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タイムマシン(後編)
そこは20年後の日本だった。
タイムマシンの発明者のジジイは、「あまり事を荒立てるなよ」と言っていたが、そんなことはハナからするつもりはなかった。ただちょっと観察するだけのつもりだった。
そこには現代人がいかにも考えそうな、空飛ぶ人間だったり、自我を持ったAIなんてものはなかった。人間は普通に地面を歩き、仕事に行っているようだった。
そんな中でも変わっている点があった。
俺が何気なく渋谷の
名前を呼んで欲しいだけ
バッグ・クロージャーは死のうとしていた。
誰も彼の存在を知らなかった。だから彼が居なくなっても別段困る者はいなかった。生まれたときから彼の名前は「バッグ・クロージャー」といった。彼は自分の名前を気に入っていた。なかなかかっこいい名前だと思っていた。しかし周りの人間は彼を認めなかった。彼はパン屋で働いていたが、そこで彼は自分が空気のような存在になっていることを知った。
そんなとき、彼は彼女と出会