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誰からも美味しいと言われない美味しいごはん。

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一人暮らしなので、どんなに美味しい料理を作っても誰も喜びません。だからと言って、手を抜く料理を作り続けるのは、ちょっと残念な気がするのです。
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#料理

イタリアとホットケーキ。

イタリアとホットケーキ。

ホットケーキが食べたい!

ほのかが力強く私にリクエストしてきた。

じゃあ作ろうか。と週末。またしても吉田さんの家でホットケーキの会が行われることになった。

小麦粉100g
グラニュー糖30g
塩ひとつまみ
ベーキングパウダー小さじ2。
粉類を2回ふるって空気を含ませ、
牛乳100cc
卵1こ
サラダ油大さじ2とバニラを3ふり。
泡立て器で混ぜてフライパンで焼く。
ポツポツ穴が空いてきたら裏返

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長雨とレタスのバロティーヌ。

長雨とレタスのバロティーヌ。

久しくうつうつとしていた。
オリンピックに浮かれた夏を過ごし、長雨でどこにも出かけられないお盆。

ただただ雨が降っていた。
ワンルームの部屋で電気もつけず、
明るいとも暗いともいえない外を眺める午後2時。
雨が音もなく降り続けていた。

どこかへ出かけようにも雨。
家で何かしようかとテレビをつけてはみるものの、
オリンピックばかりのコンテンツに少し飽きてテレビを消すの繰り返し。

連休中に入れた

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絵葉書となめろうそば。

絵葉書となめろうそば。

家の目の前のスーパーで半額になったお刺身を買い、エントランスでポストを開けると一枚の絵葉書が入っていた。

消印には東京北部。。。ミカからだ。

私とミカは中学の同級生。彼女は今、東京で暮らしている。

手紙には、春からの生活のことと、コロナ禍が終われば一緒にオープンカフェに行こうという誘い。原っぱでのピクニックの誘い。そして、浴びるほどお酒を飲もう。と書いてあった。

以前は週に3回はお酒が飲め

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にんじん色のナポリタン。

にんじん色のナポリタン。

帰り道のスーパー。惣菜コーナーに売れ残ったナポリタンが2割引。

お金がなかった学生の頃。3万5千円の賃貸で300円しないような冷凍のナポリタンを頻繁に買ってチンして食べていた。

久しく食べてないな。ウインナーとピーマン。玉ねぎの甘さが真っ赤なケチャップと合わさって、一口で私を満足させる。貧しい思い出に心を奪われた。。。

ピーマンをカゴに。2つのパックをテープで1つにまとめられたウインナーを選

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グレーなたまごやき。

グレーなたまごやき。

テレビのdボタンを押し、天気予報を見る。

30度の予報に、今日はポロシャツを着ることに決めた。

今年初めて着る白いポロシャツは、去年の夏にまとめて3着買ったものの一枚だ。

襟がパキッとしていて、ボタンダウンのポロシャツ。

襟についた左右の小さなボタンを閉めることが、私にとってその日をワントーンあげてくれる魔法の一手間。

1日必死になって働くと、腕がちょっとだけピリピリしていた。

日焼け

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きんぴらごぼう。

きんぴらごぼう。

県境をまたいだ移動が解禁され、駅は混んでいた。

人は自由に歌ったり踊ったり、絵を描いたりするのに、移動の時だけはどんな人でも自分の限られた小さな場所にとどまっている。いつもちょっとだけ滑稽な気がする。

昼過ぎ。密を避けるために開けられた会社の窓から生ぬるいにおいがしてきた。雨だ。

乾いた道路に隠れてた あらゆるにおいの種たち。以前、アスファルトの匂いだよ。と誰かに聞いたことがあるけど、このに

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雨の日のとん汁。

雨の日のとん汁。

朝。目が覚めて外を見ると、町ゆく人が傘をさしていた。

2年ほど前にこの街に引っ越してきて、雨はあまり経験したことがなかった。

もちろん毎年梅雨はやってきて、街に紫陽花も咲く。

しかし、雨が降ると言っても2日や3日 降り続くようなことはほとんどなかったし、空と相談しながら街に出れば、そこまでひどくは濡れなかった。むしろ、人が生きていく上で濡れた方がいいくらいの雨ばかりだったのだ。

重たい気分

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小松菜のナムル。

小松菜のナムル。

目が覚めると11時。予定のない土曜日。

雨は降っていない。どこかへ行こうと白のブラウスを着て家を出た。

コンビニでアイスカフェラテを買って公園に向かう。

3週間ほど前には綺麗にツツジが咲いていた公園には、3羽の鳩。

ベンチに腰かけ、半分ほどに減ったラテを飲む。

天気の良くないこうした休日は今暮らしている瀬戸内の町ではかなり珍しい気がする。はっきりしない天気に2年前まで暮らしていた山陰のま

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くすんだなすの揚げびたし。

くすんだなすの揚げびたし。

仕事が早く終わった午後3時。会社を出た。

終わりかけの5月の日差しは早くも鋭く。このままでは夏にはどうなってしまうのかと去年と同じことを考えながら歩く。

久しぶりに八百屋さんの開いている時間に帰れた。遠回りを決めて、アーケードに入ると、商店街の店がギリギリ使えるのであろう歩道のタイルの色が変わる線ギリギリまで野菜たちが並んでいた。

トマト、南瓜、きゅうり、そして…なす。

『なすび袋』と書か

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