Hello,my dear.(Love/ジャン・ベルト・ヴァンニ)

むかしむかし あるところに… …女の子が いました。

――本文より引用

むかしむかし、僕はひとりぼっちだった。


「変わっている」
「何を考えているのか、わからない」


子どものころから、そんなことを口々にいわれていたのを覚えている。


どこが、変わっているの?
「何を考えているのか、わからない」って、誰でもそうじゃないの?


でも、いえなかった。。それを口にしたら、もっとひとりぼっちになることを、知っていたから。

ほかの子たちは 女の子のことを、ちっとも かわいくないし、
ちょっと ヘンだとおもっていたのです。

――本文より引用

それでも僕は、友達がほしくて、色々と頑張った。自分の好きなものを見せたり、冗談をいってみたり。でも、だめだった。僕が仲よくなろうとすればするほど、その人は、僕を嫌いになるみたいだった。


僕が、その理由を訊いてみても、はっきりした答えが返ってきたことはない。


「そんなの、いわなくてもわかるでしょ?」って。


でも、僕には何もわからない。だって、わからないから、訊いているんだから。


そして今、僕は大人になった。友達である、たくさんの本と一緒に。自分以外の人のことは、今でもわからないことが多いけど、本に頼ることで、少しずつ見えてくるものもあった。


でも、何十冊、何百冊読んでも、ちっとも見えてこないものが、1つだけあった。


人を、愛すること。
人に、愛されること。

そんな女の子のともだちは…
うつくしい 木や くさ、
ぽかぽかと あたたかい日、
…あとは、あたまのなかにある いろんなもの。

――本文より引用

僕は、両親に愛されて育った、と思う。


でも、子どもだった僕が、何かをする度に、「変」とか「みっともない」とか、僕からすれば、わけもわからず叱られた記憶が先立って、「僕は、誰にも愛されていない」と思い込んでしまうことが、度々あった。


だから、僕はこれから先もずっと、ひとりぼっちで生きていくんだと思っていた。


でも、僕は出会った。


僕が、愛する人に。
僕を、愛する人に。
心から、そう思える人に。


その人は、僕を、僕の好きなものを、「変」なんて、「みっともない」なんて、いわない。「そんなの、いわなくてもわかるでしょ?」なんて、いわない。いわれないとわからないことは、ちゃんといってくれる。僕は、それがとてもうれしかった。

このてがみを みつけてくれた ひとへ。
____。

本文より一部引用(下線は、筆者による)

……下線には、何が当てはまるのか、って? そうだね……。ヒントは、僕がその人に、いつも思っていることだよ。





年が変わっても――年を重ねても、
あなたのそばにいられることを、うれしく思うよ。


Hello,my dear.

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Love/ジャン・ベルト・ヴァンニ(翻訳:三辺律子)(2007年)

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