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THE GREAT RESET コロナが変えた世界を俯瞰してみる(マインドリセットのススメ)

「確かに、『GREAT RESET』という言葉は今の世界を表現するにふさわしいかも」

withコロナ、アフターコロナという言葉が日常会話で違和感なく使われるようになりました。ワクチンの高齢者への投与のニュースも見るようになり、我々のコロナとの向き合い方は日々変化しています。

そんな中「THE GREAT RESET」という言葉に出会いました。知ったのは昨年の後半。きっかけはダボス会議です。

「ダボス会議」は世界経済フォーラムの通称ですね。毎年1月にスイスで行われる、世界各国の首相やビジネスリーダーなどが集まる会議。今年は新型コロナの影響で、5月にシンガポール開催へと延期になりました。その今年のテーマが「THE GREAT RESET」。

この意味を知り、未来をどう生きていくべきかを考えてみます。

グレート・リセット(The Great Reset)とは

今回のテーマにもなっているこの言葉。そもそも、どういう意味でしょうか?その答えはこの本にありました。その名も「グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界」

著者のクラウス・シュワブさんは、世界経済フォーラム(ダボス会議)の創設者で現会長の方です。この「グレート・リセット」という言葉。グレートと聞くと「=素晴らしい」ってこと?と思いがちですが、この場合は「=とてつもなく大きな」というニュアンスですね。

The Great Reset=アフターコロナのとてつもなく大きなリセット

コロナ危機の最中の2020年6月に書かれた本書は、パンデミックから半年もたたないうちに世界は様変わりしてしまうこと、そして以前から潜んでいた「断層」が表面に露出してくるとことを語っています。

本書はコロナ禍を契機に、より公平で持続可能な未来を作るため、経済社会の基盤を「リセット」する必要がある説きます。それをマイクロ、ミクロ、個人という三つの視点から論じています。この本の建付けはこんな内容です。

1.マイクロリセット
 ・ 概念の枠組み:現代社会をあらわす三つのキーワード
 (相互依存、スピード、複雑性)
 ・ 経済のリセット
 ・社会的基盤のリセット
 ・地政学的リセット
 ・ 環境のリセット
 ・テクノロジーのリセット

2.ミクロリセット(産業と企業)
 ・ ミクロトレンド
 ・産業のリセット

3.個人のリセット
 ・ 人間らしさの見直し
 ・心身の健康
 ・優先順位を変える

ぶっちゃけると、決して読みやすい本ではないですが、語られていることはこのコロナがもたらした影響を非常に俯瞰的に見ているので気づきも多かったです。様々なレイヤーでリセットが行われている。そんな世界を俯瞰で見た時に表現する言葉は「The Great Reset」なのかもしれません。

この中でも個人的に学びがあったところをいくつかピックアップします。

命 vs 経済 の経済論の誤り

このコロナ禍において「命を守るべきか、経済を守るべきか」という議論はよく見聞きします。ワイドショーでも、緊急事態宣言の解除タイミングを連日のように報道しています。

しかし、この本ではこの論争を一刀両断します。「こうしたトレードオフの議論は的外れだ」と切って捨てます。「命を犠牲にしても、経済を守るべき」という経済論は誤っており、健康と経済はトレードオフの関係にないと説きます。

なぜなら、命を守れなければ、その生活は守れず、結局は経済も救えないから。非常にシンプルですが、これが真理ですね。

世界は「日本化」していく

この本には「ジャパニフィケーション(日本化)」という言葉が登場します。著者によると世の中のエコノミストは、世界がジャパニフィケーションすることを懸念しているのだとか。これはつまり、高所得国で成長もしなければインフレも起こらないが、耐えがたい額の借金を背負うというような状態を指している。

私はこのジャパニフィケーションも日本化という言葉も知りませんでしたが、なかなかの言われ様です。でもあながち間違いとも言えません…。

ただ、著者は我々日本人に救いの手も差し伸べてくれます。ジャパニフィケーションにも良い面があるとのこと。それは、豊かな国々の中でも社会格差が小さいこと、そして派手な消費の割合が世界でもかなり突出して低いこと。そして、こうも語っています。

日本の高い生活水準や幸福度の指標は、経済的な困難に直面しても希望を無くす必要は無い事を教えてくれているのだ。

なるほど、「質素」に生きつつ、人生の意義や目的を探して前向きに生きる、というのが日本人が他国の人々に比べて持っている強みということですね。ここは個人差もあるので何ともいえませんが、日本の中でもその方向に価値観がシフトしているのは肌で感じます。。

金のロレックスにベンツを乗り回して高級タワーマンションに暮らすことが憧れ、という時代はもう終わっているように思います。よりシンプルに、ミニマムに、心と体を気遣いながら健康に生きていく。この価値観にシフトしているのはコロナがそのきっかけとなっているのは明らかですね。

個人のマインド・リセットが重要

本書の最終章では、「個人」がどう意識を変えて、どう行動を変えることができるかに迫ります。リセットして、新しい一歩を踏み出すとき、それをよりよい社会へとつなげる力が個人にはある、というメッセージが行間からくみ取れます。

この強制的ともいえる集団的反省期間はきっと、人々の行動を変え、それがやがて主義や信条を根本から見直すきっかけとなるだろう。もしかしたらそれが、何を優先するかの順番を変え、日々の生活のさまざまな場面で人々の行動を変えるかもしれない。社会人としてのあり方、家族や友人とのつき合い方、エクササイズ、健康管理、買い物、子どもの教育、それに、世間的な自分の立ち位置も考え直すことになるだろう。そのうち、本質的な疑問が湧いてくるかもしれない。私たちは、大事なことが何か、分かっているのだろうか? あまりにも自分本位で、自己中心的ではないか?仕事を大事にしすぎて、他のことをする時間がなくなっていないか? 大量消費主義に振り回されていないか? 考えるゆとりを与えられたおかげで、ポストコロナ時代には以前の答えよりも進化した答えを出せる人も出てくるだろう。

なるほど、「私たちは、大事なことが何か、分かっているのだろうか?」これは万人が自問すべき問いかも知れません。惰性や、前例主義で大して考えもせずにやっている日々の行動って無数にあるように思います…。

社会や経済というマイクロ、ミクロのレイヤーよりも、我々個人が直面しているのは目の前の状況であり生活です。その中で「本当に大事なことに向き合う勇気」を我々は持たなければいけないなと、改めて思います。

まとめ

今回はダボス会議の今年のテーマ「GREAT RESET」について考えました。コロナのパンデミックは、その前からすでに起きつつあった変化を劇的に加速したというのが本書の見立てです。この本を読んで改めて、全てはつながっていると感じました。

コロナになってから発生した問題というのは実は少なくて、加速して露出したケースが多い。そう考えると、問題は既にあったということ。いきなり発生したのではなく過去からのつながりの中でずっとそこにあったということです。

そう考えると、当然ながら「今」は「未来」にもつながっているわけで、未来のために今目の前のことを見直す勇気を持つことが大切だなと思います。

自分にとっての「RESET」を改めて問い直すことで、何をやめて何をはじめるのかが明確になるかもしれません。その先に、今までよりも少し良くなった未来が待っているのかも。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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