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2020年8月の記事一覧

私の幸福論

私の幸福論

扇風機の風に揺れるカレンダー

窓際で太陽を浴び、今にも踊り出しそうな観葉植物

ふと床に目を向けると、ダンボールから届いたばかりの雑誌が顔を覗かせて

小さいテーブルの上にはネイルが散らばっている

読みっぱなしの文庫本、しおりはきちんと挟んだかな

メガネはどこに置いたかな

ベッドの上でパソコンを開いて

さて、この後は何をしようかと考える

休日の午後、いつもの風景

ありふれた贅沢

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繋

週末に読みたい本をどっさり買い漁る金曜日。相変わらず、紙の本は増えるばかり。幸せな悩みだ。

そんなこんなで、これまでは「読むこと」しかしてこなかった私は、物語を「書くこと」に最近ハマっている。学生時代は国語が一番の苦手科目だった。そんな私が、いま一番関心を持っていることが物語を書くことだなんて、高校生の私からは想像もつかなかっただろう(笑)

ツイッターで何気なく書いている文章の一つ一つにも、そ

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短編小説 【 溶けた煙 】

短編小説 【 溶けた煙 】

下北沢から和泉多摩川までは、小田急線で約20分ほど。お互いにバイトを終えた夜22時ごろ、私たちは行きつけの居酒屋で待ち合わせをし、明け方まで盃を交わした。朝が夜を飲み込むころには、駅に近づくにつれてスーツを着た者から楽器を背負った者まで、夜通し下北沢の街を彩っていた人々が電柱や道路と一体化し、下を向いて項垂れている。

「水、買ってあげたい。」
「たぶん、この量だとキリがないな。」
彼はそう言って

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新しい旅

新しい旅

「泣きながら飯を食ったことがある人間は、きっとこの先、どんな困難も乗り越えられる。」

高校時代、親しくしていた先生が私に教えてくれた言葉だ。

当時の私も、昨日までの私も、きっとそんな日が訪れることなどないだろう。漠然と、そう思っていた。

しかし、そんな矢先。

「泣きながら飯を食う日」は、唐突に訪れた。

そう。まさに今日だ。

今日は、初めて泣きながら飯を食った記念日だ。

正直、涙の味で

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