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結局、「イデオン」の謎エネルギー・イデって何だったの?

富野由悠季といえば「ガンダム」の生みの親だが、それ以外の彼の作品って知ってる?
・ザンボット3
・ダイターン3
・イデオン
・ザブングル
・ダンバイン
・エルガイム
・ブレンパワード

結構色々作ってるんですよ。
この中で特にお薦めするのは、「イデオン」「ザブングル」「ダンバイン」の3つかな。
敢えてひとつに絞るなら、やはり「イデオン」だ
後世に与えた影響を考えても、これは「ガンダム」にも匹敵するレベルである。

「伝説巨神イデオン」

とはいえ、これは「ガンダム」とは全く別系統のSFといえよう。
なぜって、「ガンダム」がリアルロボット路線なのに対し、「イデオン」は明らかにその対極ともいうべき、スーパーロボット路線だから。
リアルロボットとスーパーロボットの違いの説明は難しいところだが、まぁ最も分かりやすい例を挙げるなら
・究極のリアルロボット⇒パトレイバー(工業技術の産物)
・究極のスーパーロボット⇒エヴァンゲリオン(人智を超えた謎の動力源)

といったところか。

「エヴァンゲリオン」は、かなり「イデオン」の影響を強く受けているのは間違いないよね。
実際、「イデオン」のラストとか「エヴァ」のサードインパクトそのまんまだし。
というより、いまどきのアニメーターで「イデオン」の影響受けてない人の方が少ないだろうけど。
「ガンダム」は機体がリアルロボットである分、操縦者が「ニュータイプ」というスーパーだった。
逆に「エヴァ」は機体がスーパーロボットである分、操縦者がシンジみたいなリアルだったわけよ。
どっちのパターンが好きかは、人それぞれだろう。

「イデオン」のラスト、みんな肉体を捨てて精神体になりました

しかし、このてのサンライズ作品は初見の人にお薦めしにくいものである。
なぜなら、TVシリーズは長いから。
「イデオン」も短縮されたとはいえ、それでも全39話。
よって、これから見るという人にお薦めしたいのは、劇場版の方だ。
「接触編」「発動編」、各々90分程度だから、さくっと見れるはず。
気に入れば、あとでTV版を見ればいい。
基本、サンライズ系は劇場版こそが「作品」だと私は解釈してるのね。
ありがちなパターンとして、TV版と劇場版が微妙に内容が異なっていたりするのよ。
「Z」や「コードギアス」など、TVでは死んだ人が映画では生きてたりもするわけで。
ちなみに「コードギアス」の最新作、「復活のルルーシュ」を見ると明らかに劇場版の設定の方に準拠してたので、おそらく公式には劇場版が「作品」なんだろうな、と。
ま、違うかもしれんが。
とにかく「イデオン」は劇場版のクオリティが高いので(特にラスト)、こっちの方をお薦めしておこう。

「イデオン」のストーリーは、割とシンプルである。
各々に「地球」という異なる惑星を故郷とするふたつの種族が、未知の無限エネルギー「イデ」を巡って戦争をする話なんだ。
この「イデ」というのは、過去に滅んだ「第6文明」の遺物のようであり、どっちの種族にとっても科学的に解明の及ばぬ、恐ろしい未知のエネルギーである。
お互い「敵に渡しちゃいかん」として戦争になったんだが、戦っていくうちに「イデ」が発動し、これが宇宙そのものを塵に帰すほどのものということがだんだん分かってくる。
基本、「イデとは何か?」が作品における最大のテーマで、その正解は正直最後まで見てもよく分からない。
ヒントは、色々出てるんだよ。

・「イデ」のエネルギー総量は無限大である。
・「イデ」の本質は知的生命体の意識の集合体である(第6文明の人類全ての意識がここに収束されているとやら?)
・「イデ」には意思がある
・「イデ」は、赤ちゃんや胎児の意思に反応する

精神感応性のエネルギーといえば「コブラ」のサイコガンを思い出すけど、威力はそんなもんの比じゃない。
「ヤマト」の波動砲をも遥かに凌ぐスケールだ。
一体何なの、これ?
この作品は小説版もあるようなので、それを読めば答えが書いてあるのかもしれん。
でも私は読んでないので、あくまで私見を書かせてもらう。
間違ってたらゴメン。

「イデ」は兵器として最強だが、やがて制御不可能なレベルに・・

まず私が気になるのは、そのエネルギー量が無限だということ。
一応、「第6文明」の人類がこれを開発したという設定らしいが、そんなのはエネルギーそのものの説明になってない。
人類に、無限のエネルギーを生み出せるか?
無理だよ。
もしあり得るとすりゃ、ひとつの可能性として
「イデ」=ビッグバンの基礎となったもの
と捉えるべきだろう。
つまり、これは宇宙の原始エネルギーである。
そもそもビッグバンというのは途方もないエネルギー量で、今から138億年前に爆発したというのに、いまだバッテリー切れしていない。
だけどいつか膨張は止まり、今度は収縮⇒もとの種の状態に戻る、という説もある。
それって、エネルギー枯渇による全宇宙の死だよね?
宇宙は生き物みたく、生殖しないのか?
・・というところが、「イデ」のキモだと私は思う。
「イデ」には意思があるという本作の設定からして、宇宙=意思をもつ生命体、という最初の前提があるんじゃないかな。
で、先ほど書いた「宇宙の生殖」についてだけど、もしも宇宙=意思をもつ生命体だとするなら、その胎内に新たな意思(次の宇宙の種)を宿らせても不思議はないわけでしょ?
そして、それが我々人類を含む知的生命体のことを指す可能性もある。
最初は微生物から始まり、長い歳月を経てようやく自らの意思をもつ人類というところまで辿り着くことができた。
意思、それこそが「イデ」、次なる宇宙の種にして、新たなるビッグバンを生み出す基礎、ということになるのかもしれん
・・ん?何言うとるかワケ分からん?
うん、私も正直ワケ分かりません(笑)。

観測しない時は「波」、観測した時は「粒」という結果になった

ちなみに、こういう量子実験により、「観測」の有無で量子が変化することは実際に証明されてるわけよね。
そして観測とは、我々人類を含む知的生命体にしかできない行為。
なぜって、我々だけが自然の摂理から自立した意思、つまるところ「イデ」をもつからでしょ。
ここがポイント。
明らかに「イデ」は、宇宙の構成単位・量子に作用できる、何らかのものを秘めている。
ついつい我々は「地球人なんざ広大な宇宙にとって砂粒程度のとるに足らん存在」と考えがちだが、意外とそういうものじゃないのかもしれないな、と思ってね。
おそらく「イデオン」も、そういう発想から始まったストーリーだろう。
「イデ」という宇宙の原始の意思が、人類が次なる「イデ」になり得るかを測る意味でふたつの人類を邂逅させたんだが、その結果として戦争が勃発。
こりゃダメだ・・と思い、最後はサードインパクト起こして全てをリセットしました、というのが大まかなあらすじである。
TV版だと鬱アニメだが、劇場版の描写は案外そうでもない。

なぜか、映画の最後は実写映像に切り替わった

ラストは「エヴァ」さながらに海辺の光景となって、ここから新たな生命が誕生して、いつかまた「イデ」に再トライをすることが暗示されている。
多分、この星って我々がいる地球だよね?
つまり「イデオン」は未来の話だとミスリードさせといて、実は我々人類が生まれる前の前史だったというオチ。
そう、意外とこれは鬱アニメではないってこと。
つくづく、奥が深いアニメだよね・・。
ただ、こんな高度なSF、プラモ作ってる子供たちには理解できないって。
子供の目には、「みんな死んじゃう残酷なアニメ」としか映らなかっただろう。
もしくは、「めっちゃヌードをたくさん見れるご褒美アニメ」という認識もあったかもしれんが・・。

しかし富野由悠季は、相変わらず人間の業を描くことにおいて容赦がない。
敵陣営の最高司令官なんて、「このまま攻撃をやめなければ敵も味方も全滅する」とはっきり分かっていながら、それでも最後まで攻撃をやめようとはしなかったわけで。
ま、しようがないよね。

この「イデオン」が1980年ではなく、1930年代にでも放送されていれば、きっと太平洋戦争は回避できていただろう。
放送が、50年ばかり遅かった・・。
ただ、我々はこれを見た以上、絶対に「イデオン」と同じ轍を踏むまい。
だってさ、男としてイヤでしょ?
女ふたりに挟まれて、こんな辱めを受けるのは↓↓

これ、超恥ずかしい状態だと思うよ


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