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オーストラリア西海岸自転車の旅

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オーストラリア西海岸の旅 一日ずつ
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オーストラリア2400km自転車旅初日前半

オーストラリア2400km自転車旅初日前半

初めに

 日本と赤道を挟んで真反対に位置する国オーストラリアに、ワーキングホリデービザを使って一年間滞在した。語学学校で英語の勉強をしたり、ホームステイ先のホストマザーと喧嘩して家出したり、ファームステイ(牧場)先で、牛のウンチをその牛の頭にのせたり、7万円で買った車を7万円で売ったり、一年間のそんな日々の出来事をずっと日記に付けていた。

特に10か月目、11か月目がエキサイティングだったので

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オーストラリア2400km自転車旅初日後半

オーストラリア2400km自転車旅初日後半

―改めて12月1日―

 俺とシュンは一旦別れ、インフォメーションセンターで落ち合った。交番のようなところだった。そこで水補給できる場所について情報がほしかったので、さっそくパンチパーマの案内スタッフに相談してみたところ、質間に答えてくれるどころか、

「自転車でパースになんて行くもんじゃないよ!遠すぎる!ただ暑く、ただ暇なだけ。辞めときなさい!!」と叱られた。インフォメーションセンターで情報をも

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オーストラリア2400km自転車旅2日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅2日目🚴‍♂️

2日目 「天国」

 こんなに長く暗い夜をおくったのは生まれて初めてだった。たまに体を起しては、テントの窓から顔をのぞかせ、自転車がちゃんとそこにある事を確認した。この時なるべく自転車の上の闇の部分を見ないようにした。自転車のことを思うと、自分の弱さが情けなくなる。彼はこのドス黒い闇の中で、テントの中にすら入っていなかったのだから。彼をテントの中に入れてやりたいと思ったが、自分がそこから外に出るこ

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オーストラリア2400km自転車旅3日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅3日目🚴‍♂️

3日目  「オクトパス」

ぶっさいくなニワトリの鳴き声で目が覚めた。顔を洗おうと思い小屋の一番奥にあるシンクまでいった。左膝は・・・やっぱりまだ痛む。。。ハァー。。。

「おやっ!何だか魚臭い!」

眠い目をこすってよく見ると、封があいている魚の上にハエがたかっている。

「・・・しまった!」

ハーブは俺を起さなかった、気を使って起せなかったのかな。。。

せめて自分だけでも食べればよかったも

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オーストラリア2400km自転車旅4日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅4日目🚴‍♂️

4日目 「太っちょライダー」

 朝7時ごろ、顔の上を歩くハエがこしょばくて目が覚めた。とりあえず小屋の外でタッション。オーナーを見かけたので昨日の宿泊代を払おうと思い、財布を持って駆け寄った。

財布から5ドル札を出そうとすると、

「ハーブが昨日払ってくれたわよ」と言う。またか!

どうせハーブは俺が払うと言っても受け取らないだろう。後でお礼を言おうと思った。小屋に戻り、キレイなTシャッとパン

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オーストラリア2400km自転車旅5日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅5日目🚴‍♂️

5日目「もう辞めてやる」

 朝5時頃、ブンブンブンブンうるさい音で眼が覚めた。目を開けると大量の蚊が顔の周りをたかっていた。体の神経が通いだし、ものすごく痒いことに気が付いた。あんまりにも痒いもんだからびっくりして急に体を起し、膝に激痛が走った。顔がパンパンに腫れて熱を持っているのがわかる。あぁー最悪

「やめろーお前らーー!!」

蚊に怒鳴った。ここにはおられないと思い、いそいでマットをたたみ

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オーストラリア2400km自転車旅6日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅6日目🚴‍♂️

6日目「希望の光・ディープヒート」

朝5時に目が覚めた。わけのわからない鳥がキーキー朝からわめいている。火の鳥は・・・・もういない。

「ちょっと黙ってくれないかなー」と頼んだけど無駄だった。

従業員がきて、何か言われるのがいやだったので、テーブルからべンチに降り、再び目をつぶった。朝6時、近くのべンチから

「あいつ、一晩中外にいたのか・・・」

と従業員どうしがごにょごにょ話し合っているの

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オーストラリア2400km自転車旅7日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅7日目🚴‍♂️

7日目 「舐めてた」

 結局日が明けるまでに稼いだ距離は70キロ。1 2時間以上かけてそれだけ。。。。かなり遅い。ただ大きな成果は左膝の好調さだった。太陽を見るとなんだか安心して、道路の脇で少し横になった。できることなら眠ってしまいたかったが、日が出てくるとハエも出てくるので、それは難しかった。彼らが頼んでもいないのにプンスカプンスカ顔の周りを包囲するもんだから、30分で起き上がり、また走り出し

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オーストラリア2400km自転車旅8日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅8日目🚴‍♂️

8日目「孤独と恐怖を超えたその先」

朝6時目が覚めた。思っていた通り、芝生がとてもきれいな大きな公園だった。真っ先におじーちゃんたちのバスがまだあるか見渡した。 ちょうど工ンジンをかけたところだったようで、声を掛けに行った。

「素敵な旅を!」とあいさつした。

「ってことは乗っていかないんだな! ?」

「俺が乗るのはアイツだけ!」めちゃめちゃ格好つけた。

「そうか、がんばれよ青年!シャワー

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オーストラリア2400km自転車旅9日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅9日目🚴‍♂️

9日目 「再び天国へ!」

午前6時、120キロ走りきっていた。いつもは1 0キロ毎に休憩していたのを、この走りでは20キロに一度の休憩で抑えることができた。膝の痛みは少なかった。足先を強く下に落とすべダリング、そして痛み止めとディープのおかげだった。ただ悪いことは、ケツと手の掌の痛みがあまりにもひどく気が滅入ってしまったこと。
俺の体重は長時間ケツだけにかかっているため、ヒリヒリのギドギドになっ

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オーストラリア2400km自転車旅10日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅10日目🚴‍♂️

10日目 「バーンヒル」

朝5時に目が覚めた。ハエが起き出す前だ。空は曇っている。。。やけにぐっすり眠れた。良いことなのか悪いことなのか屋外のテーブルの上で寝ることにも慣れてきた。Hwy沿いのブッシュ脇で横になるよりはずっと安心感が持てた。ディープを取り出し足に塗り、マッサージを始めた。パースまであと4分の3、絶対この休養中に完治させてやろう!そう思っていると雨が降り出した。その雨でシュンも目を

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オーストラリア2400km自転車旅11日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅11日目🚴‍♂️

11日目 「ブルームに戻る」

昨日シュンは教えてくれた。潮の満ち干きは6時間毎にそれぞれ2回ずつ起こること、朝の6時には潮がひくはずだということ。7時に2人はビーチに向かった。昼間は波が荒いのだが、朝の海は何だか大人しかった。空気は澄んでいる。オージー6人のヤンチャ隊がすでに岩場でタコ捕りを始めていた。よーし、俺らも捕ろう!

しばらくしてヤンチャ隊が「俺たち料理しないから全部やるよ」そう言って

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オーストラリア2400km自転車旅12日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅12日目🚴‍♂️

12日目  「シュンの拾ってきたもの」

 目を覚ましたのはたぶん7時頃。オージー六人組は俺らの小屋から離れたもう一つの小屋でキャンプをしていたが、その日の朝にはもういなかった。シュンが昨晩の残ったタコ飯でおにぎりをつくってくれた。何から何まですみません。その後俺は洗濯してまた寝た。「また寝んのかいっ⁈」自分でもそう思った。

昼頃むくっと起きてサンドイッチを作ってシュンと食べた。それからシュンは

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オーストラリア2400km自転車旅13日目🚴‍♂️

オーストラリア2400km自転車旅13日目🚴‍♂️

13日目 「エネルギーが体に満ちていく」

 朝起きて、2人でアワビを捕りにビーチに繰り出した。背丈ぐらいある岩場がゴツゴツと、20~30m間隔で点在している。アワビは岩の地層の隙間にいる、とシュンが教えてくれた。お互いパンツいっちょ。シュンの履いているトランクスは、、、何色って言うんだろう!?不思議色だ。かがみ腰になり、岩と岩の間を凝視した。ちっちゃいんだけどこれがけっこういた。ほんとに石ころみ

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