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ゆるやかに

からっぽになったときほど涙が溢れるのはどうして
視界がゆるやかに滲んで世界を曖昧にする
からっぽのわたしたちに丁度いい世界
風で乱れた前髪の隙間から見る夕陽の美しさはいつまでもわたしだけのもの
君の感情を知らない昨日までがとても心地よかったんです
知ってしまったら戻れないから
嫌いなものも好きなものも、知ってるだけでいいの
理解しなくていいのに、理解することが君のためとか言ってくるあなた
嫌いだよ、要らないものっていわれたら、たぶん全部捨てられるけど
まだ人間でいたいので捨てられないものばかりだ
部屋の電気をつけずにカーテン越しに夜空をみる
世界から隔離されているみたい
このくらいの距離がきっと心地よいのだと
一番星に手をのばしてゆるやかに靡くカーテンをなでる

作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。