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この努力は報われるのか? やった事に価値を見出す工夫とは(ベネフィットファインディング)

「これまでやってきた事が無駄になるかも…」

仕事をしていると、予期せぬトラブルにより、準備していた事が無に帰すことがあります。また、不確実な要素が多い状況下では複数のオプションプランを並行して走らせる事があります。実現するのはそのうち一つ。場合によってはどれも形にならない事もあります。

こうした結果に繋がらない可能性をはらんだ仕事には「報われないかも」という不安が付き纏います。

そういった状況下で持っておくべきマインドセットとは何なのでしょうか。やってきた行為を無駄にしないための工夫を考えてみます。

遠回りする意味

スポーツをやっている人は「努力は裏切らない」という感覚を持っている人が多いです。スポーツに限らず、仕事でも趣味でも、経験値を高めて自分を高次のレベルに押し上げていくためには経験が必要です。

厳しく苦しい経験の先に成長した自分がいることを信じて鍛錬を重ねる人は特にこの感覚を持っているのではないでしょうか。

これをわかりやすく体現されているのがトップアスリート達です。中でもその象徴のような存在がイチロー選手です。

それが如実に現れたのが引退記者会見の言葉です。

「少しずつの積み重ねでしか、自分を超えていけないと思っているんですよね。一気に高みにいるとすると、今の自分とギャップがありすぎて、それを続けられない。地道に進むしかない。ある時は後退しかしない時もあるので、自分がやると決めたことを信じてやっていく。でも、それは正解とは限らない。間違ったことを続けているかもしれない。遠回りをすることで、本当の自分に出会えると思っている。」

イチロー選手が言う言葉は重みがあります。印象的なのは「後退しかしない時もある」、「正解とは限らない」、それでも「自分を信じてやっていく」。あのイチロー選手ですら偉業の裏ではもがいて悩んでいます。時に後退すらしている。

そんな「遠回り」の先に「本当の自分に出会える」。この本当の自分とは成長した自分ということですね。

このイチロー選手の言葉には、我々の生活で起きる「報われないかもしれない」という不安との向き合い方へのヒントが詰まっています。

ベネフィット・ファインディングとは

心理学には「ベネフィット・ファインディング」という言葉があります。イチロー選手の言葉にはこの心理が下支えしていると言えます。

【ベネフィット・ファインディング】
辛く苦しい逆境のなかに意味や価値を発見していくこと。

正にベネフィット(便益)をファインディングする(見つける)です。苦しい環境でもポジティブな解釈をしていく生き方の知恵です。

目の前で起こっている事実(ファクト)は変えられません。しかし、それをどう捉え、解釈するかはその人の考え方次第です。

マーケティングの権威ドラッカー氏の著書「マネジメント」には、意味の解釈が生き方にまで影響する例え話があります。

ある建築現場で、何をしているのかを聞かれた三人の石工はこう答えた。一人目は『これで食べている』と答えた。二人目は『腕のいい石工の仕事をしている』と答えた。三人目は目を輝かせて『国で一番の教会を建てている』と答えた。

同じ仕事をしていても、視座の違いでその人のアウトプットは大きく変わります。一人目よりも三人目の職人の方が、より熱心に、精度高く仕事をするでしょう。

気持ちの持ちよう次第で目の前の事も、引いては自分の人生そのものの意味すらも変えてしまう。意味を見出すとは、それほどに大きな力を秘めていると言えます。

まとめ

今、コロナの第二波が来ていると言われています。不確実な状況では、試行錯誤が求められ、やった事の全ては結果に繋がらないかもしれません。

そんな中でも、自分がやっている事に対し、無駄と考えずに、価値や意味を見出す努力をすべきです。

ナチスの強制収容所を生き延びた心理学者フランクルは「どんな時にも生きる意味がある」という言葉を残しています。

たとえ今置かれている境遇が困難で苦しい状況だとしても、ベネフィット・ファインディングでその中から意味や価値を探し出す。

そんな腐らずに貪欲でいるマインドセットが今求められているのかもしれません。

遠回りにこそ価値がある。そう信じて、目の前で起こっている事を糧に、成長していけたらいいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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