6時間目

午後の道徳の授業
命や死について学ぶとき
きまって同級生の親友の死を語ってくる先生がいた
名前も顔も声も知らないその親友の最期を聴かされるわたしたち
不慮の事故だって
わたしたちは話の中盤にはもう飽きていて
途中から涙ぐみながら語る先生はいつだって不気味で
感動ポルノ監督気分で教壇に立つ
死にたいクラスメートは窓際の席からグラウンドを見つめて
下級生の持久走を眺めていて
一周遅れのあの子は世界の理不尽さを知っている
理不尽なのが死で
必然なのが死で
死ぬから生きてることが素晴らしいって響きは良いけれど
死ぬために生きてるって言うとおとなたちは勝手に悲しんでくる
命を大切にしましょう、ってたったの10文字をわたしたちに理解させるために
先生の親友はあと何回死ぬのだろう

作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。