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Design of Tea Ceremony

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【茶の湯のデザイン】茶道のもてなしの心は、デザインにも表れているはず。
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#コラム

茶道では客側にも作法がある|ルールがあるから安心できる

茶道では客側にも作法がある|ルールがあるから安心できる

茄子のとげが指に刺さりました。
とれなくてネットで調べたら、梅干を貼れ!とのこと。ほんとかしら?
梅干を貼って一晩寝たら、取れました。
梅干効果と断定できないけど、びっくり。

さて、話は全く変わりまして…
茶道において、お点前する亭主だけではなく、お茶を頂く客側にも作法があります。

茶道の稽古では、亭主としての稽古はもちろんのこと、お客さんとしての稽古も行われます。生徒さん同士で亭主と客を交代

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和の意匠06 《麻の葉》 | お茶を通じて学べること

和の意匠06 《麻の葉》 | お茶を通じて学べること

久しぶりの和の意匠です。

麻の葉

こちらはよくご覧になる意匠ではないでしょか?
和の雰囲気を出しつつ、モダンな印象もあるので、飲食店の内装、間仕切りなどにもよく使われていますし、和小物、和雑貨でもよく見かけます。

麻の葉は、三角形があつまった六角形の幾何学文様で、平安時代から仏像の装飾などに使われてきた柄です。
三角形の模様は、鱗文(うろこもん)といい、呪いや魔除けの力を持つとされています。

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茶道をやれば、お花も上手に生けられるようになるの? ― 生け花との違い

茶道を通じて、日本文化のあれやこれやも学べるよ、ということはこれまでもお伝えしてきました。

では、生け花も?茶室の床の間にお花もあるし。

実は、茶道で床の間を飾る花と、生け花は別物です。

茶道では花を入れるといいます。生けるとはいいません。
なので、お花を上手に生けられるかといいうとNOとなります。
生けてないから。入れているから。

うわっ!めんどくさっ! と思われてたでしょうか。
もう少

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和の意匠06 取扱注意!《つぼつぼ》 | お茶を通じて学べること 番外編

和の意匠06 取扱注意!《つぼつぼ》 | お茶を通じて学べること 番外編

日本人は「もふもふ」とか「ふかふか」とか「ほわほわ」とか、繰り返しの擬態語が好きですよね。
「ぺこぺこ」 「ふわふわ」 「るんるん」 「しとしと」 などなどいくらでもでも。

ご先祖さまも同じようです。

つぼつぼ最初にみたときは、目が文字を正確に捉えられずに、「ぶつぶつ」と読んでしまい、仏像の螺髪のようなものかしらと想像しました。

つぼつぼ、こんな図柄です。

なんの意匠でしょう?
小さな食器

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和の意匠05 《唐草》 | お茶を通じて学べること

和の意匠05 《唐草》 | お茶を通じて学べること

先日は、血液検査で採血だったのですが、そういう類が苦手な私は、
気を紛らわすため、頭の中でお点前の手順を追っていました。
多少は効果があったかしら?

唐草(からくさ)

泥棒さんが背負っている風呂敷、緑に白の模様、あれも唐草模様です。

唐「草」とあるように、植物の葉や茎、蔓(つる)が伸びたり絡んだりした形が図案化されています。世界中に同様の模様があり、日本には、シルクロードを通じて伝わったそう

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Design of Tea Ceremony |《飲み口》から 茶道の合理性

「デザインされている」とは、美しさや、心地よさ、また使いやすさ、利便性、機能性、合理性などを意図し設計されていること。
今回は茶道の合理的な一面をご紹介。

まずは前提知識をふたつ。

ひとつ目は、お茶碗には正面があり、客は正面を避けて、お茶をいただくということ。
(ご興味のある方はコチラ(どうして、お茶碗をくるくる回すの?)をどうぞ)

ふたつ目は、お客様が複数いる場合も、同じお茶碗を利用するた

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和の意匠04 亀甲 | お茶を通じて学べること

和の意匠04 亀甲 | お茶を通じて学べること

今住んでいる家の近くの歩道脇には、アジサイが多く植えられています。
少しずつ色づいてきましたね。楽しみです。

亀甲(きっこう)

亀甲(きっこう)、読んで字のごとく、亀の甲羅がもととなっている意匠です。

『鶴は千年、亀は万年』。
亀といえば、長寿吉兆の象徴です。
亀甲文様の歴史は古く、正倉院宝物裂にも亀甲模様のものがあるそうですよ。

ページトップの画像も、亀甲の一種。三色の重ね亀甲です。

和の意匠03 網代 | お茶を通じて学べること

和の意匠03 網代 | お茶を通じて学べること

ゴールデンウイークも終盤ですね。
近所の回るお寿司屋さんに行ったら、青海波や千鳥、麻の葉など、和の文様がPOPに使われており、和の雰囲気づくりに一役買っていました。

白ベースにパステル調(薄い色のピンクとかブルーとか)で
文様が描かれていたので、明るい、現代的なかわいらしい和という印象でした。

網代(あじろ)

網代(あじろ)と聞いて、私がまず思い浮かぶのは天井の仕上げです。
お茶室でも使われ

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和の意匠02 七宝 | お茶を通じて学べること

和の意匠02 七宝 | お茶を通じて学べること

和の意匠には、願いが込められています。
前回の青海波では、海の恵みと、ずっと続く波の様子から、平穏や幸せが途切れることなく続くようにという願いが込められていると紹介しました。

模様や意匠に願いを込めることは、日本に限ったことではなく
あらゆる国で、ずっと行われてきたことなんでしょうね。
例えば、東欧の民族衣装に施されるカラフルな刺繍にも、魔除け等の意味があると聞いたことがあります。

七宝(しっ

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Design of Tea Ceremony |〈距離〉を変えずに〈距離感〉を変えるデザイン

Design of Tea Ceremony |〈距離〉を変えずに〈距離感〉を変えるデザイン

Design of Tea Ceremony |炉とか風炉とか 季節によって変わるお点前 で、季節により釜の位置が変わることをお伝えしました。

変わるのは釜の位置だけではありません。
亭主(お茶を点てる人)の座る向きも変わります。

風炉(夏の季節・右下図)では、亭主の目線は客を捉えないのに対し
炉(冬の季節・左下図)では、主客は炉を挟んでゆるやかに向かい合う。

(鼻と目で体の向きを表していま

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Design of Tea Ceremony |炉とか風炉とか 季節によって変わるお点前

Design of Tea Ceremony |炉とか風炉とか 季節によって変わるお点前

茶道というものは、季節やらお道具が変わると、お点前がダイナミックに、もしくは微妙に変わってしまいます。
物覚えの悪い私にとっては大変困ったことです。

Design of Tea Ceremony 茶の湯のデザイン は、そんな困ったお点前の変化を、デザインにこじつけることで、お点前を覚える(私の)助けになればよいなと思いはじめました。

お点前の変化が一番大きいのは「炉の季節」、「風炉の季節」によ

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Design of Tea Ceremony |正座したまま移動するというデザイン

Design of Tea Ceremony |正座したまま移動するというデザイン

お茶の席では、正座した状態で、移動することがあります。
…正座で移動??
意味わからないですよね。

こういうことです。
正座した状態で、握りこぶしを膝前横あたりの畳につけ
そのまま腕を、スキーのストックのように使って、
こぶしをてこに、前に進みます。(バックもします)

このように正座したまま移動することを、躙(にじ)ると言います。
そう、躙り口(にじりぐち)のニジルです。

(躙り口:茶室の客

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Design of Tea Ceremony |「アートとデザイン」と「おしゃれと身だしなみ」から「茶の湯」を捉えられるか

Design of Tea Ceremony |「アートとデザイン」と「おしゃれと身だしなみ」から「茶の湯」を捉えられるか

今日、入社式という方も多かったのでしょうか?
新入社員研修でおなじみなのが、「身だしなみとおしゃれの違い」。
身だしなみは相手目線、おしゃれは自分目線というような内容だったと
いつの日かの新入社員は記憶しています。

さて、入学式にはきっとまだ早いですね。
デザインや建築系に進まれる方は、きっと最初に「アートとデザインの違い」というのを教わるのではないでしょうか?
アートは自分本位、デザインは顧客

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Design of Tea Ceremony  茶の湯のデザイン はじめます

Design of Tea Ceremony  茶の湯のデザイン はじめます

これまで、【一座建立】で茶道について触れてきました。

ここでは、視点を変えて茶の湯をデザインの観点から、思うところをお伝えします。

さぁ、私にどこまでのことが書けるのかしら。
挑戦します。