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「F・LINK」を立ち上げた看護師の3人が、キャンピングカーでの『移動式保健室』で駆け回る。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

どうしてもその人が住んでいる場所が、車がなくて移動できなかったりすると、病院に行くのも大変で、「医療格差」が生まれてしまいます。

企業や地域間の「医療格差」を無くしたい―。関西では、「医療格差」を無くすべく、看護師の方たちがキャンピングカーで『移動式保健室』として関西を走り回り、支援をしています。

企業や地域で相談や健康チェックに対応しています。

事業を展開するのは看護師仲間だった3人が2018年に大阪府大阪市で立ち上げた「F・LINK」(フリンク)です。若井奈美社長は「企業や地域によって受けられる健康サービスには格差が生じています。身近なところで仕事をする人や地域の人の健康をサポートしたいです」と説明しています。

今回は「F・LINK」が行っている、『移動式保健室』について、お知らせします。

「F・LINK」が、『移動式保健室』を立ち上げた経緯

「調子はどうですか?気にところは何かありませんか?」

2023年6月、大阪府茨木市にある山手台コミュニティセンターで開催された「山手台健康フェスタ」で、若井社長が高齢者に話しかけました。キャンピングカーの中で血管年齢を測定するといった、健康相談に対応しました。

ある男性Aさんが「私は一人暮らしですが、最近転倒しやすくなって困っています。どこに相談すれば良いでしょうか?」と吐露すると、若井社長は、市内の行政の相談窓口の連絡先を紹介しました。

若井社長は「参加者との他愛もない会話を大事にしています。その人の病気の予兆や困りごとは、ふとした言葉に発せられます」と述べます。

この日は、「F・LINK」で仕事をする管理栄養士による野菜の皮や芯、茎などを煮出した栄養価の高いベジタブルスープの試食会も行いました。試食会に参加した女性は「風邪を引いたこともなきて、元気で病院ににかかることがないので、今日は健康チェックに参加出来て良かったです」と笑顔で話しました。

「健康フェスタ」は、産官学で地域コミュニティーの活性化などを図りたいとする大阪大学のプロジェクト「共創ラボ」の1つです。1970年代に「ニュータウン」として産声をあげた山手台では住民の減少と高齢化傾向が続き、病院も消えました。最寄りのJR茨木駅まで山手台から40分かかり、便利ではないですが、頼みのバスの本数も減便されています。

大阪大産官学連携オフィスでプロジェクトを進行してきた男性Bさんは「大阪府内でも高齢化率が5割を超過する地域が増加傾向で、移動手段や健康管理が大きな課題となっています。地域に出向いて健康相談に対応してくれる専門家がいると心強く感じています。これからも、『F・LINK』と連携していきます」と語りました。

「F・LINK」は、看護学校時代の友達だった若井社長と高原千里さんや安原忍さんが立ち上げました。3人とも、各々が看護や介護の仕事を続ける中で、モヤモヤした想いを抱いていました。

若井社長は保健師として地方自治体の保健センターで仕事をし、健康診断で血糖値や血圧、腹囲などの数値が良くなかった方が医師の診察を受けずに手遅れになって亡くなる事例を何度も経験しました。「本人と直接話せないか」との想いを抱えていました。

高原さんは在宅医療に関わる中で、患者さんだけでなく家族を介護する家族にも相談可能な専門家が必要だと実感していたといいます。

安原さんは高齢者の相談などに対応する地域包括支援センターにケアマネジャーとして働いていました。親の面倒を見るため介護離職した息子さんや娘さんが介護を一人で抱え込み、精神的にも経済的にも追い込まれる事例を多く見てきました。それがきっかけで「仕事をする人が介護辞職しないで済むにはどうしたらよいのか」と考える様になりました。

同窓会で再会した3人は「困っている仕事をする人たちになかなかアプローチできない」という共通の悩みを抱えていることに気付きました。「誰かのSOSをただ待っているのではなく、こちらから足を運んでサポートしたい」と「F・LINK」の起業を決めました。

そこで思い立ったのがキャンピングカーを活用した「保健室」でした。若井社長の経験で、健康診断の結果などを店舗や工場に届けても面談できる場所がほとんどないことで、人目もあって説明することが出来ずにいたといいます。3人は借金して中古のキャンピングカーを500万円で買いました。『移動式保健室』には、ソファやベッド、手洗い、保冷庫などを完備しました。

「F・LINK」には現在、保健師や看護師、公認心理師など専門職で働く13人が所属します。力を注いだのが、企業の保健指導や健康相談、休職者のサポートなどを請け負った「産業保健」事業でした。

高原さんは「大企業では社内に診療所を設置しているところがある反面、産業医がいない中小企業もあり、仕事をしている人が受けられる医療サービスには医療格差があります」と懸念します。現在、6社と契約を結び、相談が寄せられると専門家が出向きます。

ある時、安原さんは「F・LINK」と契約する企業から「母親の介護のために離職したいと考えている社員がいる」と相談が持ちかけられました。そこで社員本人と面談すると、「病気の父に母の介護の負担をかけたくない」と社員本人の口から打ち明けました。安原さんは、利用可能な介護制度について説明した上で「退職することをご両親はどう受け止めていますか?」と問いかけました。

後日、「両親が働いている自分のことを誇りに思っていると分かりました」として退職することを取り下げたとの連絡が入りました。安原さんは「一人で悩みを抱え込まない様に相談しやすい環境を作り、解決策を共に導き出したいです」と話します。

参考:キャンピングカーで移動「保健室」 起業者3人がSOSに出向く理由 毎日新聞(2023年)

若井社長自身、母親を介護するために仕事を退職した経験があります。仕事と介護の両立の難しさを実感してきたことも「仕事をする人をサポートしたい」という想いに結び付きました。

2019年には、患者の受診の付き添いの負担を減少させることと同時に、医療者側への円滑な情報提供に結び付けたいと、家族が医師への確認事項などを記載可能な「親の受診手帳」を作成しました。「親の受診手帳」は、500円で販売しています。

介護タクシー会社が「親の受診手帳」を購入したユーザーにサービスで配布したり、企業の健康保険組合が5000部を一括購入したりするといった活用が拡大しています。

「F・LINK」が受託するのは、保健指導、ストレスチェックの代行、健康相談、健康診断後の面談などで、プラン料金は面談数やサービス内容や面談数などによって異なり、年間12万~200万円です。

若井社長は「困った時にいつでも相談に対応できる様に、『移動式保健室』で地域や企業を定期的に訪問可能な体制を整備していきたいです」と言葉を熱く込めました。

私の祖母が住む地域

限界集落ではありませんが、祖母の家は市街の外れにあります。祖母が高齢なのに加え、それに伴い近所の親しかった人が先に亡くなり、祖母の周りには普段話し相手がいません。

幸い祖母の家の割と近くに、母の弟、私の叔父さんが住んでいて、病院には叔父さんが連れていきますが、叔父さんも働いているので、そんなにすぐには連れていけません。

認知症の祖母のために、叔父さんがヘルパーさんや薬剤師さんに来て貰っていますが、祖母は自分は大丈夫だと思っていても、だいぶ古い食べ物を冷蔵庫に入れていて、ヘルパーさんに捨てられると、「勝手に捨てられた!」と、酷く怒ります。

祖母は、タッパーに食べ物も入れていても、蓋と容器が同じものと合わせられずに、それで食べ物が乾燥し、傷みやすいです。

薬剤師さんには自宅まで来て、薬カレンダーに1週間分の薬を入れて貰っていますが、祖母は目の前に薬が置いてあっても、「飲まなくていい」と、自己判断をし、飲まなかったりします。

祖母は医療弱者だと思います。なかなか全国でこういう取り組みをすることは難しいかと思いますが、『移動式保健室』が祖母の住む地域にもあればいいのに、と思ってしまいました。

参考サイト


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