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バトン

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今村くんと出会ったのは蝉がうるさいくらいに鳴いていた高2の夏。 近所の神社で毎年やってる夏祭り。神事の日に事件が起きた。 僕は何に巻き込まれていくんだろう。 青春小説第一弾。 … もっと読む
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【短編再編集】バトン 〜僕と今村くん〜 約25000文字

【短編再編集】バトン 〜僕と今村くん〜 約25000文字

【1】
僕が、今村くんと出会ったのは、3年前の高2の夏で蝉がジリジリ鳴いてる時だった。

今村くんは自転車で僕の目の前を横切って、2メートル先で転んだ。

半ズボンを履いていて、膝がパカって割れて血が湧いて出るようだった。

「おい!ボサっと突っ立ってないでなんとかしろ!!」

自業自得な怪我なのに目が合っただけの僕にえらい上から目線で助けを求めてきた。

僕はその姿があまりにもおかしくて目の前で

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【短編】バトン12 【完結】

【短編】バトン12 【完結】

第十一話はこちらから

今村くんも亜島さんも、こんな今を望んだだろうか。僕には全くわからないと思った。

亜島さんに病院に行くべきだと言った。普通なら生きていない状態だけど、治療をすれば、少しは良くなるんじゃないかって。でも、亜島さんはその前にやるべきことがあるって言って。

今村くんには、由紀恵さんの家に行こうって言った。家族の元に今は戻れなくてもいつか戻れる日が来るからって。でも、今村くんは、

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【短編】バトン11

【短編】バトン11

第十話はこちらから

地元の盆踊りを毎年1人で見に行っていた。
父は仕事でいなかったし、頼れる大人は誰一人いないし、友達を作るのも苦手な僕は必然的に1人で見に行くしかなかった。

祭囃子がまあまあ好きだったし、いつもは誰も寄り付かない神社に人がたくさんいるのも、面白いと思っていた。

櫓で太鼓を叩く人を眺めてから、周りで踊る人を見る。みんなの手の動きとか、着ている浴衣とか。ずっと眺めて、それから出

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【短編】バトン⑩

【短編】バトン⑩

第九話はこちらから

今村くんとご飯を食べる時は、すき家だった。
時々流れるすき家独自の音楽とかラジオとかに今村くんはいきなり機嫌が悪くなる。

「なんですぐにLINE返さねーの?」
僕は、今村くんの彼女じゃない。
「すぐ返せや」
脛をコツンと蹴られる。僕は今村くんの彼女じゃないし彼氏じゃない。
「聞いてんのか?おーい?」
手を伸ばされて頭をコツコツ叩かれる。機嫌が悪いからこんなことをする。
「も

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【短編】バトン⑨

【短編】バトン⑨

第八話はこちらから

僕を大事にしてくれる人。
大輔さん。それに…

「あら、杉崎くん。いらっしゃい。」
「みかんにお土産。」
「まあ。」
「由紀恵さんにも。」
「あら。なに?」
「金平糖。おいしいやつ。」
「ありがとう。」
由紀恵さんは、大学のボランティアサークルで出会ったおばあちゃん。みかんは猫で、かなりの年寄り。

どうしても不安な時はここに来る。みかんと遊んで、由紀恵さんと話をする。ここを

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【短編】バトン⑧

【短編】バトン⑧

第七話はこちらから

鳥の声が聞こえる。

ふかふかの羽毛布団を下に敷いて体を投げ出してベッドにうつ伏せで転がっている。
クーラーがよく効いていて朝になってもカーテンを開ける人がいない。
僕にとっては天国のようなマンション。

家主は上田麻友。
大学の友達。お父さんが起業家で家にはお金がたくさんあって、麻友は大学生になってすぐに一人暮らしのマンションを手に入れた。

「夕陽、ねえ、夕陽」
うつ伏せ

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【短編】バトン⑦

【短編】バトン⑦

第一話はこちらから

第六話はこちらから

僕はテレビも新聞もあまり見ないから社会の闇とか全然知らなくて。
闇っていうのは意外とそばにあって、昔はヤクザ、今は反社って。
元反社って言うのはザラにあって…実は反社ってのもいくら暴排の街と謳っていても、やっぱりあって…

「お前、意外と頭悪いのな。」
約束通り手帳を持って来た僕に、ガーゼを今日も丁寧に交換する僕に、インゼリーをいろんなフレーバーを買って

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【短編】バトン⑥

【短編】バトン⑥

第五話はこちらから
#お食事中の方はご注意ください
※表現がショッキングなところがあります。苦手な方はご注意ください。

今回は2500字ほどの読み物になっています。

「俺な痛み感じねーんだ。そんなやつ、俺しかいねーって本気で思って。でも、あれ、もう1人いるんだよ。世の中ってやつはせめーなって。」
自転車で転んだ今村くんを病院に救急車で運んだその日に言われた。

それはあの夏の一番の衝撃で、動

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【短編】バトン⑤

【短編】バトン⑤

第四話はこちらから
#お食事中は読まないでください
※とてもショッキングな描写がありますので、苦手な方は読まないことをお勧めします。

水の流れる音はよく聞いた。川がそばにあったから。僕の暮らす街には大きな川とそばを流れる小さな川があって、高校1年の時、台風で増水した川の水が遊水池に流れ込んであと少しで僕の家は飲み込まれるところだった。

ここも一緒。
水の流れる音が大きく聞こえる。
まさか、僕

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【短編】バトン④

【短編】バトン④

第三話はこちらから

大輔さんの本当の名前は恵。めぐみっていうらしい。外見を変えてしばらくは、けいって、自分のこと名乗ったらしい。でも、僕が会った時はすでに大輔さんだった。

大輔って名前は、双子のお兄さんの名前で、そのお兄さんは、失踪か誘拐かわからないけどいなくなってしまったと教えてくれた。

いなくなってから2年。

僕はあったことのないその人を大輔さんの顔から想像するけど、全然違う顔だと思う

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【短編】バトン③

【短編】バトン③

第二話はこちらから

起きるのが苦手。
夜眠りについても、昼寝でも。なんで起きなきゃいけないのって眠くて眠くてぼーっとする。

「おはよう」
朝はまず、カーテンを開けるから眩しいし、次には頭をくしゃくしゃにしながら枕に押し付けられる。ここに泊まるといつも。
「ほら、起きな。」
無理やり体を起こされる。抵抗して目を閉じたままにしていても。
「起きてるんでしょ?」
体をくすぐられるからたまらない。

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【短編】バトン②

【短編】バトン②

第一話は、こちらから。

あれから救急車が来て今村くんが運ばれていくのを見て、僕はなんとなく家には帰れないような気分になった。

今村くんが、あんな怪我をしたのはこの封筒が原因だということは目に見えてわかっていて、すぐにでも、僕も手放したいと思った。

しかしながら、現金なのであればいくらあるのか。それだけは確認したいと思うのは人間なればこその感覚なのではないだろうか。

果たして、何をして得たも

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【短編】バトン①

【短編】バトン①

僕が、今村くんと出会ったのは、3年前の高2の夏で蝉がジリジリ鳴いてる時だった。

今村くんは自転車で僕の目の前を横切って、2メートル先で転んだ。

半ズボンを履いていて、膝がパカって割れて血が湧いて出るようだった。

「おい!ボサっと突っ立ってないでなんとかしろ!!」

自業自得な怪我なのに目が合っただけの僕にえらい上から目線で助けを求めてきた。

僕はその姿があまりにもおかしくて目の前で起きてい

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