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大体1000字の読書感想文

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私の読書感想文まとめ。大体1000文字くらいが書きやすい。
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【読書】愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように

【読書】愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように

踊りと観客、
歌と聴衆、
労働と対価。
それと等しく、愛と傷。

愛したら絶対に傷つく、傷ついたら次が怖くなる。
それでもなお構えず、遠回りをせず、愛しなさいと。
要はそういうことだろう。

きついことを言う。
こちとら大人だ、予防線くらいは張らせてほしい。

愛したい、自分が傷つくことがないように。

ーーーーー

ここ2ヶ月程、体調がおかしかった。
病院に行くタイミングを図りながら(もしこれが

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【読書】奇想天外な目と光の話

【読書】奇想天外な目と光の話

最近よく水族館でカラフルにライトアップされているクラゲ。
あれは、眩しかったりストレスだったりしないのだろうかと思っていた。

私があんな風にカラフルに照らし出されたら、眩しいし疲れるし何が何だかわからないし絶対にやめてほしい。
ふわふわと流されるままに漂うクラゲたちは、あの光に何を感じているのだろうか。

結論を言ってしまえば、クラゲは何も感じてない。っぽい。
なぜならば、彼らには脳がない。スト

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【読書】裸で泳ぐ

【読書】裸で泳ぐ

この本の著者・伊藤詩織さんは同意のない性行為を強要されたとして、裁判を起こした人物である。
MeToo運動の先駆けと言えば、分かる方もいるだろうか。

フェミニズムは度々物議を醸す話題だけれど、Twitterで目にするフェミニズムはどこか歪んでいる気がして、深く学んだり考えたりしようとしたことはなかった。
近年のフェミニストの代表とも言える(過言だったらごめん)方の著書を読んで、食わず嫌いをやめら

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【読書】満ちる腕

【読書】満ちる腕

ほう、と新幹線で息を吐いた。
良いなあ、素敵だな。
あと、好きだ。

人に会うときに、心一杯の期待をしていると現実が期待を下回る。
相手は全然悪くないのにガッカリして、変な空気になって、(ごめんなさい)と思う。

楽しみだなと思って10分前に着いたら『ごめん遅れる』と連絡が入る。
5分くらい遅れても何とも思わないけれど、私の気持ちとの差に悲しくなる。

会う前に大きな出来事があって、そこに心が取ら

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【読書】ライオンのおやつ

【読書】ライオンのおやつ

余命宣告された主人公・雫は、瀬戸内海の島にあるケアハウス「ライオンのおやつ」に入居する。
ライオンのおやつでは、週に一回おやつの時間があり、入居者は自分の好きなおやつをリクエストできる。
例えばそれは、幼少期に母親が作ってくれた豆花(トウファ)であり、例えばそれは父の誕生日を祝いたくて幼い自分が作ったミルクレープだった。

この本は、入居者の方々がリクエストするおやつを通じて、雫が自分の病と現状と

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【読書】短歌のガチャポン

【読書】短歌のガチャポン

落ち着かない。

友達が今頃、彼氏と別れ話をしているはずだからだ。
話をしようと思えたあなたが格好良いし、どんな結果になろうと私は大好きだよと背中を押してみたけれど。
私が背中を押したせいで傷ついていないと良いとも思う。

私が明日、いつかぶりに男性とデートに行くからだ。
頭が良くて優しい人だ。
緊張しすぎて胃がひっくり返りそう。
みんな体も心も違うはずなのに、緊張して吐きそうとか胃が痛いとかひっ

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【読書】世界はフムフムで満ちている

【読書】世界はフムフムで満ちている

横浜、みなとみらいから徒歩15分くらいのところに LOCAL BOOK STORE kita.という本屋さんがある。
ここは、"本棚を貸し出している"本屋さんである。
実に50店舗もの本屋さんが出店し、本棚の一角にそれぞれ個性ある本を展示・販売している。

その本屋さんで、私の目についたのが「世界はフムフムで満ちている」だ。

異なる職業に就く方88人にインタビューをし、その内容を絵本の様にさっく

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【読書】日々臆測/ヨシタケシンスケ

【読書】日々臆測/ヨシタケシンスケ

「一生 目薬 片目 失敗」
呪いとして、微妙に嫌で、でも基本的に日常に支障はなくて、でも嫌な奴が一生目薬に失敗し続けると思うとちょっとスッとする。

絶妙な呪い、とても良い。

本書は、日常のワンシーンからヨシタケシンスケさんが臆測したことがまとめられている本だ。
本当に些細な日常の風景を切り取っているから、人の頭の中身を覗いているようでワクワクした。

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最近、訳もなく不安になること

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【読書】WHAT IS LIFE? 生命とは何か/ポール・ナース

【読書】WHAT IS LIFE? 生命とは何か/ポール・ナース

どこかで書いたことがあるかもしれないのだけれど、私が理系に進んで今の研究室を選んで大学院に進学した理由は「人間がどうして人間として生きていられるのか」が知りたかったからである。

この本は、私と類似した疑問を持って私と類似した研究を行なった、私よりもはるかに頭の良い人が書いた本だ。
持っている疑問と研究分野が類似しているせいか、一部専門的な部分がありつつも分かりにくい所がなくてとても面白かった。

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【読書】おかしな本棚/クラフト・エヴィング商會

【読書】おかしな本棚/クラフト・エヴィング商會

読書は、私の一番長く続いている趣味だ。
小学生の頃に本を読みながら登下校をして怒られた時から早20年、その間ずっと読書が好きだった。
しかし最近、外に出ている時間が増えたせいで、のんびり浸って読書をする機会がぐんと減った。(このままではいけない、読書をする時間を確保する意識を作らなくては)という思いから、角川武蔵野ミュージアムに行ってきた。

とても楽しかった、読書モチベ大上昇。

角川武蔵野ミュ

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【読書】たやすみなさい/岡野大嗣

【読書】たやすみなさい/岡野大嗣

「たやすみなさい」は"たやすく眠れますように"の意で、自分にかけてあげる言葉らしい。
そのタイトルの通り、寝る前に少しずつ少しずつ読み進めていたら、読み終わるまでに半年もかかってしまった。

さて、この本は「私は日常のこんなところが好き」を表している本だ。
俳句(あるいは川柳)という形で、日常のこんなところが素敵だ、エモい、寂しい、楽しいを表現していた。
経験していないけど分かることと、経験したけ

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【読書】博士の愛した数式/小川洋子

【読書】博士の愛した数式/小川洋子

先日「どうして理系に進学しようと思ったんですか?」と尋ねられた。

私は両親とも理系出身で研究者をしていたし兄姉も理系に進んでいたから、文系に進む選択肢はそもそもなかった。
けれど、もし何かのきっかけがあるとすれば、その一つは間違いなくこの本だと思う。

この本を初めて読んだのは、小学生か中学生か、そのくらいの頃だった。
数学者の博士が教えてくれる数字の秘密がとても特別なものに思えて、読み終わった

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【読書】26文字のラブレター

【読書】26文字のラブレター

「都々逸(どどいつ)」というものを知っているだろうか。
7・7・7・5のリズムで刻まれる、短歌や俳句の仲間だ。江戸時代後期から明治時代にかけて流行し、庶民の間で唄われ親しまれていたそうだ。
最も有名なものはきっと、「ザンギリ頭を叩いてみれば 文明開化の音がする」という一節だろう。

本書はそんな都々逸から恋愛に関するものを厳選し、挿絵と解説とともにまとめたものだ。

読み終わった感想は
「たまらん

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【読書】図書館で暮らしたい/辻村深月

【読書】図書館で暮らしたい/辻村深月

久しぶりに本を読んだ。
最近ウマ娘にどハマりし、携帯ばかり触っていたから時間がなかったのだ。
やっと少し飽きて時間ができたので、久しぶりに本を手に取った。

この本は、辻村深月さんの"好き"がたくさん詰まった本だった。
ミステリーやホラーが苦手な私からすると、辻村深月さんの本は面白いのに読めない絶妙な距離感のある本だ。
だからこのエッセイ集を見つけたとき、(読める辻村深月の本があった!)ととても嬉

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