【書籍紹介】学び3.0―地域で未来共創人材を育てる「さとのば大学」の挑戦
「地域を旅する大学」さとのば大学発起人・信岡良亮さんの新刊『学び3.0 ―地域で未来共創人材を育てる「さとのば大学」の挑戦』をご恵贈いただきました。ありがとうございます!
今回は、ご恵贈いただいた本書『学び3.0 ―地域で未来共創人材を育てる「さとのば大学」の挑戦』について、前提となる背景を含めご紹介できればと思います。
さとのば大学とは?
株式会社アスノオト代表の信岡良亮さんが発起人である「さとのば大学」は、2019年に社会人向け市民カレッジとして生まれ、2021年以降は文科省認定の4年制通信課程ネットの大学managaraと提携し、学位取得もめざせる体制も整いつつある新しいスタイルの学びの場です。
学生が実際に地域に暮らし、自ら立ち上げたプロジェクトを地域の人々と共に推進しながら学ぶ「プロジェクト学習」と「オンライン学習」を行き来しながら学ぶという「さとのば大学」。
名誉学長として井上英之さん(スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー日本版共同発起人)、副学長・カリキュラムデザイン担当として兼松佳宏さん(NPO法人グリーンズ)が参画するなど、既存の教育機関や大学とは一線を画する取り組みです。
2024年1月時点で、さとのば大学と提携する地域は北海道から鹿児島まで15に拡大し、同年2月には附属高校構想の立ち上げなど、チャレンジが継続されています。
学び3.0とは?
「学び3.0」とは、さとのば大学発起人である信岡さんが本書の中で紹介している世界観であり、以下のように整理されています。
この整理は、市川力・井庭崇の両名が『ジェネレーター 学びと活動の生成』の中で述べている社会の変化に伴う教師の役割の変化にも対応しているように見受けられます。
すなわち、「消費社会」における「ティーチャー(知識スキルを教える)」から、「情報社会」における「ファシリテーター(主体性を尊重し、コミュニケーションによる学びを促進)」、「創造社会」における「ジェネレーター(生徒や学生の学びのプロセスに参加し、共につくる)」への変遷です。
ジェネレーターとは?
『ジェネレーター(Generator)』とは、一般社団法人みつかる+わかる代表理事であり東京コミュニティスクール初代校長である市川力さんと、慶應義塾大学総合政策学部教授の井庭崇さんによって2011年に初めて提唱された概念です。
2011年、市川さんと井庭さんは『Pedagogical Patterns for Creative Learning』という論文中において『ジェネレーティブ・パーティシパント(Generative Participant:生成的な参加者)』という言葉を初めて用いました。
2013年、井庭さんのSFCの授業に市川さんがゲストにやってきた際、『ジェネレーター』と呼び変えてはどうかという提案がなされ、その後『ジェネレーター』と改められたと言います。
著者2名のジェネレーターに関するインタビュー等は、以下をご覧ください。
ジェネレーターの誕生には、ここ100年の社会の変化と学び・教育のかたちの変遷が大きく影響しています。
井庭さんはここ100年の社会の変化を、3つの「C」というアイデアで言い表しています。
この時代の変遷に対応するように、必要とされる学び・教育の担い手のあり方も変化します。
学び1.0〜3.0、ティーチャー〜ジェネレーターは、いずれのプロセス・役割も重要であり、必要に応じて行き来することも大切である、という点も共通しているように思います。
『学び3.0 ―地域で未来共創人材を育てる「さとのば大学」の挑戦』で紹介されるさとのば大学の取り組みは、個人的にとても刺激的な取り組みに感じ、さまざまな視点からアプローチできそうに思います。
ぜひ、本書にご関心のある方々と語り合ってみたいですね。
さらなる探求のための参考リンク
さとのば大学で旅して学ぶ-朝日新聞
【書籍出版STORY】新しい教育への挑戦を、みんなで担ぐ“祭りの神輿”に ー キャンパスを持たず、地域を旅しながら学ぶ大学を立ち上げた信岡良亮が、著書『学び3.0』を通していま伝えたいこと
“地域を旅する大学”をつくりたい!!学校法人『さとのば大学』設立準備プロジェクト
キャンパスは小さな経済圏―地域の暮らしが育む、ワクワクを創る力
キャンパスは日本全国。授業はすべてオンライン。大学卒業資格もとれる、日本版ミネルバ大学「さとのば大学」ってどんな大学?
「さとのば大学」が実践する地域をキャンパスにして未来を創る新しい学びとは?
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