マガジンのカバー画像

目目、耳耳

168
感想文。
運営しているクリエイター

2020年1月の記事一覧

紙の片で見る夢は、(音楽集「紙片」/本と音楽 紙片)

時々、夢を見る。

僕の、将来を。
僕らの、将来を。



3ヶ月前、僕とパートナーは、尾道を旅した。周囲の人は、それを「新婚旅行」と呼んだけど、僕らはその土地で、いつも通りの日常を過ごした。

本屋に行く、カフェでコーヒーを飲む、たまたま見つけた店に、ふらっと入ってみる……。僕らは、きちんとした工程を立てなかった。(行ってみたかった場所には、忘れずに行こう、くらいかな。)ほとんど成り行きに任せ

もっとみる

剥がして、製して、(剥製/アボガド6)

「夢の中では、現実にあるものが、別の何かに置き換えられて登場する」と、ジークムント・フロイトはいっていたけど、現実の中で、現実にあるものを、別の何かに置き換えて表現するのが、アーティストだと僕は思っている。アボガド6さんも、きっと、その内の一人だ。



心は、目に見えない。

目に見えないものっていうのは、その存在を否定されることがある。

魔法然り。
(その正体は、科学だから。)
神様然り。

もっとみる

人間の人間による人間のための戦争(世界の中心で愛を叫んだけもの/ハーラン・エリスン)

人間の独創性を刺激し、その能力に挑む戦争がなくて、どうして人間はその究極の進歩への道に立ちもどれよう?

――『眠れ、安らかに』p92-p93より

「トランプ大統領が、イラン司令官を空爆により殺害」

三が日、そんなニュースが日本(を含め、世界各国)に知らされた。それからしばらく、ツイッターでは、こんなハッシュタグがトレンド入りしていた。
#第三次世界大戦

荒唐無稽だったはずのことばが、その

もっとみる

世界の中心で××を叫んだけもの([映]アムリタ 新装版/野崎まど)

2020年1月1日。

僕は、生まれて初めて、小説に恐怖した。



日本の三大奇書の一つに、夢野久作の『ドグラ・マグラ』がある。「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」と謳われている、あの。

僕も読んだことはあるけど、「精神に異常を来たす」ことは、残念ながら無かった。「残念ながら」なんて云うのは、おかしいけど。

でも、一度でいいから、体験してみたいと思った。「感涙必至」とか「心

もっとみる

Hello,my dear.(Love/ジャン・ベルト・ヴァンニ)

むかしむかし あるところに… …女の子が いました。

――本文より引用

むかしむかし、僕はひとりぼっちだった。

「変わっている」
「何を考えているのか、わからない」

子どものころから、そんなことを口々にいわれていたのを覚えている。

どこが、変わっているの?
「何を考えているのか、わからない」って、誰でもそうじゃないの?

でも、いえなかった。。それを口にしたら、もっとひとりぼっちになるこ

もっとみる