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あたし論

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インクルーシブな社会のための研究・実践をするなかで、考えたことを整理するために書きます。 ※個人の意見であり所属する組織と関係ありません。
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#インクルーシブ教育

「障害のある人が生きやすい社会」と「やる気がない人に寛容である社会」は繋がっている

「障害のある人が生きやすい社会」と「やる気がない人に寛容である社会」は繋がっている

昨日はお声かけいただき、Schooさんの生放送授業「僕らの哲学座談会」に出演してきた。テーマは「障害と教育」。

1時間、インターネット上で授業を受講くださっているみなさんのコメントを見ながら問いを設定し、それに対して対話をしていくスタイル。

「障害」や「教育」に初めから関心のある人向けに講演をしたり、お話ししたりすることは多いけれど、より一般の方と広く話す機会はなかなかないため、非常に興味深い

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誰もを包含できる完璧なシステムなんて多分ない、だから作ろうとし続けることをやめない

誰もを包含できる完璧なシステムなんて多分ない、だから作ろうとし続けることをやめない

どんなに素晴らしい仕組みを作ったとしても、そこからこぼれてしまう人は多分いるであろう、という想像力を失いたくない。
自分が想像できる範囲の人たちは限られており、常に想像を超える人たちがいる、という前提。

もちろん、だから新しい仕組みを作ろうとする。既存の仕組みを変えようとする。誰もこぼれないようなシステムにいつかたどり着けるのでは?いつか作れるのではという希望を持ちながら、でも頭のどこかで必ず「

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無自覚な「条件付き」の「多様性の尊重」「インクルージョンの推進」への違和感

無自覚な「条件付き」の「多様性の尊重」「インクルージョンの推進」への違和感

「差別はよくない」「インクルージョンを目指すべき」と言葉で言うことはできるけれど、それを体現していくことはとても難しい。

よくあるのは、「インクルーシブな社会を作りたいけれど、一緒に働くのは難しい」や、「うちの子を差別して欲しくないし、差別はよくない。でもあの子はこのクラスにいるべきではない」といったケース。

not in my backyardというらしい。

「好きにならなくてもいいから、

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自分が信じて行動してきたことは自分を裏切らない

自分が信じて行動してきたことは自分を裏切らない

今日は会社の人に「歩んできたキャリアについて話してほしい」と言われたので、こちらで話してきました。

持ち時間30分じゃ足りなかったので、こちらでも書こうと思います。
ちょうど節目の立ち止まり期間を経て、次のフェーズに向けて動き出したので、ちょうど良い。

10代のころの話、この分野に没頭し始めたきっかけはさまざまな媒体に書いてあるので、こちらをご参照いただければ。

この10数年、特に22歳から

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「海外から学ぶ」ためには日本のことを知っておかなきゃ学びが深まらないという話

「海外から学ぶ」ためには日本のことを知っておかなきゃ学びが深まらないという話

ここ5年で
・アメリカ(NY、ボストン、LA、SF)
・メキシコ
・イングランド
・スコットランド
・オランダ(×2回)
・スウェーデン
・フィンランド
に視察に行った。

以前「日本人は視察しすぎ、相手の時間を無駄にしている」みたいな記事をチラッと見た記憶があるのだけど、良いのでは?と思っている。持ちつ持たれつ。

最近は海外からの視察者が増えて、自分が視察に行った時によくしてもらったことを、P

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「支援」の正解はなにか

「支援」の正解はなにか

「障害」のある方や、子どもに日々関わっている中で、その子にとって、その人にとって何が良い支援か?を考え続けてきた。様々な支援方法、教育方法も学んできた。その中で私は、その子にとって、その人にとって、その家族にとって、何が「正解」かは、一緒に模索していくことでしかわからないことを学んだ。

間違いがあるとしたら、それは「勝手に正解を決めること」。「正しさ」の定義をせずに、「こっちが正しいのですよ」と

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あの子には世界はどう見えているんだろう。#世界自閉症啓発デー

あの子には世界はどう見えているんだろう。#世界自閉症啓発デー

人間はそれぞれ多様な見方や感じ方をして生きている。
ある出来事を悲しいと思う人もいれば、悔しいと思う人もいる。
ある音をうるさいと思う人もいれば、気にならない人もいる。
味の濃さ、薄さ。
光の眩しさ。
痛みの感じ方。
自分の身体の感覚。

その人がどう見えているのか、感じているのか、は本当にその人にしかわからない。

そんなの当たり前、と思われるかもしれない。
けれど、わたしは、自分が知っている「

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新学期を迎える全ての先生方に伝えたい、多様な子どもたちのこと

新学期を迎える全ての先生方に伝えたい、多様な子どもたちのこと

学校という場所には、社会と同じように、本当に多様な子どもたちがいる。
自分がこれまで出会ったような子どももいるし、そうでない、初めて出会うような子どももいる。

想定外の行動をする子どもを、まわりの先生はは「あの子は特別支援対象だから」「あの子は発達障害だから」という風にラベルをつけるかもしれない。
でも、だからといって「自分には教えられない子ども」と思わないでほしい。同じように、外国から来た子も

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「異質との対話」の経験値が排除をなくす

「異質との対話」の経験値が排除をなくす

この十数年ひたすらどうしたら「誰も排除されないインクルーシブな社会のための教育」が実現できるのかを考えてきた。

博士課程での研究、小学校での非常勤講師、教育委員会での教育ビジョン策定、市民のための市民による教育サークル、民間企業での直接支援、人材育成やサービスづくり。

実践と研究を繰り返せば繰り返すほど、毎回気づきは更新される。

最近更新された気づきは、
「異質との対話」の経験値が排除をなく

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