オーストラリア2400km自転車旅11日目🚴♂️
11日目 「ブルームに戻る」
昨日シュンは教えてくれた。潮の満ち干きは6時間毎にそれぞれ2回ずつ起こること、朝の6時には潮がひくはずだということ。7時に2人はビーチに向かった。昼間は波が荒いのだが、朝の海は何だか大人しかった。空気は澄んでいる。オージー6人のヤンチャ隊がすでに岩場でタコ捕りを始めていた。よーし、俺らも捕ろう!
しばらくしてヤンチャ隊が「俺たち料理しないから全部やるよ」そう言ってたくさんくれた。
計16匹!スゴイ量だ。小屋に戻り、ゆでダコと揚げダコを作った。俺は揚げたのが好きで、シュンはゆでたのにしょうゆをつけて食うのが好きだった。ヤンチャ隊にタコをくれたお礼にと、調理後のタコにしょうゆを添えて持っていった。
「ヤミー!」と言って、好評だった。自分達の小屋に戻り再び料理したが、それでもタコは残った。しばらくして車のエンジン音が聞こえた。「オーナーだ!」オーナーは俺たちの小屋の前まで来た。彼女はまだ6人組には気付いていなかった。かなり驚いた顔をしている。説明を求めている顔だった。何でまた俺がいるのか?どうやってこのパークの中に車で入ったのか・・・
「また会えましたね・・・えーと・・・ 実は・・・」どう車で中に入ったか?をヤンチャ隊が責められず、こっちも悪くないように言うか・・・アイデアが出て来なかった。。。後ろからシュンが来て
「あの6人が鍵を見つけたんだよ。それで僕たちも入れたんだ!」素直に言った。。。オーナーの反応は・・・それほど怒ってない。。。
ホッとした瞬間、
「私の家のフリーザーに入ってたビールはあなた達の?」と聞かれてまたドキッ。
「ごめんなさい。そうです。」
「じゃーまた後でとりに来なさい。それから今からラジエータ回すから、しばらく冷蔵庫が冷えるまで時間はかかるわよ。」
「ありがとうございます。ほんとに」俺たちは2泊分の宿泊料を払った。あぁ、オーナー優しくて好きだ。カッコいいし。そうして、ビールも冷やせるようになり、余ったタコも、シュンが買出しした食材も冷やせるようになった。めでたし。少し落ち着いて、タコをつまみにビールを飲んで、俺はさっきのシュンの素直さを思いだし、笑いながら昼寝した。
・・・昼寝から覚めると、シュンが言った、
「冷蔵庫も動くわけだし、ブルームに買出しに行こう!」
「おぉぉ、、、」ブルームって、自転車の旅の出発地やん。。。
たしかに・・・タコばっかりは飽きるよなぁ、他にもいいもん食って、ビールも飲んで、昼寝して、もっと楽しみたい。・・・最寄りの街は、ブルームだ。
「よし行こう!」そうして、俺たちのスタート地点、『ブルーム』に向かうことにした。
車で片道約1時間半。1 0日ぶりのブルーム、あの真珠工場を探したブルーム。シュンと毎晩ビーチでビールを飲んだあのブルーム。一年ぶりに帰ってきたような、懐かしい感じがした。長い1 0日間だった。俺たちはスパーマーケットに行って、妥協せず食いたいと思ったもんを買った。シュンが言った
「どっちを買うかで迷うようなことがあったら両方買っちゃおう!」お金の心配はあったけど、、、また働けばいい!シュンと共に買い物をすることが久しぶりで楽しかった。これでバーンヒルでの生活はさらに素晴らしいものになる。帰りはもう日が落ちていて真っ暗。夜のドライブ、それもまた良い。ちようどブルームとバーンヒルの中間点、自転車初日のテントを張った晩を思い出した。
「あの時は、何であんなに怖かったんだろう・・・?」
つい1 0日前、俺はテントの中で怯えてた・・・。
ずっと道路脇を眺めていると、テントの中でかがんでいる自分の幻が見えてきた。
車の中から闇に向かって叫んだ。
「ウォーーーーーーウォーーーーーー!」思いっきり叫んだことで、弱い自分から抜け出せた気がした。シュンはそんな俺を見て、やっぱり笑っている。
「シュンもシャウトする⁈」
「僕はいいよ」笑
この日の晩はシュンのアイデアで、タコ飯を作った。その上にノリもかけた。それからチキン入りの野菜炒めも作った。シュンは本当に料理がうまい。今日も火を起こし、2 人でそれを囲んで、星空の下で食べた。ビールうまい!
やさしい風が肌を撫でる。火の匂いが懐かしいのは、狩猟時代のDNAの記憶だろうか。五感の全てが気持ちいいと歌ってる。
あぁ、、、この時間、最高だ。。。
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