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エレファントカシマシとスピッツの研究

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エレファントカシマシ とスピッツを詩的に感じるマガジン。
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#ロック

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」  (第八回)

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」  (第八回)

「仮装」と「嘘」の『意志力』

 もし人間論的にリルケを研究しようとするなら、彼が母親から受け継いだものに最大の力点をおかなくてはなるまい。
(「ゲオルゲとリルケの研究」昭和35年11月10日 第一刷発行 手塚富雄著 株式会社岩波書店 P128)

 

 詩人リルケはドイツ系の家族としてオーストリア・ハンガリー帝国はプラークという激動の地に生を受けた。
 父ヨーゼフは陸軍士官を目指したが志をとげ

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「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第五回)

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第五回)

神に近づけなくなった詩人、苦行の始まり『巡礼行』

 ドイツの近代詩を作り上げた詩人ゲオルゲ、彼は何を目指していたのだろうか。

いったいにゲオルゲは、自覚的に態度を重んずる人である。詩文はむろん、つたえられる彼の諸種の写真像や生活態度もそれを裏書きする。無節度と独創性を混同することをドイツ的弱点とし、「ドイツ人がドイツ的な挙措(die Deutsche Geste)を獲得することは十の領土を攻め

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「エレファントカシマシとスピッツの研究」 (第四回)

「エレファントカシマシとスピッツの研究」 (第四回)

生き物の詩 スピッツとリルケに耽りたいと思う。まずは、私がリルケに心を射抜かれた一片の詩を掲げたい。これは訳者である、堀辰雄先生に感謝をしたい。スタジオジブリの名作『風立ちぬ』といい、「生と死」を匂わせる世界を翻訳されたらこの上ない人物である。

さらにふたたび
ライネル・マリア・リルケ 堀辰雄訳

さらにふたたび、よしや私達が愛の風景ばかりでなく、
いくつも傷ましい名前をもつた小さな墓地をも、

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「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第二回)

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第二回)

「エレファントカシマシ 」との出会い 私は小学生の時に、スピッツの「チェリー」と出会い、すっかりスピッツに感化されてしまった。「ロビンソン」なんて「誰なのか」「何処なのか」「何のことなのか」知るはずもないのに、「わかる」気にさえなった。
 スピッツはどんなことでも私に「わからせてくれる」存在となっていた。それも、とても優しい歌で、まるで手抜きのない演奏で、まったく知らない世界を。

 ボーカルの草

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「エレファントカシマシ とスピッツの研究」  (第一回)

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」  (第一回)

 はじめに タイトルは、私をドイツ文学の深み(のみならず近代詩人の心の襞)へと誘ってくださった、手塚富雄大先生の名著『ゲオルゲとリルケの研究』に寄せたもの。
 ヒマな方だけ聞いて欲しい、私はこの頃つくづく思う、
二大詩人「ゲオルゲとリルケの関係」は私の青春のバンド「エレファントカシマシ とスピッツの関係」に酷似していると。
 すなわち、この投稿は「エレファントカシマシ とスピッツの研究」と題しては

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