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哲学・心・思想

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#ハイデガー

「資本主義的な承認」と「全人格的な承認」の考察

「資本主義的な承認」と「全人格的な承認」の考察

前回、資本主義社会におけるコミュニケーションは、「資本主義的な承認」しか与えず、かつて存在したであろう「全人格的な承認」がなくなっていることを述べた。

今回は、「資本主義的な承認」と「全人格的な承認」の本質を考察してみたい。

そもそも「承認」とはなにか?

それは、私は価値があるということを他者が認めること、と定義したい。

仕事でよい成果を出したから、上司が褒めたり、接し方がよくなったり、な

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「境遇の被害者」という視点〜「意思」と「責任」の再考〜 #ゲンロン #シラス

「境遇の被害者」という視点〜「意思」と「責任」の再考〜 #ゲンロン #シラス

ゲンロンが主催するシラスという意識高めの動画プラットフォームで、國分功一郎×東浩紀「哲学にとって愚かさとはなにか――原子力と中動態をめぐって」という動画を視聴した。

ゲンロンの動画は6時間くらいがデフォルトになっているので、めちゃくちゃ長いが、BGM的にゆるく観ているとけっこういける。

ここで、國分さんがとても興味深いことを言っていた。

刑務所の受刑者たちは、自分の罪を咎められても釈然としな

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「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか?」への決定的な答え〜AIに「存在」という語をどのように学ばせることができるか〜

「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか?」への決定的な答え〜AIに「存在」という語をどのように学ばせることができるか〜

私はこの問いに興味をもって哲学をやったといっても過言ではない。

先日、これについての議論を聞く機会があったが、どれも正直全く前に進まないような答えばかりであった。(何かしらの領域では意義あることだったと思うが、この問いへの回答としてはダメだった)

まず、考え方のルールを決めなくてはならない。

私は、これを哲学の現象学のアプローチで考えれば完全解決とは言わないまでも、かなり視界がクリアになると

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ビジネスパーソンが30歳から、ハイデガー『存在と時間』を2年間研究した話 #哲学

ビジネスパーソンが30歳から、ハイデガー『存在と時間』を2年間研究した話 #哲学

私は30歳から2年間、ハイデガーの『存在と時間』を研究していた。

大学時代からベンチャー企業で働き、その後、インターネットやエンタメ方面で仕事をしていたので、そういうバックグラウンドで『存在と時間』を研究するのは異色かもしれない。

「ハイデガーにおけるフッサール現象学の継承と逸脱」として論文をまとめた。

私を惹きつけたハイデガーの根本的な問いは

なぜ何もないのではなく、何かがあるのか

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