3人の「悩み」を比較する!!|【EPISODE5:距離】「仮面ライダークウガ」に学ぶ(1)
※引き続き、「仮面ライダークウガ」の【EPISODE5:距離】を分析します。本記事の前に、以下の記事をご覧になることをお勧めします。
【ポイント③】今度は桜子が悩む番
<1>
本話は【桜子が悩むエピソード】です。
ちなみに、前話(EPISODE4)までの出来事を振り返ってみると……
・EPISODE1~2:雄介が悩む → クウガとして戦う覚悟を決める
・EPISODE3~4:一条が悩む → 雄介を仲間と認める
つまり、「雄介と一条に続いて、今後は桜子が悩む番」というわけですね。
<2>
さて雄介と一条がどのような悩みを抱えていたか、ざっくり確認しておきましょう。
▶ 雄介の悩み
雄介は「人びとを救いたい。しかし暴力は嫌だ」という葛藤を抱え、苦しんでいました。
しかし最終的には「皆の笑顔のためなら俺は暴力を振るう!」と覚悟を決めるに至ります。
※補足:雄介の悩みについては、こちらの記事で詳しく分析しました。
▶ 一条の悩み
一条の悩みは、「治安維持(= 怪人との戦い)は本来警察の仕事である。一般市民たる雄介に頼っていいのか?/雄介を危険な戦いに巻き込んでいいのか?」というものでした。
しかし最終的には、「雄介は一度やると決めたらテコでも動かぬ男だ。どれほど『お前は戦うな』と叱咤しても効果はないだろう。だったら手を組んだ方がいい/現実的に考えて、雄介の力なくして怪人を倒すことはできぬ」と考え、雄介とタッグを組むようになります。
※補足:一条の悩みについては、こちらの記事で詳しく分析しました。
<3>
そして……桜子!
桜子の悩みは2つに大別できるでしょう。
・悩み1:五代くん、どうしてあなたが命を賭けて戦うの?危ないから止めてよ!
・悩み2:私が古代文字を解読しなければ、五代くんが変身することはなかったかも……!
<4>
つまり3人の悩みというのは……
・雄介の悩み:ヒーロー本人の悩み
・一条の悩み:ヒーローをバックアップする公権力側の悩み
・桜子の悩み:ヒーローの友人(or 家族、恋人)としての悩み + ヒーローのサポーターとしての悩み
桜子は①友人として雄介の身を案じ、同時に、②古代文字の解読担当者として「私のせいで彼は危険な目に遭っているのではないか?」と心を痛めているのです。
<5>
本話に描かれているのは、【桜子が悩む姿】と【「いままさに悩んでいる桜子」と「既に吹っ切れた雄介 & 一条」のすれ違い】です。
本話のエピソードタイトルは「距離」。まさに【「桜子」と「雄介 & 一条」の心の距離】が描かれているのです。
【ポイント④】椿はどのように描かれているか?
<1>
本話で初登場したキャラ、椿秀一。
名前だけはEPISODE2から登場していましたが、顔を見せたのは本話が初めてです。
彼は、
・一条の学生時代からの友人
・医師(じつは司法解剖専門医)
……というキャラです。
<2>
ここでは、椿がどのようなキャラとして描かれているか確認しておきましょう。
まずは、椿の初登場シーン。
・Step 0:雄介と一条が関東医大病院にやってくる。そして、雄介が検査(CTスキャンと思われる)を受ける。
・Step 1:結果を見て、椿が感嘆する(これが椿の初登場シーン)。椿は「おいおい、何だよこれ。監察医務院の嘱託からここに戻ってきたばっかりの俺をこんな危ない奴の仲間にする気かよ」。
・Step 2:雄介がいつもの調子でヘラヘラ笑う「危ないですか、俺?」。すると椿はニヤッと笑って「思わず解剖してじっくり見たくなるぐらいとんでもないぜ」。
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ご覧の通り、椿は「マッドサイエンティスト然としたキャラ」として登場しました。
<3>
しかしその後、椿は至って真面目に雄介の体について解説を始めます。
曰く、
・「科警研から回してもらった未確認生命体第1号の体組織とほぼ同じ特徴が、きみの体にも現れている」
・「腹部の異物から全身に、神経組織のようなものが広がってる。おそらくそこから何らかの形で命令が出て、きみの体を急激に変化させるのだろう。いまはまだいいが、もしそれが脳にまで到達すれば、最悪の場合人間とは違うものになる」「奴らと同じ、戦うためだけの生物兵器だ」
……なんて具合です。
多くの鑑賞者は、「なるほど。医学的な見地から雄介をサポートするキャラだな」と感じたはずです。
<4>
つまり椿は、
・【サポートキャラ1】一条:公権力(警察)の内部から雄介をサポートするキャラ/寡黙ながら熱い男
・【サポートキャラ2】桜子:古代文字の専門家として雄介をサポートするキャラ/雄介の友人であり、彼の身を案じている
……に続く3番目のサポートキャラ、【医学的見地から雄介をサポートするキャラ/マッドサイエンティスト風】として描かれているのです。
【ポイント⑤】雄介と怪人はよく似ている?
本話では、雄介(クウガ)と怪人との類似性が強調されています。
・強調1(ファースト・ターニングポイント):雄介の体を検査した椿曰く、「君は怪人と同じく、『戦うためだけの生物兵器』になってしまう可能性がある」。
・強調2(第2幕後半):怪人も変身すると知り、雄介と一条が驚く。
「雄介(クウガ)と怪人がじつはよく似ている」ということは、EPISODE1から仄めかされていました。
しかしここにきて、いよいよ明示化されてきたわけですね。
※EPISODE1時点での「仄めかし」については、こちらの記事で詳しく分析しました。
続きはこちら!!
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