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三年目

33
2021年の詩まとめ
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#詩的散文

ゆるやかに

ゆるやかに

からっぽになったときほど涙が溢れるのはどうして
視界がゆるやかに滲んで世界を曖昧にする
からっぽのわたしたちに丁度いい世界
風で乱れた前髪の隙間から見る夕陽の美しさはいつまでもわたしだけのもの
君の感情を知らない昨日までがとても心地よかったんです
知ってしまったら戻れないから
嫌いなものも好きなものも、知ってるだけでいいの
理解しなくていいのに、理解することが君のためとか言ってくるあなた
嫌いだよ

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明るい終わり

明るい終わり

昼間のシャッター商店街はなんだか居心地がよくて、すこしだけゆっくりと歩いて通過する、時間がわたしを急かさない、そこにあった記憶だけが堆積していて、眩しい昼間の太陽さえも懐かしくみえる、世界終末ごっこ、わたしたちはたくさんの勘違いを共有して繋がっているの、その勘違いが絆とか愛とかになって、ほんものになっていくの、だから謝らないで、嘘つきの君をすきになったとき、じぶんのこともすこしだけ許せた気がして、

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autumn

autumn

真夜中の雨、きらきらしてるから、サンダルひっかけて浴びにいっても良いとおもえたんだよ、だれにも読まれない日記、遺書みたい、世界から消えたい度に鉛筆で綴ったコピー用紙一枚分の遺書はすべて燃えるごみになりました、わたしは2Bの芯と一緒にゆっくりと確実にすり減って死んでゆく、日記帳はすべて燃やして焼き芋をつくりましょう、夕焼け眺めながらきみと食べたい、秋は寂しい季節だねって、みんなそう思っているから正し

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ほんもの

ほんもの

きみは居心地が良いひとって言うと、それは相手が我慢してるからだよって誰かが刺してくるし、みんな違ってみんないい党は主張が強すぎてそれが正義だって受け入れないと刺してくるしみんな自分が自分がって相手を刺して刺されてわけがわからない、ほんもの なんて誰も知らないくせに、ほんものを求めたり貶したり、にせもののわたしたちはいつまでも、ほんもの未満に恋してる、相手にばかり穏やかさを求めてるけれど、君のその言

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0831

0831

美術室の隣の音楽室
重い扉を引けば天井が高く臙脂色に囲まれた空間
すべての教室にある机や椅子たちは
違和感として存在していて
五線譜黒板にらくがきすること
なんだか躊躇われて
いつだって綺麗で長いチョークが並んでる
夜中に絵画の音楽家たちが奏でるピアノ聴きたくて
忍び込んだ8月31日

ふとん

ふとん

こどもの頃、掛け布団から足先がはみでていると
おばけやなんだか怖いものに引っ張られるって
根拠もない恐怖に怯えていた
暗闇に紛れてやってくるそれらに恐怖して
夜が怖かった
暗いことが怖かった
純粋な恐怖はいつのまにか居なくなって
夜に
暗闇に
安心しているおとなのわたしたち

当たり

当たり

アイスの当たり棒がでた
こどもの頃はいくら願っても当たらなかったのに
興味が薄れた頃にやってくるなんて意地悪ね
もうすこし暑ければ午後のおやつに引き換えてしまいたかったけれど
君との約束がなくなってしまったついでに買っただけだから
ほんとうは当たりなんてほしくなかったよ
神様が味方してくれないのはいつものことなのにね
遠くで蜩が鳴いてる
すべて汗になって流れたわたしのなかの水分は涙になれなかった

end

あと13時間で世界が終わります

なんとなくチャンネルをあわせたワイドショー
すごく派手なワンピースを着た女子アナが真剣な表情で原稿を読み上げてる

翌日でも1週間後でもなくて
13時間後がいいの

すこし焦って開き直って
君と目が合う回数がいつもより増えて
昨日と同じかすこしだけ背伸びした生活をして

おやすみなさいって明日を生きる魔法を唱えて
叶わないことに愛しさを感じて
終わりたいね

××

××

愛されなかった幼少期
同級生からのいじめを制服と大人から隠していた十代
うっかり魔が差したリストカットぽたぽた垂れる真っ赤な血液に興奮と安心感
恋した相手はとんでもない甲斐性なしで捨てられたのは自分で
そんなわかりやすい壮絶な過去がひとつでもあるとわかりやすく周りが食い付いてくるね
オマケでいまの自分は幸せですって顔してさ
悲劇って美談にしやすいでしょ
そういう人間って違う世界のいきものみたいで

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0

カボチャの馬車にのって王子様に会いにきたシンデレラは午前0時に帰らなくてはいけないけど、わたしたちは午前0時に待ち合わせましょう、日付がかわるその瞬間、一日のすべてがリセットされて清くなります、まっさらになったわたしと君で、はじまりをはじめましょう、闇に浮かぶ三日月の滑らかなカーブで寝てみたい、輝く星たちはけっしてわたしたちを邪魔することない透明な光、二人が指差した星を繋いで秘密の星座をつくりまし

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※※※

また人の死を美化してる、美談にして語り継ごうとしている、苦しくて死にたくて辛かっただろう人の死を、わたしたちは解釈違いして、心に残そうと必死だ、きっと天使たちは空からわたしたちのつむじを見ながら笑ってる、あの人も笑っているかな、もしも笑っていたら嬉しいです、あなたの笑顔がだいすきだから、死が不幸なのはこの世に残ったわたしたちの価値観で、4回生まれ変わることが本当ならば、次の人生で、この世で笑い合い

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6時間目

午後の道徳の授業
命や死について学ぶとき
きまって同級生の親友の死を語ってくる先生がいた
名前も顔も声も知らないその親友の最期を聴かされるわたしたち
不慮の事故だって
わたしたちは話の中盤にはもう飽きていて
途中から涙ぐみながら語る先生はいつだって不気味で
感動ポルノ監督気分で教壇に立つ
死にたいクラスメートは窓際の席からグラウンドを見つめて
下級生の持久走を眺めていて
一周遅れのあの子は世界の理

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はる

春がそこまできているにおいがします
暖かいひざしはすきなのに
春のにおい、胸がざわざわして向き合えません
桜吹雪に巻き込まれて消えてしまえたら素敵なのに
足元に散った花弁を踏んで進むしかないわたしたち
綺麗なものはいつか必ず朽ち果てて
わたしたちは見て見ぬふり
綺麗な春だけ思い出にしましょ
そうすれば来年の春も待ち遠しくなるでしょ
桜吹雪に巻き込まれて笑顔のあなたは春の妖精

せんせい

まだ世界の広さを知らなかった4、5歳のわたしのせかいは疲れない程度に歩ける範囲
通っていた医院は先生ひとりと看護師兼受付の女の人ひとりだった
もしかしたら看護師さんと受付のおねえさんは別人だったかもしれないけれど
あの小さな医院内に三人もの大人が居るとは思えなかった
お医者さんはその先生ひとりだと確信していたあの頃
子ども相手でも決して営業スマイルしない看護師さん(と受付のおねえさん)

診察後に

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