておこう。

――で、この際、ありていに、いや、いっそ包み隠さずに言ってしまえば……私は実は花粉症なのだ! フルスイングのカミングアウトでオーバーザレインボー?
(まず包み隠す意味がわ

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【悪夢】ちょぷっ!

【悪夢】ちょぷっ!

絶対に想像しないで聴いてください

時間は正午くらいだったと思います

雨は降っていませんでしたが

薄曇りで

風がやけに肌に纏わりつき

生ぬるい水槽に浸かっているような

気味の悪い天気でした

あなたが散歩に出ると

近くの国道を大型トラックが頻繁に

相変わらずの猛スピードで

ビュンビュン飛ばしています

ゴツくて大きいタイヤを見つめていると

なんだか吸い込まれそうです

実際

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アンダージョーク『伝家の“宝刀”(ほうとう)』

アンダージョーク『伝家の“宝刀”(ほうとう)』

アンダージョーク『伝家の“宝刀(ほうとう)“』

山の手のとある資産家夫婦。
毎晩旦那がおさかんで夜も寝かせてくれないとか。

そんなある日の営みの途中、奥方がとうとう昇天しかけ、“せいし”の境目にまで達したという。これではさすがに身がもたないと奥方が文句を口にした。

すると旦那はこうこたえた。
「文句ならうちの”むすこ“に言ってくれ」

一瞬、頭をかかえた奥方が、やおらむくりと姿勢をただし、サ

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『お尻沢~蛍祭り~』

『お尻沢~蛍祭り~』

初夏。
避暑がてら蛍でも拝ませてもらおうと、お尻沢へ向かった。もう地球では、そこでしか蛍の乱舞は見られないと聞き、居ても立っても居られず、日が暮れると私は早速現地へ赴いた。

鬱蒼と茂った草藪をかきわけ、案内もつけずに沢へ降りる。
夜の沢は涼しく、風が頬にこそばゆい――と、ふいに視界が開けた。
出し抜けに眼前に広がったその景色に思わず息を呑んだ。

「なんて美しり…」
感嘆のため息と一緒に思わず声

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『どぅっどぅわー!』

『どぅっどぅわー!』

というわけで!
どぅっどぅわー!どもども!
小桃沢ももちでーす!
よんどころない諸事情かかえて
究極無敵の平凡スーパー女子高生やってまーす!

なんつってボクは女子高に通うのはやめちゃって
昼は家を出て作家になったパパの書斎に入り浸り
書物探偵やらかして
夜は仕方なしにママの愚痴を聞いてまーす!

そんでもって退屈な日常に対抗すべく
よろず探偵はじめちゃったわけで!

近隣の住人からは
無論

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令和元年。脳に特殊なチップを埋め込むだけで、人は挫折した際に感じる感慨に味と匂いを持てるようになった。挫折の度合いやシチュエーションによって送られる電機信号が違うため、味わいは都度変化する。世にいう挫折革命である。
「ダメじゃないか片山、誤字脱字が多すぎる!」
「わ、ミント味!」

『のんきホーテとたんきホーテ』

『のんきホーテとたんきホーテ』

「おい! 駆けっこで競争しようぜ!」

「……え? ……なんで?」

「なんでって、俺がしたいからに決まってんだろ!
ほら早くしろ!」

「……ん? なんで早くするの?」

「競争だからだよ! バータレ!」

「……うーんと、走ればいいの?」

「ああもう! そうだよ! ほら行くぞ!」

「あ、じゃあさ」

「あん? なんだよ!?」

「……ボクが、『よーい!』っていうの言ってもいいかなあ?」

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『おまえら、モナカの気持ち考えたことあんのかよ?』

つぶ餡「なんでもっとありのままの自分を大事にしない?
だいたい裏ごししすぎなんだよ、お前は。
みんなが右向きゃ右向いて、皮までむくのか?
どこから食べようがどこまで食べようが同じ舌触りで同じ味。
そんな均一化されたおまえを見てアイツが喜ぶとでも本気で思ってるのかよ?」

こし餡「っせーなあ。いつまでも皮をかぶっていい子ちゃん気取りで
本心をさらけだせないのはアンタの方だろうが」

つぶ餡「な、なん

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