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何をアセスメントするのか? その1

 まず「教室で、どこの何を観察するのか?」を説明する前に「何をアセスメントするのか?」について書きます。それは、脳の機能に付いて学ぶことです。少し長いですが、これを学ぶと発達のことがよく分かります。
 以前にも書いていますので、それを再録して少し書き足します。

  

0⃣ー1 脳の機能の説明から

 これから説明する脳の機能図と脳の機能の説明は、先生や保護者用に簡略したものです。私が作ったもので正確ではありませんが、先生や保護者が学ぶにはこれで十分です。
 薄い水色は脳全体です。濃い水色は前頭葉にあるワーキングメモリーと言われているものです。実行機能はそれらをすべてコントロールするところです。実行機能の中にワーキングメモリが入っているモデルもありますが、ここでは分離しているモデルを採用しています。
   (注)これら実行機能やワーキングメモリーの働き等は、まだまだ仮
      説段階です。

私が使っている脳機能図

一応、見れば分かると思いますが、簡単に説明しておきます。

「聞く」を使うコース・・・人に質問された例で
  
話している人に注意集中する
    ⇩
  相手の質問(聴覚情報)を耳から取り入れて一時的に覚える
 (聴覚的短期記憶)
    ⇩
  ワーキングメモリーで質問を覚えておきながら、理解しまとめてそれに
  対する答えを考える(言語的ワーキングメモリー)
    ⇩
  口を使って返事する(コミュニケーション)

「見る」を使うコース・・・漢字を書く例で
  漢字(視覚情報)に注意集中する
    ⇩
  漢字をしっかり見て一時的に覚える(視覚的短期記憶)
    ⇩
  ワーキングメモリーで見た情報を覚えておきながら、漢字を線に分解 
  し、そして再構成し漢字を覚える(視空間的ワーキングメモリー)
    ⇩
  手指を使ってエンピツを握り、漢字を書く

 「知識」を得るコース・・・シジミチョウを覚える例で
  
シジミチョウを見つける
    ⇩
  お母さんの話すシジミチョウの様々な情報を聞く(聴覚情報)
  目の前の蝶々をしっかり見る(視覚情報)
    ⇩
  ワーキングメモリーで「シジミチョウ」の情報と目の前の蝶々の
  イメージを結びつける(聴覚情報と視覚情報の統合)
    ➕
  長期記憶から、それに以前のモンシロチョウを見た経験などを思い出
  し、上記の結び付けられた当たらな情報と過去の経験を結びつける
  
(統合した情報と過去の経験との統合)
    ⇩
  『シジミチョウ』が「蝶々の仲間で、茶色で小さい」などの知識が出来
  あがりそれを覚える(長期記憶)。それが、次に学ぶときの経験になる 

シジミチョウ

 「知識」を得るコースの補足を書いておきます。
 新たに得た情報と過去の経験が結びついたときに、初めて『知識』となるのです。だから、学ぶためには経験が必要です。小学校に入学する以前にたくさんの経験をした子どもが知識をたくさん学べるということです。
 経験は、旅行やキャンプ、誕生会のようなイベントだけではありません。日常の家での遊び、公園へ散歩、アスレチックなどの遊具遊び、友達とのまままごと、洗濯や食事の手伝い、お使い、お風呂、着替え、すべてのことが経験です。
 さまざまことを経験しておくと、それらが先生が与えてくれる情報と結びついて、知識となるのです。つまり、勉強して学力がつくのです。

0⃣-2 平均タイプと凸凹タイプを脳の機能図で

 平均タイプから説明します。平均タイプの脳の機能図が、次の図です。

平均タイプの脳の機能図

 注意集中から「聞く」コース、「見る」コース、「知識」を得るコース、実行機能などすべてが平均点の70点です。つまり、バランスの良い脳(脳機能が平均)で、使いやす言えます。

 次に、凸凹タイプの脳機能の一例が、下図です。

凸凹タイプの脳の機能図の一例

 この脳の機能図の子どもは「見る」コースは100点で優れていますが、「聞く」コースは30点で苦手です。その影響を受けて、注意集中と「知識」を得るコースが30点になっています。「聞く」ときに、注意集中が切れるからです。「知識」にまとめるときに、聞く情報が不足になるからです。その上、実行機能も30点で、聴覚認知と抑制のコントロールに悪い影響を与えています(弱い状態です)。 
 これでは、漢字は見て形を覚えるのは得意ですが、耳で聞いて意味が理解できません。つまり、漢字は書けるが、どう使っていいか分かりません。
その他、人と会ったときに、うまくコミュニケーションができません。長い話には気が散り、抑制も弱いので授業中でも窓の外を見て遊んでしまうでしょう。
 それぞれのコースが、アンバランスな脳です。つまり、脳機能が凸凹で使いにくい脳です。

その2に続く

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