見出し画像

理想に潰されてしまいそうな夜に

ありたい姿が明確だからこそ頑張れる、それはきっと正しいし、私もそれによってなんとか一人で立てるようになれた。
英語力の向上も、ダイエットの成功も、仕事も私生活も。
"こうなりたい"姿が鮮やかに描けるからこそ、それに向かって日々頑張ることが充実感をもたらす。
だけど人には、自分の力でどうにもできないことがある。

ドラマ「アンサングシンデレラ」の中で、闘病中の教師はこの状態では自分の理想になれないと嘆いた。
彼の思い描く理想は明確で、手を伸ばさないと届かないもので、病気になる前はそれが実現できていたという。
そういう彼は、病気になったことで自分の理想を手に入れられなくなってしまった。
もっと真剣に児童と向き合って、早退なんてせず時間も労力もたっぷりかけて。
そういう理想は週3日透析に時間を取られる彼にとって、実現できないものとなっていく。

人にはきっとなんとなくなりたい姿があって、それを明確にしていくことで頑張るべき箇所が色濃く見えて、そうやって今何をするかが見えてくることで、今をよりよく生きられるようになると思う。
だけど理想が明確にあったとしても、その人にとってどうしても動かせないものはあって、それは例えば病気だったり、人との関係性だったりとして存在している。
人との関係性は動かせるものではあるかもしれないし、それをどうこうするために本人が動くことはできるけれど、ただその結果うまくいくかどうかはわからないから。
好きな人と両想いになりたいと願って行動しても、相手が振り向いてくれるかは未知数だ。
時間やお金もある程度そういう節があって、今寝る間も惜しんで身を削っている人に、理想に近づくためにこれを追加してやりましょうとはなかなか言えないと思う。

ありたい理想を描いても、それが自分の現状と照らし合わせてどうにもできないものだと苦しんでしまうばかりだ。
自分の理想を、今の状態を前提にして創り上げていくにはどうしたらいいか。
そうするためには、理想の練り直しから必要になってくるのかもしれない。

理想がどうしても実現できないものになっている時、その中で自分が一番大切にしたい価値観・考え方について洗い出すと、きっと新しい作戦が見えてくる。
一度辞職することも考えたアンサングシンデレラの教師がもう一度教師として頑張っていきたいと思えるようになったように。
理想を叶える方法は、本当はきっと何通りもある。
今ある状態に無理を重ねていくことは続かないから、自分を殺さないまま価値観を大切にしていける道を、何度でも探し続けて進みたい。

お読みいただきありがとうございます! サポートいただきました分はnoteを続けるエネルギーに変換していきます。