『永飛』

銀行に勤めて20年。もう折り返しも過ぎた。

毎月、自分の給料以上の金額を横領して

とうとう1億円を超えた。今日で最後。

きっかけは、自分の存在に疑問を持ったから。

ずっと真面目に働いてきた。誰よりも。

しかし、性別、役職、階級に勝てない。

最初に与えられた位置から動けない。

見下されても耐え、空気のように生きてきた。

この日のために。全ての痕跡は消した。

明日は初めての無断欠勤。私を解放する日。


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