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芸術一般

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芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
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#クラシック音楽

<閑話休題・芸術>美食と芸術の関係

<閑話休題・芸術>美食と芸術の関係

 ある人が、「安いラーメンを食べた後の演奏より、高級な寿司を食べた後の演奏の方が、より素晴らしく演奏できたと、多くの音楽関係者がいっている」と述べるのを読んだ。「ふーん、そんなものか・・・」と思ったが、しばらくすると、なにか違うような気がしてきた。

 例えば、おそらく安いラーメンには見向きもせず、普段から高級な寿司を食べているその人にとっては、良い演奏をするためには高級な寿司などを食べなければだ

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<映画評>「タンポポ」と伊丹十三の映画文法

<映画評>「タンポポ」と伊丹十三の映画文法

 伊丹十三の作品を全て観たわけではないが、最上のものは「タンポポ」だと思っている。なぜなら、映画の基本文法であるモンタージュ(簡単に言えば、「場面と場面のつなぎ」)を屈指した映像と、さらに映画自体に対するオマージュが込められているからだ。

 つまり、「シェーン」を換骨奪胎した内容や、当時は安い庶民の食べ物としてあまり注目されていなかった(高級レストランや老舗飲食店でのグルメが、大衆やメディアにも

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<散文詩>「前奏曲集第1巻」

<散文詩>「前奏曲集第1巻」

 クロード・アシル・ドビュッシー作曲「前奏曲集第1巻」から,その各曲の題名と曲想をイメージした散文詩を作ってみた。これは,ドビュッシーの世界でもあり,私の世界でもある。

1.デルフィの舞姫

老夫婦は,エーゲ海の小さな島を訪れた。
デルフィという名の島だった。
二人は言葉を交わすこともなく,
島の中央に残る古代の神殿跡を目指した。

神殿跡には,
腰掛けるのにちょうどよい大理石があった。
二人は

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<芸術一般>バレエ スーパースター・ガラ2022 Aプログラム

<芸術一般>バレエ スーパースター・ガラ2022 Aプログラム

2022年11月25日(金)13:00開演 於、東京文化会館大ホール

 ルーマニアにいたとき、衛星放送でフランスのクラシック専門チャンネルを毎日ながら視聴していた。その中で、オペラやバレエも良く放映されていたのだが、ボリショイバレエによる、チャイコフスキーの三大バレエもよくやっていた。そして、「白鳥の湖」と「眠れる森の美女」の主役は、ロシアが誇るウクライナ人バレエダンサーのスヴェトラーナ・ザハロ

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<書評>「クラシック千夜一曲-音楽という真実」

<書評>「クラシック千夜一曲-音楽という真実」



「クラシック千夜一曲-音楽という真実」 宮城谷昌光著 1999年 集英社新書

 中国古典を題材にした小説で著名な作者による,偏執的な音楽評論。10夜(曲)として選んだ曲目も,また推奨するCDも,さらに指揮者や演奏家に対する評価も,かなり個性的かつ一方的に思える。

 結局,これだけの感想しかなかった。別にこの本が良くないということではなくて,私が読んで,どこまで刺激を受けたかという観点では,

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<芸術一般>ソプラノは、本当に素晴らしい

<芸術一般>ソプラノは、本当に素晴らしい

なんとなく、好きなソプラノについて書いてみたくなったので、youtubeを引用しつつ、ご紹介したい。

モーツアルト「魔笛」から、夜の女王のアリア
https://www.youtube.com/watch?v=YuBeBjqKSGQ
高校生の時に、初めてNHKFM「リクエストアワー」で聴いて、人の声ではなくバイオリンの音かと間違う歌声に、魂を揺さぶられた経験があります。こいう素晴らしい曲は、多感

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