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目目、耳耳

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2021年5月の記事一覧

雨の上に居たいボクのプレイリスト(ヴァリアス・アーティスト)

雨が好き。

でも、嫌い。

眺める分は、いいんだけど。

雨は低気圧なので。

低気圧は、ぼくをいじめてくるので。

折衷案。

見下ろすくらいが、丁度いい。

雨の上から。

1.In Darlington - Doctrine Doctrineぱちぱち、ぱちぱち。

雨音かもしれない。

拍手かもしれない。

祝福されているのか。

煙たがられているのか。

ぼくは、何もわからないので。

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青春の始末(恐るべき子供たち/ジャン・コクトー)

せいしゅん【青春】
若い時代。人生の春にたとえられる時期。希望をもち、理想にあこがれ、異性を求めはじめる時期。

――Oxford Languagesより引用

『恐るべき子供たち』は、冬に始まり冬に終わる。そのためか、「春にコレをした」「夏にアレをした」と話題に上がっても、印象に薄く、どうでもいいことのように思える。

題に『子供たち』とあるので、登場人物の大半は『子供たち』であり、年のころも『

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孤独の分け前(『虎に嚙まれて』『カルメン』『B・Fとわたし』/ルシア・ベルリン)

ミルクティーは甘いものだと思っていた。そのとき提供されたものはまったく甘くなく、とはいえ苦くもなく、幸せな夢がふいに途切れたような、そんな味。甘くしたいなら砂糖を追加すればいい話だが、そのときのぼくは、今から読もうとしているルシア・ベルリンの短編に丁度いいと思った。



ほんのわずかな慰めを得るためなら、人はどんなことでもするだろう。

――『虎に嚙まれて』より引用

群像の6月号に、『掃除婦

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「平凡とは生まれつき縁遠い」ぼくの話(アーモンド/ソン・ウォンピョン)

僕は平凡とは生まれつき縁遠いから。かと言って非凡でもないから。その間のどこかでうろうろしているおかしな子でしかないから。(p90)

この記事は、ソン・ウォンピョン『アーモンド』の感想にならないかもしれない。「平凡とは生まれつき縁遠い」ぼくの話になるかもしれない。それでも良ければ、続きを読んでほしい。

『アーモンド』は、扁桃体のこと。感情を理解し、理解されるための、人間にとって重要な機能。恐怖、

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