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雄介は、なぜ一条の前で覚悟を語ったのか?|【EPISODE2:変身】「仮面ライダークウガ」に学ぶ(3)

※引き続き、「仮面ライダークウガ」の【EPISODE2:変身】を分析します。本記事の前に、以下の記事をご覧になることをお勧めします。


【ポイント⑪】一条が果たした役割


<1>

「仮面ライダークウガ」の主人公は雄介

そして、副主人公は一条


ここでは、本話内での2人の関わりを整理してみましょう。


<2>

▶ Step 0(前話):一条が「クウガ = 雄介?」と感じる

・一条は、「白い戦士」(クウガの不完全形態)がクモ怪人と戦うのを目撃。「白い戦士」の正体が雄介ではないかと感じます。


▶ Step 1(第1幕):「クウガ = 雄介」と判明する

・半日後、一条は雄介に偶然遭遇。「もしかすると昨夜……」と遠回しに尋ねました。すると雄介は「はい!俺が戦いました」とあっさり肯定。

・ちなみにこれ、<生真面目で堅すぎる感のある一条>と<軽薄で人懐っこい雄介>の対比が愉快なシーンです。


▶ Step 2(第1~第2幕):一条が雄介を叱咤する

・怪人と戦う気満々の雄介……。

・一条は、そんな雄介を叱咤しました「もう君には関係ないことだ。さっさと東京に帰り、病院へ行け」「これは市民を守るという警察の仕事だ。中途半端に出しゃばるな!」。


▶ Step 3(第2幕後半):一条の言葉をきっかけに、雄介が「俺に足りないのは覚悟だ」と気づく

・一条の「中途半端に出しゃばるな!」という言葉をきっかけに、雄介は「俺に足りないのは覚悟だ」と気づきます。そしてこの後、雄介は遺族(怪人に父を殺された少女)の涙を目撃し、覚悟を決めるに至ります。

※補足:雄介が覚悟を決めるまでの経緯は、こちらの記事で詳しく分析しました。


▶ Step 4(第3幕):一条が窮地に陥る

・コウモリ怪人を退治すべく、単身敵地に乗り込んだ一条。彼はショットガンをぶっ放します。

・しかし相手は化け物。一条はすぐに窮地に追い込まれる。


▶ Step 5(第3幕):雄介が駆けつけてきて、<覚悟>を語る

・と、そこに雄介が駆けつけてきた。

・そして、雄介は自らの覚悟を語りました「こんな奴らのために、これ以上誰かの涙は見たくない。皆に笑顔でいてほしいんです。だから……見ていてください、俺の変身!」。


▶ Step 6(第3幕):雄介の奮闘、一条のアシスト

・雄介が「赤い戦士」(クウガ)に変身。コウモリ怪人と戦い始めます。


・すぐにクモ怪人が襲来。2対1の戦いとなり、雄介はピンチに陥ります。

・その時、一条がショットガンをぶっ放す!ショットガン程度では、怪人にダメージを与えることはできません。しかし、怪人の気を引くことはできた。怪人に一瞬の隙ができる。雄介はその隙を突いて反撃に転じました(おそらく一条は最初からこれを狙っていたのでしょう。怪人がショットガンでどうにかできる相手ではないことは、もうわかっていたはずですからね)。

・その後、コウモリ怪人は逃走。そして雄介はクモ怪人を無事仕留めることに成功します。


---

ご覧の通り、一条は雄介が覚悟を決めるにあたって重要な役回りを果たし、そしてその後の戦いでも見事なアシストを決めたのでした。


【ポイント⑫】一条は、なぜ雄介を叱咤したのか?


<1>

作中、一条は雄介を激しく叱咤します(上述の「Step 2」参照)。


はて、一条はなぜ雄介に厳しく詰め寄ったのでしょうか?

おそらくは、「心配」「怒り」が原因でしょう。


<2>

▶ 心配

一条は1人の警察官として、市民(雄介)の身を案じているのです。「いずれ大ケガをするぞ!だから、お前はもう怪人に関わるな!」というわけですね。


なお一条は、「白い戦士」の正体が雄介だと判明した後も、つまりは【雄介 = クモ怪人と互角以上に戦ってみせた化け物】と判明した後も雄介を一市民(= 警察が保護すべき対象)として扱います

ここに一条の【人の善さ】【真面目さ(警察官として職務に忠実)】が現れていますよね。だって普通は「化け物め、こっちに来るな!」と遠ざけたくなると思いますよ。


▶ 怒り

一条は「好奇心だか何だか知らぬが、軽率に首を突っ込んでくるな!」と思っている。だから、雄介を叱り飛ばした

真面目に職務に励んでいるからこそ、中途半端に首を突っ込んでくる(ように見える)雄介に腹が立つのでしょう。

やはり一条は【真面目な男(警察官として職務に忠実)】なのです。


【ポイント⑬】雄介は、なぜ一条の前で覚悟を語ったのか?


<1>

本話のクライマックスは、雄介が一条の前で「こんな奴らのために、これ以上誰かの涙は見たくない。皆に笑顔でいてほしいんです。だから……見ていてください、俺の変身!」と覚悟を語るシーン(上述の「Step 5」参照)……です……が。

はて。

一体全体、雄介はなぜ一条の前で覚悟を語ったのでしょうか?


だって覚悟なんてものは自分だけが知っていれば十分、わざわざ口に出す必要はないはずですよね。

ましてや、相手は知り合ったばかりのオッサンですよ。

それなのに、なぜ雄介は一条の前で覚悟を語ったのか?


<2>

アレコレ考えてみたのですが……ほら、人間には【不安な時に他人を求める性質】がありますよね。

例えば人生相談や恋愛相談、あるいはカウンセリング。私たちが、友人やカウンセラーに悩みを打ち明けるのはなぜか?答えやアドバイスがほしいからではありません。

ただ話を聞いてほしい……それだけ。


そう!「誰かが傍にいてくれる。そして自分の話に耳を傾けてくれる。たったそれだけのことでわだかまりが消え、力が湧いてくる」という現象です。


<3>

で、雄介。

彼は悪と戦うと決めました。それは、「(皆の笑顔のために)敵を殺す」という悲痛な覚悟です。

敵に殺されるおそれだってある。


雄介は、不安に押し潰されそうだったに違いありません

誰かに話を聞いてほしかった!誰かに自分を見ていてほしかった!


そこで一条です。

一条は、覚悟を語るのに最適な相手です。

なぜならば、一条はこれまでの事情(雄介の正体、雄介が怪人に一度敗北したこと etc.)を知っている。

加えて、一条は真面目な男です。ゆえに、雄介の覚悟をしっかり受け止めてくれるに違いない!


だからこそ雄介は一条の前で覚悟を語り、そして戦いに臨んだのでしょう。



続きはこちら!!


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(担当:三葉)

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