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山形県の新米地域おこし協力隊7週目、打ち合わせに溺れる日々。


打ち合わせで爆発した妄想を処理しきれない

7週目はひたすら打ち合わせ三昧な日々だった。毎日必ず2-3個の打ち合わせが入り、各打ち合わせで「もっとこうしたら面白い!」「これができるならこれもできる!」と議論が白熱し、ワクワクする妄想が広がった。
広がった後のその日の議論の終着点は「本当にそれができるのか各所で確認して検討する」であり、打ち合わせ後は予算や上司の許可、日程など現実的なところに向き合いこのワクワクする何かが実現できそうか確認検討するのだが、ここでふと我にかえり「え、本当にできるの? 難しくない? やっぱり一筋縄ではいかない」と痛感する。
痛感した先にそれを突破する道がないか検討する、ところまでなかなか行けず、悶々としている間に次の打ち合わせが来て妄想が爆発し、検討事項が増えて悶々とする。
ジェットコースターみたいに上がり下がりが高速に来てしまい、何をしていたのか思い出すのに精一杯な日々だった。

5月13日(月)

今日は本屋さん事業の打ち合わせ。
WARP HOLE BOOKSのなるきさん、マイマイさんと、先日行われた5月3日のかねやま「街市」への出店について振り返った。
街市では40-50名ほどの方が本屋をのぞいてくださり、4冊の本が売れた。
出だしとしては上々かな、と思いつつ、今後もっと本を買ってもらうには? と考えると難しい。
マイマイは「金山には本を買う文化がないのでは、と思った」とコメントをくれて、確かに金山では本を買う文化も積極的に本を読む習慣もないに等しいと感じた。もちろん本好きの方もいるだろうが、書店や図書館が身近になくてはまち全体としてこういった文化も育たないだろうと予想した。
なるきさんは「WARP HOLE BOOKSの最初の頃も『尾山台には本を買う文化がないのかも』と話していた。でも少しずつ買ってもらえるようになったのは、本を買う文化がないというより、お店や書店員がまちの人に信用されていったからだと思う。得体の知れないお店がまちに突然できたらまずは様子を伺うはず。少しずつ回数を重ねるごとに信頼関係ができていけば、本も買ってもらえるんじゃないかな」と言ってくれた。
確かに今回本を買ってくれた皆さんは、みんな私の知り合いだった。
本を買う文化がないどうこうを考えるというより、私が、かぷりばがこのまちで信頼を得ていけるかどうかが本の売り上げにつながるのか。
金山で関係性を育んでいく過程に比例して、かぷりばも成長していくんだと思ったら、なんだかわくわくした。

十日町ボランティア総会で食べた「ミズ汁」

5月14日(火)

今日は朝イチから係内で打ち合わせ、その後関係人口事業に関してソトコトと打ち合わせ、午後イチでイワナ放流、放流から帰ってきて東京都市大のメンバーで運営するコミュニティカフェ「タタタカフェ」の金山出張版に関する打ち合わせ。
打ち合わせが続く間にイワナの放流のために川に行っているのが個人的に面白い。打ち合わせ続きで時間に追われている間に強制的に川でイワナと戯れるというのは、むしろ頭がスッキリするし心穏やかになる。
盛岡でも東京でも得られなかった感覚。
金山での地域おこし協力隊生活はやっぱり面白いなあ。

5月15日(水)

今日はいよいよ始まったニラ刈りシーズンの様子を見学するためにニラ農家さんのもとへ。
同じ地区に住んでいて、地区のボランティア団体の総会で「ニラ刈りしに来いや!」とお誘いいただき、15時に来たらみんな居るとのことで農作業用のカッパを着て向かった。
「ニラ刈りは朝5時からさけえ、今来てもしねんねわ」(ニラ刈りは朝5時からなので、今来てもできませんよ)と言われ、結局ニラは刈れなかった。
次は朝5時に行きます。

お誘いしてくれたニラ農家さんは、銀行に勤めていたが数年前に脱サラしたとのことだった。
「このまま銀行に勤めているのか自分は」と先を見据えた時の違和感があったと同時に、正直辞めたかったらしい。お父さんのニラ農家を継いで、現在修行中。
秋まで休みなく朝からニラを刈るそうだが、今が最高に楽しいそうだ。

この話を聞きながら父の顔が浮かんだ。
父はいつぞや、「ずっと安定して公務員として勤めてきたけど、給料や安定などあまり関係なく趣味で走ったりして大会に出ているような人を見ると、それもよかったなあと思ったこともある。」と言っていた。でも私が東京の大学に行って今好き勝手しているのは、父が安定して公務員として勤めていてくれたからだ。
何が幸せなのか、その人の性格や望むものによって違うけれど、難しい。

肝心のニラはやわらかくて甘くてとても美味しかった。

5月16日(木)

今日は朝から、神室エリアに関する打ち合わせ。
神室エリアとは、金山唯一のホテル「シェーネスハイム金山」を中心とした金山の観光地が集積する場所のことで、ホテル、温泉、スキー場、乗馬体験、レストラン、木工体験などが揃ったエリア。
その神室エリアを活性化すべく、神室関係者と役場職員で月1回ほど打ち合わせをしている。
シェーネスハイム金山は、JRと金山町が出資して設立した「グリーンバレー神室振興公社」が運営しており、神室一帯の活性化も公社が中心に行う。

何がどうとは言えないけれど、役場、公社、民間企業が集まってあれこれ話す会議は三者三様の考え方、社会の見え方があり、その違いを乗り越えて手を取り合える場面もあれば、「なんでこうなるのか?」と頭を悩ませてしまう事案が生まれる時もある。地域おこし協力隊という、どちらかといえば役場だけど民間にも近いし、どういう立ち位置かと言われると微妙、な第三者の私がこの会議に出席すると、いろんな立場からの社会の見え方を勉強できる。
学んだ上で私はここで何ができるのか、は、もう少し考えないといけない。いろんな立場からの意見が来た時に全てを受け入れていたらキリがないので、「自分の意思を持つ」ことを練習していかないと、と思う。

協力隊の先輩 本間さんと畑作業。
じゃがいも、さといも、さつまいも植えました。

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