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芸術一般

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芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
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2023年5月の記事一覧

自由律俳句(その5)

自由律俳句(その5)

(掲題の画像は、2020年1月末のニース海岸の朝焼け。冬の地中海は暖かく、穏やかだ。)

〇2023年4月10日、葉桜の季節になったが、空は快晴。私の好きな雲はまったくない。公園の散歩が心地よい。

排気ガス 木ひとつへだてて 鳥の声

どこに行ったと雲に聞けば 自分の心に聞けという声が聞こえる

草花が話しかける この道は終わりなし

〇2023年4月20日、スギ花粉が終わり、ヒノキ花粉も少しと

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<芸術一般>赤い鳥(ハイファイセット)とシンガーズアンリミテッド、そして現代詩と山頭火

<芸術一般>赤い鳥(ハイファイセット)とシンガーズアンリミテッド、そして現代詩と山頭火

 クラッシック好きの私としては、かなり珍しくポピュラー音楽について書く。今はこういう美しい曲が少なくなってしまい、「踊れれば良い」という理屈で、騒音に近い情緒も詩もない音楽が幅を利かせる時代が続いている。

1.赤い鳥

「忘れていた朝」

 山本潤子の声は、日本のボニー・ハーマン(シンガーズアンリミテッド)です。

「紙風船」

 黒田三郎の元の現代詩(以下4.参照)が、もともと好きだった。

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<書評>『現代詩・土着と原質』

<書評>『現代詩・土着と原質』

『現代詩・土着と原質』 小川和佑著 教育出版センター 1976年

1.総論的なもの 私が明治の文芸科(小川和佑は同大同科の先輩にあたる。既に逝去されており、遅ればせながら後輩・受講生としてご冥福を祈ります)3年になったとき、文学研究のゼミが自由に選考できた。特定の希望はなかったが、友人が「小川和佑のゼミが良いから、一緒に入ろう」と誘ってくれて、それで内容を良く知らずに入った。4年次も続けて入った

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<書評>瀧口修造『余白に書く』

<書評>瀧口修造『余白に書く』

(前口上として)
 今朝「現代詩読本 瀧口修造」を投稿したとき、私は、現代詩とか、シュールレアリスムとか、瀧口修造とか、そんなことを書いても、noteの読者で関心持つ人は皆無だろうなと思っていた。なにしろ、今の最大公約数としての読者層には、ファンタジーとか、高校生の恋愛ドラマとか、警察・弁護士・医者絡みのミステリーとか、そんなものしか関心を呼ばないと思っていたから、「どうせ誰も読まないだろうな」と

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<書評>『現代詩読本 瀧口修造』

<書評>『現代詩読本 瀧口修造』

『現代詩読本 瀧口修造』 1980年 思潮社 渋沢孝輔、大岡信、岡田隆彦他。

 私の瀧口修造との縁は、美術評論から入った。その後、瀧口自身が芸術作品を作っていることを知り、最後に詩に行き着いた。瀧口自身の実人生の時間とは、正反対の流れで鑑賞したことになる。

 そして、特に意識していなかったというか、瀧口修造とは現代芸術の偉大な理解者だと思っていたので、その一部としてシュールレアリスムがあっても

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