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和合亮一さんの「詩の礫」から派生した 礫を起点に波紋のよう奇想は巡る
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2022年1月の記事一覧

衝動的犯行に及び

衝動的犯行に及び

バケツの水が凍っていて上辺に円盤が浮かんでいたふんとフリスビーみたいに投げれば重さで遠くには飛ばず落下する手は冷たい割れて溶けて何も残らない衝撃的な犯行これって無意味ですか?意味なんてなにもないなんか投げたかっただけだ現実に氷に触れた濡れた手の冷たさだけが真実だ

いいわけ

いいわけ

それはそれはもう

激しく

力強く

両腕を広げて

ドーンと

大きな鈍い音をたてた

衝撃で 

脇腹と胸と

肩が熱くて痛い

転倒した路上で

ポジティブに

変換したら

地球と頬ずりしながら

ハグしているだけだ

ただの言葉です

ただの言葉です

私の声は小さい

囁くように聞こえない伝わらない聞き返される聞き間違われるそれでも声は小さいままで囁き続ける大きな声には感情が宿るねただの言葉を残しておきたい

ないものねだり

ないものねだり

それからというもののあなたは時折束ねた髪をなびかせて私の半径2メートル圏内に侵入してきた手を伸ばすと忽然と姿を消した刻々と刻む秒針の音が妙に煩い足音すら残さずラベンダーの香りだけが仄かに鼻孔をかすめて雨は半径2メートルを掻き消していく

手合わせ願います

手合わせ願います

手を洗えば洗うほど

自分の指が

自分の掌が

愛おしくなる

無骨な

短い





















釣り銭の硬貨を

掬いとれない深爪

握力はさほどない

拍手はしてるふり

して音を立てない

手を叩くって

痛いじゃない

消毒液はワンプッシュ

ゆっくり深く長く押す

手と手を合わせる

あいあいあいあいたいたいたいたい

あいあいあいあいたいたいたいたい

会いたいけれど会えない会いたければ会いにいけばいいじゃないか会いたくないわけじゃない用はないし急いでもいない会いたい生きているうちにいつでも会えるいつでもって祈りだった祈ることしかできない私達は孵化するうまれるねうまれるよこの哀しさは水性ペンで名付けておくからね

ホイップはやわらかい彫刻

ホイップはやわらかい彫刻

年越し前夜から降り出した
可愛げのない雪は
年明け早朝の街を無慈悲な質量で
覆い尽くしていた
白って眩しい
銀世界は
自分という輪郭を強調する
動いたら
動いただけ
myroots
連なる
何処までも
いずれ溶けて無くなる
手触りだけは記憶に残る
足跡は
増えて増えて増えて増えて
踏まれて踏まれて踏まれて踏まれて
自分だけだった冷たさに体温が宿った

頬が赤くなる
恥ずかしさからでも
ときめいたわ

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表現下(ひょうげんした)

表現下(ひょうげんした)

汗をかく
汗で描く
流しながら描いた
夏場はドバドバドバっと滝のように
冬場は鹿威しがカポンと音が鳴るように
身体をつたって蒸発して消える
水彩我
擦って
拭って
ブルブルと
頭を揺らして
軌跡は遺らない
ドローイング
斬って
裂いて
空気
零れ落ちた私

視えるか?
この表現を
視えるのか?
この存在を

大袈裟に世界なんて言わんでも
残滓を遺して
残像を映して

今は
ここに
いる

nowh

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